選挙協力・野党共闘とは?わかりやすく解説

選挙協力・野党共闘とは?わかりやすく解説

選挙が近づくと、異なる政党間で、選挙戦で協力しようとする動きがでてきます。この記事では、選挙協力や野党共闘について解説します。

選挙協力とは

選挙協力とは、選挙時に異なる政党が、互いにより多くの議席を獲得できるように協力することです。2党間だけでなく、3つ以上の党派間で行われることもあります。具体的には、選挙区での候補者調整・相互推薦・政党連合の結成・比例代表の統一名簿作成・資金や人員の援助などがあります。

候補者調整

候補者調整とは、同じ選挙区内で票が割れることを避けるため、協力する政党間で候補者を一本化することです。特に、1人しか当選しない衆議院選挙小選挙区や、参議院選挙1人区で行われることが多い傾向にあります。

相互推薦

相互推薦とは、相手の政党の候補者を互いに推薦することです。候補者への政党の支援体制には、公認・推薦・支持などがあります。 一般的に、政党との関連が強い順は、公認、推薦、支持です。

また、相互推薦している候補者の応援演説や投票の呼びかけを行うこともあります。

統一名簿作成

選挙協力の手法のひとつに、比例代表での統一名簿の作成があります。

統一名簿方式は、1995年にイタリアで中道左派の政党が結集して設立した政党連合、「オリーブの木連盟」に基づいて、「オリーブの木方式」とも呼ばれています。

選挙戦の支援

選挙運動には、資金や人手が必要です。選挙資金の援助や、選挙運動の人員の提供を行う場合もあります。

野党共闘とは

野党共闘とは、選挙協力の中でも特に、野党同士が与党に対抗するために手を組むことを指します。野党が共倒れするのを防ぐことも目的のひとつです。一方で、異なる方針の政党と手を組むことにより、今までの支持層が一部離れて行ってしまうという恐れもあります。

政権交代の事例も

自民党・公明党から民主党・社民党・国民新党への政権交代が起こった2009年衆議院選挙では、野党共闘が行われていました。

民主党・社民党・国民新党は、全国規模での候補者調整や相互推薦を実施しました。

有権者にとっての選挙協力・野党共闘のメリット・デメリットは?

選挙において、政党間で選挙協力や野党共闘が行われることは、私たち有権者にとっては良いことなのでしょうか。ここでは、投票する側のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

有権者側にとっては、民意の反映に直結しにくい、死票(落選した候補者に投票された票)が少なくなるというメリットがあります。また、強い野党がない状況でも、「与党」対「複数の野党」という構図ができることで、有権者に政権選択の余地ができます。

デメリット

協力する政党間で、選挙区における候補者の一本化が行われた場合、有権者にとっては、投票する先の選択肢が減るというデメリットがあります。例えば支持政党の候補者が、自分の住んでいる選挙区には出馬していない、ということが生じる可能性があります。

選挙協力・野党共闘後の政権はどうなる?

選挙協力をした政党同士は、選挙が終わったあとはどうするのでしょうか?2つのパターンについて解説します。

連立政権を樹立(閣内協力)

選挙協力をした複数の政党が選挙後、連立政権を樹立して共同で政権運営をするパターンがあります。内閣の閣僚はそれらの複数の政党の議員から選ばれます。政策について意見の擦り合わせがされ、予算案や法案を国会に提出する前に、それらの政党間で協議する、事前審査が行われます。

現在の自民党・公明党連立政権はこの閣内協力を行っています。与党第1党は自民党ですが、内閣のメンバーの中には一部の国務大臣など、公明党所属の議員もいます。

閣外協力

閣外協力の場合は、一党のみが政権を獲得し、内閣のメンバーはその一党の人々のみで構成されます。選挙協力を行った他の政党の議員が入閣することはありません。

2021年衆議院選挙で野党共闘を行った立憲民主党と共産党は、政権を獲得できた場合、連立政権を組むことはしないとしていました。共通政策のみに関して、協力して実現を目指す、限定的な閣外協力をするとして選挙協力をしました。

2022年参議院選挙の選挙協力

2022年参議院選挙においても、現在連立政権を組んでいる自民党と公明党は相互推薦を行うとしています。

また、自民党と公明党に対抗するため、立憲民主党を中心に、野党共闘の調整や検討の動きが出てきています。

 

 

<参考>
衆議院議員選挙のしくみ | Candidates2021 – 衆院選情報サイト
“三つ巴”の衆院選で注目される選挙協力。 「統一候補を立てる」ってどういうこと?|新R25 – シゴトも人生も、もっと楽しもう。
参院選のニュースでよく聞く「野党共闘」ってどういう意味? | 日本最大の選挙・政治情報サイトの選挙ドットコム (go2senkyo.com)
自民と公明、都道府県ごとに選挙協力…参院選「相互推薦」見送り
自公が相互推薦で基本合意 参院選、幹事長会談で決着 – 日本経済新聞
自公 参院選の選挙協力 党本部が主導し相互推薦の方向で合意 | NHK | 参院選
「相互推薦」自公あつれき 参院選へ、自民県連「かなり不本意」 公明、協力選挙区を限る構え=訂正・おわびあり:朝日新聞デジタル (asahi.com)
政党のお墨付き「公認」「推薦」「支持」「支援」は、それぞれどう違う? | オトナンサー (otonanswer.jp)
【参院選】社民党が野党統一名簿方式に参加へ 「オリーブの木」手本に比例票上積み狙う – 産経ニュース (sankei.com)
野党3党、知事の後援会仲介し政策協定締結へ 参院選/岩手 | IBC NEWS
衆院選「キホンのキ」 1人2票の使い方、対決構図・争点は?【イチ押しニュース】 | 就活ニュースペーパーby朝日新聞 – 就職サイト あさがくナビ
選挙協力ってどんなことをするの?
なかなか進まない「野党共闘」何が問題か | 3分でわかる政治の基礎知識 | 毎日新聞「政治プレミア」 (mainichi.jp)
博多女子のそこが聞きたか!】参院選 「野党統一候補」って?「非拘束名簿式」って?「改選」って?(1/5ページ) – 産経ニュース (sankei.com)
asahi.com(朝日新聞社):《ルポ決戦前夜:3》選挙協力・連立の方程式 – 2009総選挙
asahi.com(朝日新聞社):野党の選挙協力着々 民主と社民争う選挙区30→14 – 2009総選挙
政権交代とは?概要や交代可能となった背景・過去の事例まで簡単解説|政治ドットコム (say-g.com)
野党の政権構想「限定的閣外協力」ってどういうこと? 自公連立とどう違う?<衆院選 Q&A>:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
衆院選惨敗の立民、共産との「閣外協力合意」が裏目に…福山幹事長「議席減は想定外」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
参院選へ299人準備 自公、過半数目標―野党共闘進まず
『ブリタニカ国際大百科事典』ブリタニカ・ジャパン
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