比例代表制ってどんな仕組み?メリット・デメリットは?

比例代表制ってどんな仕組み?メリット・デメリットは?

選挙に行くと、投票に際して候補者の個人名を記入する場合と、政党名を記入する場合と、2パターンありますよね。後者の政党名を記入するケースが「比例代表制」の選挙です(*)。具体的にどのような制度なのか、メリット・デメリットも含めて分かりやすくご説明します。

(*)厳密には、参院選においては比例代表選挙でも「候補者名」での投票が可能です。この辺りの詳細も以下で紐解いていきます。

比例代表制とは

比例代表制とは、衆院選及び参院選における選挙制度の一形態です。衆議院は小選挙区制、参議院は選挙区制とそれぞれ併立していますが、同じ比例代表制でも衆参両院で多少の差異が見られます。議席の配分にあたっては、政党の得票数に応じて議席を配分する「ドント式」が採用されています。

拘束名簿式比例代表制[衆議院]

衆議院では、投票に際して政党名を記入することが求められます。候補者名を記入すると無効になってしまうので注意しましょう。

後ほどご説明する「ドント式」によって各党が得票数に応じた議席を獲得すると、あらかじめ政党側が決めた順位に従って当選者が決まる仕組みになっています。この衆議院の比例代表制度は「拘束名簿式比例代表制」と呼ばれています。

選挙区は全国11のブロックに分けられ、定数は176人。

「重複立候補」が認められており、小選挙区で落選しても、名簿の順位と政党の得票数次第では「比例復活」(**)できるケースもあります。

(**)小選挙区選挙で落選するも、比例代表選挙で当選することをこのように呼びます。

非拘束名簿式比例代表制[参議院]

参議院では、政党名・候補者名のいずれでも投票できます。これは参議院が「非拘束名簿式比例代表制」を採用しているためです。衆議院のように候補者の当選順位が定められた名簿が存在しないので、候補者名での得票数が多い順に当選者が決まるのです。もちろん政党名で投票しても、その政党の合計得票数にカウントされ、党としての議席数には反映されます。

つまり、「○○党の公約に全般的に賛同できるため、○○党の議席が増えてくれればいい」ということであれば政党名で投票すれば問題ありません。しかし、「○○党の中でも△△氏に当選してほしい」ということであれば、△△氏の名前で投票をする必要があります。

ただし、2018年公職選挙法の改正で「特定枠」が導入され、非拘束名簿とは別に、政党側が優先的に当選させたい候補者の名簿を順位付きで提出することができるようになりました。特定枠の活用次第では、候補者名での投票が当該候補の当選に結び付かないケースも生じ得るようになったということです。

特定枠を使うか否か、使う場合、何人に適用するかについては、各政党が自由に決定することができます。

選挙区は衆議院のように分割されておらず、全国で一つのブロック、定数は100人(3年に一度の改選数は半分の50)です。

また、「重複立候補」は認められておらず、衆議院のように「比例復活」することはありません。

ドント式

続いて、議席の配分方式である「ドント式」についてご説明します。得票数に「応じて」配分すると言うけれど、具体的にどのように計算するの?という点です。

「ドント式」を言葉で説明すると以下のようになります。

比例代表選挙における議席の配分方式。各政党の得票数を1から順に「÷1」「÷2」「÷3」…と整数で割っていき、答えの大きい順に定数まで議席を配分する

言葉だけでは分かりにくいので、実際に架空の選挙における各党の獲得議席数を「ドント式」で計算してみましょう。

定数10人の比例代表選挙における議席配分は以下のようになります。

因みに、「ドント式」という名称は、ベルギーの数学者ヴィクトル・ドント氏が考案した配分方式であることに由来するようです。

比例代表制のメリット・デメリット

最後に、比例代表制のメリットとデメリットについて確認してみたいと思います。比例代表制のメリット・デメリットを考える際には、比例代表制以外の選挙形態についても理解することが必要です。

メリット

メリットとしては、「死票が比較的少ない」ということが挙げられます。

選挙区選挙の中でも特に、1選挙区あたり1名しか当選できない小選挙区選挙においては、当選者以外に投じられた票は全て、議席に反映されない死票となってしまい、「なかった」ことになってしまいます。(小選挙区制について詳しくはこちら[リンク])

その点を踏まえると、得票数が一定数あれば、少数政党でも議席を獲得し得る比例代表制というのは、「幅広い民意を政治に反映できる」といえます。

デメリット

デメリットについては、小選挙区との重複立候補が可能な衆院選において、特に指摘されています。小選挙区で落選した候補者が比例代表選挙で復活当選する、いわゆる「比例復活」です。

2021年秋の衆院選においても、与野党共にベテラン議員の比例復活が相次ぎ、「ゾンビ復活」などと揶揄されました。一度落選しているのにも関わらず、政党側が作成した名簿における順位が高いから当選できるのであって、政党の意向が優先され民意に反している、との批判です。

こうしてデメリット・メリットについて考えてみると、「正しく」民意を反映しつつ「真っ当な」政治を実現していくための仕組みの構築においては、未だ様々な課題が存在することが伺えますが、皆さんはどのようにお考えになるでしょうか。

まとめ

  • 比例代表制とは、衆院選及び参院選における選挙制度の一形態で、政党の得票数に応じて議席を配分する
  • 衆議院は拘束名簿式比例代表制、参議院は非拘束名簿式比例代表制+特定枠
  • 議席の配分は「ドント式」に基づく
  • 比例代表制は死票が少ないというメリットがある一方、衆院選の場合は小選挙区で落選した候補者が「比例復活」で当選するケースがあり、民意に反しているとの批判もある

 

 

<参考>

三田市/比例代表制とは?

「比例代表」って何? 衆院選の選挙方法Q&A

比例代表選挙の「拘束名簿式・非拘束名簿式」って、なんのこと?/厚木市

衆議院選挙 小選挙区と比例代表ブロックを詳しく -衆院選-|NHK

選挙“読みtoku”ワード「重複立候補」:中日新聞Web

今さら聞けない!? 参院選「基本のき」 – 就活生のための簡単ニュース解説|朝デジ就活ナビ2023

参院選目前!比例代表選挙でも候補者名を書かなきゃいけないワケ

選挙について:よくある質問:参議院

千代田区ホームページ – 衆議院議員選挙と参議院議員選挙の違い

参院選2019 ここがかわります | 選挙を知ろう | NHK選挙WEB

【地方自治・政党と選挙】ドント式の議席配分の計算方法がよくわかりません

ドント方式 – Wikipedia

衆議院選挙 過去の解散や制度の変更 -衆院選-|NHK

死票(しひょう)の意味 – goo国語辞書

小選挙区比例代表並立制

「ゾンビ復活」を生む衆院選の仕組み わかりにくい意義と政党の責任

「ゾンビ」生む比例復活、妥当な制度か? 甘利明氏揶揄から考える | 毎日新聞

 

この記事を書いた人

約10年間の銀行員生活を経て、インド・バンガロールに転居。インド滞在中は、チャリティーバザーの開催や現地月刊誌への寄稿などをしていました。現在は帰国し、フリーランスとして、通訳・翻訳・ライティングのお仕事をしています。
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