小選挙区制とは?比例代表制との違いやメリット・デメリットを解説

小選挙区制とは?比例代表制との違いやメリット・デメリットを解説

小選挙区制という選挙制度をご存知ですか?

何となくイメージはできているものの、いざ説明を求められると言葉に詰まってしまうという人は多いのではないでしょうか。

小選挙区制とは、1つの選挙区において1人だけが当選する選挙制度です。日本では、衆議院議員総選挙で小選挙区制による選挙が行われています。

この記事では、小選挙区制の仕組みについて分かりやすく解します。
また、小選挙区制のメリット・デメリットについても解説します。

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小選挙区制とは?

まずは、小選挙区制の仕組みについて解説します。

小選挙区制の仕組みを理解するには、「選挙区制」の制度を知る必要があります。選挙区制とは、選挙エリアをいくつかのブロック(選挙区)に分け、そのブロック単位で候補者への投票を行う選挙制度です。

選挙区制は1つの選挙区から選出される当選者の数によって分類されます。
選出される当選者の定数が1名の場合を「小選挙区制」、2名以上の場合を「大選挙区制」「中選挙区制」と呼びます。(大選挙区制と中選挙区制に明確な違いは存在しません。)

つまり小選挙区制とは、1つの選挙区から、もっとも得票数の多い候補者1人だけが当選する選挙制度です。

比例代表制との違い

つぎに、小選挙区制と比例代表制の違いについて解説します。

小選挙区制とよく比較される選挙制度に、比例代表制があります。
比例代表制とは、有権者が政党に投票を行い、政党ごとの得票率に応じて当選者を決める制度です。
小選挙区制が「人」に投票する選挙であるのに対し、比例代表制は「政党」に投票する選挙であるという点が違いのポイントになります。

現在の日本では、衆議院議員総選挙において、小選挙区制と比例代表制による選挙が同時に行われています。これを小選挙区比例代表並立制といいます。
2021年に行われた衆議院議員総選挙では、議員定数465名のうち289名が小選挙区制、176名が比例代表制によって選出されました。

比例代表制については、こちらで詳しく解説しています。
比例代表制ってどんな仕組み?メリット・デメリットは?わかりやすく解説

小選挙区制のメリット

つづいて、小選挙区制のメリットを解説します。

小選挙区制のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 安定した政権をつくれる
  • 有権者との距離が近い
  • 選挙費用の負担が小さい

順番に詳しく見ていきましょう。

まず、安定した政権をつくることができるというメリットがあります。
小選挙区制は、支持者の多い、大きな政党にとって有利な選挙になります。したがって、政権与党が頻繁に入れ替わることがなく、政局が安定する傾向にあります。

また、小選挙区制では選挙の活動エリアが狭くなるため、候補者と有権者1人ひとりとの距離が近くなり、向き合える時間が増えます。その結果、民意をくみ取った政策を実現することができるようになります。

さらに、候補者にとっては、選挙費用を安く抑えることができるというメリットもあります。
小選挙区制の選挙では、選挙運動による候補者へのアピールは、選挙区内だけで済みます。したがって、活動範囲が限定的になり、選挙費用の負担も小さくなります。

小選挙区制のデメリット

さいごに小選挙区制のデメリットを解説します。

小選挙区制のデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 死票が多くなる
  • 一票の格差が生じる
  • 地元への利益誘導

順番に詳しく見ていきましょう。

まず、死票の数が多くなるというデメリットがあります。死票とは、選挙で落選した候補者へ投票された票のことです。
小選挙区制では、獲得した票数がもっとも多い1名の候補者しか当選することができません。したがって、得票数が2位以降の候補者に投票された多くの票は無駄になり、少数意見が反映されにくくなってしまいます。

また、選挙区の人口が異なるために、有権者の持つ一票の価値が平等ではなくなってしまう「一票の格差」も深刻な問題です。
小選挙区制の区割りは、各都道府県の人口に応じて決められています。しかしそれでも、人口の多い都市部と人口の少ない地方では、一票の価値に差が生じているのが現状です。

さらに、利益誘導が起きやすくなる問題もあります。
小選挙区制の選挙区エリアは小さいため、地元の有権者の支持を一定数集めることができると、当選の確率が大きく上がります。このような仕組みを利用し、地元の自治体や企業に利益誘導を行うことで、選挙区における支持基盤を固めようとする候補者が出てくることが考えられます。

まとめ

この記事では、小選挙区制の仕組みや比例代表制との違い、小選挙区制のメリット・デメリットについて解説しました。

  • 小選挙区制とは、1つの選挙区につき1人の候補者が当選する選挙制度
  • 小選挙区制は「人」に投票するのに対し、比例代表制は「政党」へ投票する
  • 小選挙区制のメリットには、安定した政権をつくれること、候補者と有権者の距離が近ことなどが挙げられる
  • 小選挙区制のデメリットには、死票が多くなること、一票の格差が生じることなどが挙げられる

この記事が小選挙区制を理解し、選挙への関心をもつきっかけになれば幸いです。

 

 

<参考>
静岡県総合教育センター あすなろ教室 | 民主政治と選挙
政治ドットコム | 小選挙区制とは?当選までの流れを簡単解説
総務省 | 選挙の種類
NHK選挙WEB | あなたの選挙区は

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