参議院選挙の全国比例とは?比例代表選挙の仕組みやメリットをわかりやすく説明

参議院選挙の全国比例とは?比例代表選挙の仕組みやメリットをわかりやすく説明

2022年7月10日に実施される参議院議員通常選挙の投票では「選挙区」と「比例代表区」があります。

参院選の比例代表選挙は、全国を11ブロックに分ける衆議院選挙と異なり、全国が1つのブロックです。選挙区に比べて死票が少なくなる他、タレント候補が多く出馬するとも言われますが、なぜでしょうか。

本記事では、全国比例の仕組みや投票方法についてわかりやすく説明します。衆院選との違いや非拘束名簿式、特定枠などにも触れているので、参考にしてください。

この記事を監修した人
奥藤裕子
イメージ戦略の構築からトータルプロデュースする選挙コンサルタント。イメージコンサルタントとして培った知識と経験を活かし、数多くの広報ツール制作・政策立案に携わる。政治家の「自己プロデュース力を高めたい」というニーズに応えるべく、今日も現場で奮闘中。

参議院選挙の全国比例とは

参議院の定数と選挙での改選数は、次のようになっています。3年に1度の参議院議員通常選挙では、半数を改選します。

 

 

選挙区

比例代表区

全議席数:248

148議席

100議席

改選数:124

74議席

50議席

 

このうち、比例代表選挙には以下のような特徴があります。

  • 全国を1ブロックとする
  • 候補者名、政党名のいずれでも投票できる
  • 各政党の得票率に応じて議席を配分する
  • 「非拘束名簿式」が適用される
  • 「特定枠」がある

各項目について見ていきましょう。

全国を1ブロックとする

参院選の選挙区は、都道府県単位(鳥取・島根両県と徳島・高知両県は合区)で候補者を選びます。一方比例代表では、候補者は全都道府県の区域から選出されます。

そのため、比例代表の候補者に対して有権者は、住んでいる地域に関係なく誰にでも投票が可能です。また、政党名での投票もできます。

参議院の比例代表制が導入されたのは、1983年の通常選挙からです。それまでは、全国を1つの選挙区として候補者個人に投票する「全国区」と、現在の選挙区制に近い「地方区」でした。

非拘束名簿式・ドント式とは

比例代表選挙では、政党ごとの得票数に応じて議席数が決まります。政党ごとの全国の得票数を1から順に整数で割り、その商の大きい順に議席を配分する方式(「ドント式」)です。

そして、各政党が事前に届け出た名簿内で、個人得票数の多い順に当選が決定します。(ただし、後述の「特定枠」を利用するとこの限りではありません)

参院選の場合は、この名簿にあらかじめ当選順位をつけない「非拘束名簿式」です。非拘束名簿式になったのは2001年の通常選挙からで、それまでは拘束名簿式でした。

比例代表制の詳細や拘束名簿式・非拘束名簿式・ドント式などについては、以下の記事も参考にしてください。

比例代表制ってどんな仕組み?メリット・デメリットは? | スマート選挙ブログ

特定枠とは

特定枠とは、比例代表選挙において政党が候補者を優先的に当選させられる仕組みです。2019年の前回参院選から導入されました。

前述のように、非拘束名簿式での当選者は、政党内の個人得票数の多い順に決まります。しかし特定枠の候補者がいる場合は、得票順位に関わらず優先的に当選となるのです。個人得票数が少ない候補者でも特定枠を利用すれば当選しやすくなる一方、特定枠の候補者には選挙運動の制限があります。

特定枠の利用や人数は各政党の任意です。導入の背景には、自民党が、合区の導入により出馬できなくなった現職候補者を当選させるための「救済措置」だとの指摘もあります。

特定枠や合区の詳細は、以下の記事もおすすめです。

参院選の特定枠とは?制度の仕組みや導入の背景を分かりやすく解説
合区とは?目的や弊害について解説! | スマート選挙ブログ

比例代表制のメリットは死票が少ないこと

選挙で当選者の決定に結びつかなかった票のことを「死票」または「死に票」と言います。落選者に入れられた投票も大切な民意ですが、特に選挙区では議席に反映されません。

一方で比例代表では、一定数の得票があれば少数政党でも議席獲得につながることがあります。選挙区と比べて死票が少なくなることがメリットです。

全国比例にはタレント候補が多い?

参院選の比例代表では、芸能人や元スポーツ選手などの有名人が立候補する、いわゆる「タレント候補」の出馬が多いと言われています。その理由やどうしてなのでしょうか。

有名人候補が多い理由は集票目的?

比例代表では全国どこからでも候補者個人に投票が可能です。そのため、知名度の高いタレント候補の名前を書いて投じる人もいるでしょう。政治に無関心だった人の興味を引き、投票率向上につながることもあります。

政党にとっては、タレント候補が出馬すると政党としての得票を増やすことができ、有利になると考えられます。しかし、個人の得票数は当選ラインに達さず落選し、政党の得票数を稼ぐだけになる候補者もいるのが現状です。タレント候補の乱立は、政党の集票目的とも捉えられかねないとの指摘もあります。

過去のタレント候補

2001年の参院選では、当時国際政治学者としてバラエティ番組などに多数出演し、広く知られていた舛添要一氏が自民党の比例代表区から出馬し、当選しました。158万票以上を獲得し、いわゆるタレント候補としての得票数は過去最多です。同年は民主党(当時)から故・大橋巨泉氏も立候補し、41万票余りを獲得して党内トップ当選となりました。

他に参院選の全国比例で立候補、当選した議員は元SPEEDのメンバーである今井絵理子氏(自民党・2016年)や、元格闘家の須藤元気氏(立憲民主党・2019年)などです。

衆院選の比例代表制との違い

ここまで参院選の全国比例を見てきましたが、衆議院選挙の比例代表制とはどのような違いがあるのでしょうか。衆院選の比例代表の特徴は、以下の通りです。

  • 有権者は政党名で投票する
  • 全国11ブロックに分かれている
  • 「拘束名簿式」が適用される
  • 重複立候補ができる

参院選との違いを比較しながら、見ていきます。

衆議院は政党名で投票・全国11ブロック

参院選の比例代表では政党名または候補者名を記入して投票しますが、衆院選では政党名での投票です。また、地域ごとに11ブロックに分かれています。

政党ごとの得票数によってドント式で議席が配分される点は参院選と同様ですが、全国単位ではなくブロックごとに決まる仕組みです。

拘束名簿式、重複立候補ができる

衆院選の比例代表は「拘束名簿式」です。政党が事前に提出する名簿には、候補者の順位がつけられており、議席獲得数に応じて当選者が決まります。(比例区の同一順位の当選は小選挙区の「惜敗率(落選者の得票÷当選者の得票×100)」で決定)

小選挙区と比例代表との重複立候補も可能です。そのため、小選挙区で落選しても比例代表で当選する「比例復活」が起こり得ます。

参院選では、重複立候補は認められていません。

比例代表選挙の投票方法は?

参院選の比例代表では、政党名または候補者名を記入して投票します。政党名で投票した場合は政党の得票数に、候補者名の場合は候補者個人の得票数かつ政党の得票数にカウントされる仕組みです。選挙区では、候補者名で投票します。

また、前述のように、衆院選の比例代表では政党名の投票のみです。候補者名を記入すると無効になってしまうので注意しましょう。

参院選やその他の選挙での投票方法や流れは、以下の記事をご覧ください。

2022年7月投開票!参院選とは?選挙の流れや投票方法を分かりやすく解説
初めての投票!当日の流れや選挙の種類を徹底解説

まとめ

  • 参議院選挙の比例代表では、全国を1ブロックとし、非拘束名簿式特定枠が適用される特徴がある。
  • 全国比例の候補者には、有権者は住んでいる地域に関わらず投票できる。投票は候補者名または政党名を記入する。
  • 衆議院選挙の比例代表は、全国が11ブロックに分かれていること、政党名での投票のみであること、拘束名簿式や重複立候補の適用などの点で参院選と異なる。

 

 

<参考>

『2021新政治・経済資料 三訂版』実教出版編修部、2021
参議院議員選挙制度の変遷
選挙について:よくある質問:参議院
参議院議員選挙制度の変遷
参院選「特定枠」候補の葛藤 選挙運動なし…でも「当選確実」
死票とは-コトバンク
比例選に強い「タレント候補」…かつては舛添要一さん、大橋巨泉さんはダントツで当選
タレント・著名候補〝33人当落〟 多様な肩書き、一筋縄ではいかない戦い 比例では自民党候補が優勢か 選挙プランナーが分析 2022年夏・参院選(夕刊フジ) – Yahoo!ニュース
比例 立憲民主党(立民) | 参院選 2019 | NHK選挙WEB
自由民主党 比例名簿|2016参院選 | 参議院選挙 | 選挙アーカイブス | NHK選挙WEB
参院選 今回も乱立の著名人候補者、当選はわずか…「集票マシンにしないで」 専門家からは苦言も – 産経ニュース
「どうして芸能人の候補者?」中学生の疑問 知名度は欠かせない一方で、「大事なのは…」(withnews) – Yahoo!ニュース
総務省|投票

 

 

 

 




この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、0歳児と2歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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