「IPCCとは」?第6次統合報告書の内容や気候変動対策との関係について、わかりやすく解説

「IPCCとは」?第6次統合報告書の内容や気候変動対策との関係について、わかりやすく解説

「IPCC」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。IPCCとは、世界のいろいろな国が集まって、地球温暖化などの気候変動や、関係する政策について、科学的な知見を提供している組織です。

2023年3月、9年ぶりにこのIPCCが統合報告書を公表し、大きな話題となりました。

本記事では、IPCCの仕組み、9年ぶりに出た第6次報告書の内容などについて、わかりやすく解説します。

IPCCとは

IPCCとは、「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略。

日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と呼ばれていて、1988年に設立されました。

2021年8月現在、195の国と地域が参加しています。

IPCCの組織は3つの作業部会と1つのタスクフォースからなっていて、世界中の科学者が協力し、科学誌に掲載された論文等に基づいておおむね5~7年ごとに統合報告書を作成しています。

IPCCの報告書は、世界の政策決定者が気候変動対策を決める上で重要視しているもののひとつです。

そのためこの報告者は、気候変動に関する政策に影響力を持つといわれています。

ただし、IPCC自身は、政策的に中立で、特定の政策の提案はおこないません。

あくまでも「科学的中立性」を重視した組織なのです。

第6次統合報告書の内容とは

2023年3月、IPCCは、9年ぶりとなる第6次統合報告書を公表しました。

各国は産業革命前からの気温上昇を1.5℃までに抑えることを目指していますが、報告書では、このままいくとあと10年でプラス1.5℃に達する見込みだとしています。

そして、このままいくと今世紀末には気温が3.2℃上昇することが示されたのです。

報告書は「この十年で行う選択が数千年先まで影響を及ぼす」として、ただちに大幅な削減強化が必要だと示しました。

温室効果ガスの排出を減らすことができなければ、地球規模のさまざまな悪影響が予想されており、報告書は「持続可能な未来への窓が急速に閉じつつある」と警告しています。

また、地球温暖化の原因について、第5次の報告書では「人間の影響の可能性が極めて高い」としていましたが、今回の統合報告書では、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」としています。

地球温暖化が人間の活動によるものとIPCCとして断定したのは初めてのことで、この点でも大きな注目を集めました。

統合報告書を受けて、各国の反応は

今回の統合報告書を受けて、影響のある国や対策を迫られている国など、さまざまな反応を見せています。

「小島しょ国連合」はすぐに統合報告書を受けて声明を発表しました。

温暖化によって海面が上がると、小さな島国は消滅する可能性もあるとされています。

「小さな島国に生命を脅かすリスクが及ぶことがはっきりした」として、世界に対策の加速を呼びかけました。

特に、石炭を使った火力発電は二酸化炭素の排出量に影響が大きいことから脱炭素化のために対応が必要と考えられています。

こうした動きを受け、2023年5月のG7首脳会議では、発表した首脳声明に化石燃料の段階的廃止の加速が初めて明記されました。

しかし、この声明には、焦点となっていた石炭火力発電をいつ廃止するのかという肝心の時期については、盛り込まれていません。

G7の中でも日本は、太陽光発電に適した土地が少ないなどの理由から、一定程度の石炭火力の活用を念頭に置いているとされています。

このため、「脱炭素化の手法をめぐり、日本と他の6カ国の対立が目立つ」という報道もされています。

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まとめ

  • IPCCとは、世界のいろいろな国が集まって、地球温暖化などの気候変動や、関係する政策について、科学的な知見を提供している組織。
  • 2023年3月、9年ぶりとなる第6次統合報告書を公表。このままいくとあと10年で産業革命以前と比べた気温がプラス1.5℃に達する見込みで、今世紀末には3.2℃上昇することが示された。
  • 報告書は「持続可能な未来への窓が急速に閉じつつある」と警告し、急速で大幅な対策強化が必要としている。
  • 統合報告書公表後に開かれたG7首脳会議では、首脳声明に化石燃料の段階的廃止の加速が初めて明記された。しかし焦点となっていた石炭火力発電の廃止時期は盛り込まれなかった。

 

 

<参考>
資源エネルギー庁 | 気候変動対策を科学的に!「IPCC」ってどんな組織?
気象庁 | 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
資源エネルギー庁 | あらためて振り返る、「COP26」(前編)~「COP」ってそもそもどんな会議?
日本経済新聞 | 温暖化ガス、35年に19年比60%削減を IPCC報告書
毎日新聞 | この10年が数千年に影響? IPCC報告書が説く“今すべきこと”
NHK | IPCC統合報告書 気候変動対策・迫るタイムリミットとGX
NHK | 地球温暖化原因は人間の活動国連IPCCが報告書
日経ESG | G7、「35年60%減」を強調踏み込み不足に日本の実情にじむ
産経新聞 | 気候変動、日本以外と温度差 技術で脱炭素に貢献を G7

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