参議院にはどんな役割があるの? 参議院と衆議院の違いを紹介

参議院にはどんな役割があるの? 参議院と衆議院の違いを紹介

2022年の参議院議員選挙投票日も迫り、選挙への関心が日に日に高まりつつあります。

参議院とは、簡単にいうと衆議院とともに国会構成する両院の1つです。

その参議院は国会においてどのような役割を果たしているのでしょうか。

また日本には、参議院の他に衆議院もあります。それぞれの役割はどのように異なるのでしょうか。本記事では、具体例を挙げてわかりやすく紹介します。

2022年に選挙が行われる「参議院」とは

「衆議院」とともに、日本の国会を構成するのが「参議院」です。参議院議員の任期は6年。3年ごとに半数改選され、任期途中の解散はありません。

また、第二次世界大戦以前は「衆議院」と「貴族院」の両院で国会が構成されていましたが、日本国憲法施行により貴族院が廃止され「参議院」が設立されました。

日本は「衆議院」と「参議院」の二院制

日本は「上院」にあたる参議院と「下院」にあたる衆議院の2つの議院からなる「二院制」を採用しています。二院制では、各議院がそれぞれ独立して意思決定を行い、両議院の意思が一致することによって国会の意思が成立します。

二院制のメリットとして以下のような点が挙げられます。

  • 国民の間の多様な意見と利益を広く反映させることができる
  • 一方の議院の行き過ぎを抑え、足りないところを補える
  • 一方の議院の決めたことを他の議院がさらに検討することにより、慎重な審議が行える

衆議院と参議院で多数派が異なる状態のねじれ国会についてはこちらで解説しています。

ねじれ国会とは?仕組みや原因、メリット・デメリットを解説 | スマート選挙ブログ (smartsenkyo.com)

参議院と衆議院の違い

衆議院も参議院も、内閣や国会議員から提出された法律案を審議・制定したり、首相を選出したりと、共通の役割があります。

しかし、被選挙権年齢・議員の任期・人数・議院の権限などには違いがあります。

議員の任期・選挙制度の違い

衆議院と参議院の任期や定数、選挙制度の違いは以下の通りです。

 衆議院参議院
議員定数465人245人
任期4年(衆議院解散の場合、その期間満了前に終了)6年(3年ごとに半数改選)
選挙権満18歳以上満18歳以上
被選挙権満25歳以上満30歳以上
選挙区

小選挙区:289人(全国を289区)
比例代表:179人(全国を11区)

選挙区:147人(原則都道府県単位45区)
⇒鳥取県・島根県、徳島県・高知県はそれぞれ2県の区域で1選挙区
比例代表:98人(全国を1区)
解散ありなし

権限の違い「衆議院の優越」

衆議院も参議院も同等の権限を持っており、国会の意思が成立するためには、両議院の議決が一致することが必要です。

しかし、必ずしもすべての議決が一致するとは限りません。そこで、両議院の議決が一致しない場合には、「両院協議会」が開かれることがあります。​さらに、両院協議会を開いても意見が一致しないときは、いくつかの点で、衆議院に参議院より強い権限が認められます。これが「衆議院の優越」です。

「衆議院の優越」がある理由は、衆議院には解散があり、参議院に比べて任期が短いため、参議院よりも国民の意思を反映しやすいと考えられているためです。

 

衆議院にのみ認められている権限

  • 先に予算を提出する権限(予算先議権)
  • 内閣不信任決議を行う権限
    (参議院でも内閣不信任を決議する場合は「問責決議案」という形式で行います)

衆議院の議決が優先される場合

  • 「予算の議決」「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」については、衆議院の議決が国会の議決となる。
  • 法律案については、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合​、衆議院において出席議員の3分の2以上が賛成で再可決すれば法律となる。

 

また、参議院のみの機能として、「​​参議院の緊急集会」があります。

参議院は衆議院の解散と同時に閉会となりますが、国会閉会中に緊急の問題が発生した場合に、参議院が国会の権能を暫定的に代行する制度です。

「参議院不要論」と「良識の府」としての役割

参議院は、かつて学識経験者や文化人の議員が多く所属し、政党色の薄い活動をしていたことから、「良識の府」と呼ばれることがあります。

ところが、参議院の選挙制度に比例代表制度が導入されたことから参議院の政党化が進みました。

その結果、現在は参議院の独自性が薄くなり「衆議院のカーボンコピー」と揶揄されるようになりました。また、良識の府としての機能も弱まっており、「参議院不要論」を唱える人もいます。

しかし参議院は、被選挙権が30歳と衆議院議員より年長、かつ任期も衆議院より長く、任期途中での解散がありません。そのため、長期的な視点で調査・審議ができるという利点があります。一時的な世論や内閣の動きなどに惑わされることが少ないことも、参議院の特長といえるでしょう。

2022年の参議院選挙の結果を受け、今後参議院がどのような役割を担うようになるのか、注目されています。

まとめ

  • 日本の国会は「参議院」と「衆議院」の二院制。
  • 戦後「貴族院」が廃止され「参議院」となった。
  • 参議院と衆議院には、議員の任期・選挙制度・権限の違いなどがある。
  • 参議院は「良識の府」とも呼ばれているが、現在は衆議院との違いがなくなりつつあることから「参議院不要論」も出ている。
  • 参議院には、任期が長く解散もないため、長期的な視野で法案や政策を議論することが可能という利点がある。

 

<参考>
参議院HP「参議院のあらまし」より「国会の地位と権能」
学研キッズネット「さんぎいん(参議院)」
学研キッズネット「きぞくいん(貴族院)」
参議院HP「よくある質問」
参議院HP「参議院のあらまし」より「両議院の関係」
参議院HP「参議院のあらまし」より「参議院の緊急集会」
参議院キッズページHP「国会のしくみと法律ができるまで!」
進研ゼミ中学講座HP「衆議院の優越」
nikkei4946.com「22年夏に参院選、衆院とどこが違う?」
読売新聞オンライン参院選2022HP「衆議院と参議院、どこが違う?参議院が「良識の府」と言われるわけ」
日本放送協会HP「参院選投票に行こう!ひとくちメモ(1) そもそも参議院って?」

タイトルとURLをコピーしました