公的扶助とは何か?生活保護との違いを分かりやすく解説

公的扶助とは何か?生活保護との違いを分かりやすく解説

「公的扶助とはどのような制度なのだろう?」
「公的扶助と生活保護にはどんな違いがあるの?」

公的扶助は、社会保障制度の1つです。本記事では公的扶助の概要や仕組みを紹介します。生活保護との違いも分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

公的扶助制度とは?社会福祉や社会扶助との違い

日本の社会保障制度は「社会保険」「公的扶助」「社会福祉」「公衆衛生」という4つの柱で構成されており、公的扶助制度はそのうちの1つです。

生活扶助制度では、主に貧困者・低所得者を対象に健康と生活を最終的に保障するための制度として存在します。物価高対策で行われたお米の支給や、コロナ禍で実施された一時金の支給なども公的扶助の1つです。

公的扶助制度は、「貧困者対策」と「低所得者対策」の2つに分けられます。

貧困者対策

貧困者対策とは、生活に困窮している国民全てに、健康で文化的な最低限の生活を保障する対策のことで、生活保護制度が該当します。

生活保護の概要や種類については、後ほど紹介します。

低所得者対策

低所得者対策とは、所得が低い国民に対する保障制度で、以下の制度が該当します。

  • 社会手当制度:保険料などを収めなくても受け取れる現金給付のことで、社会保険と生活保護の中間的な制度。児童手当・児童扶養手当・特別児童扶養手当・特別障害者手当・障害児福祉手当などの種類がある
  • 生活福祉資金貸付制度:無利子または低利子で生活に必要なお金を貸す制度。総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金がある
  • 公営住宅制度:母子家庭や高齢者、心身障害者向けの住宅や家賃の低い住宅を貸す制度

公的扶助制度(生活保護制度)の現状

2022年6月に厚生労働省が発表したデータを参考に、公的扶助制度(生活保護)現状を大まかに紹介します。

生活保護受給者数は2015年の約204万人をピークに減少傾向にあります。

2022年3月時点の生活保護受給世帯数を見ると、約164万世帯で微増が続いています。内訳を見ると高齢者世帯が増加しており、母子世帯は減少傾向です。

年齢別では、生活保護受給者の半分以上が65歳以上という結果が出ています。

生活保護負担金(生活が困窮している人への保護を行う際に国が負担するお金)は約3.7兆円で、約半分が医療扶助という状態です。

公的扶助と社会福祉・社会扶助の違い

公的扶助と似ている言葉に「社会福祉」と「社会扶助」があり、混同してしまう方も多いでしょう。それぞれの違いを紹介します。

社会福祉は公的扶助と同じ社会保障制度の1つで、児童や母子、高齢者など生活を送る上でハンディキャップを抱える人々への公的な支援を行う制度のことを意味します。

社会扶助とは、公的扶助・社会福祉を含む、生活に困窮している人たちを保険の仕組みを使わずに税金で支援する制度全般のことを意味する言葉です。

それぞれ意味が異なるので、判別できるようになりましょう。

公的扶助制度と生活保護制度の違い

公的扶助制度と生活保護制度の違いについても解説します。

先述のとおり、公的扶助制度は貧困者対策と低所得者対策に分けられ、生活保護制度は貧困者対策に当たります。言い換えると生活保護制度は公的扶助制度の1つです。

生活保護制度は憲法で定められた「生存権」を実現するための制度で、生活保護法第一章第一条では、以下のように定義されています。

この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

引用:生活保護法第一章第一条| e-Gov法令検索

生活保護の目的は、全ての国民が健康で文化的な最低限の生活が送れるよう所得の保障をし、生活保護の対象者が社会的に自立できるよう相談や支援を行うことです。

8つの生活保護

生活保護には以下8つの種類があり、必要に応じて申請し、受けることが可能です(2つ以上の扶助を受けることもでき、併給と呼びます。)

  • 生活扶助:日常生活で必要な費用(食費・被服費・光熱費など)を支給
  • 住宅扶助:住宅の家賃を支給
  • 教育扶助:義務教育を受けるための学用品費などを支給
  • 医療扶助:診察、薬の処方を受けるのに費用の支給
  • 介護扶助:介護サービスに必要な費用の支給
  • 出産扶助:出産に必要な費用を支給
  • 生業扶助:就労するための技能の習得などに必要な費用を支給
  • 葬祭扶助:葬祭にかかる費用を支給

医療扶助と介護扶助で支給される金銭は医療機関・介護事業者へ直接支払われ、生活保護受給者には現物支給となります。それ以外の扶助については金銭を支給します。

生活保護対象者と権利・義務

生活保護は全ての国民が受けることが可能です。しかし前提となる条件があり、現在の収入・資産(預貯金、不動産、自動車など)・稼働能力・扶養義務者からの扶養・その他の法律による給付などを活用しても生活が困窮すると認められた場合、生活保護受給の対象者になります。

上記のいずれかで生活をある程度賄える場合、不足している分を生活保護として受け取ることができます。

生活保護受給者は正当な理由なく保護の条件を不利益に変更させられることはなく、所得税や住民税などの税金が課されることはありません。また支給された金品と、それらを受け取る権利を差し押さえられることもありません。

一方、義務として生活保護を受ける権利を他人に譲ることはできず、働くことができれば労働・節約しながら生活水準の向上に努め、居住地や世帯に変更があった場合は住んでいる地域を管轄する福祉事務所長に届け出ることなどが求められます。

生活保護の手続き方法

生活保護の手続きをする場合、以下の流れで行います。

  1. 住んでいる地域を管轄する福祉事務所の生活担当課で相談
  2. 生活保護を申請
  3. 調査
  4. 生活保護の支給

3.調査では、以下のような調査が実施されます。

・生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
・預貯金、保険、不動産等の資産調査
・扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
・年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
・就労の可能性の調査

引用:生活保護制度 | 厚生労働省

生活保護の受給中は毎月収入の状況を申告し、福祉事務所のケースワーカーが年に数回の訪問調査を行います。就労できそうな場合、ケースワーカーから就労に向けたアドバイスなどが行われます。

まとめ

本記事では生活扶助制度と生活保護制度について解説しました。以下に内容をまとめます。

  • 公的扶助制度は社会保障制度の1つで、貧困者・低所得者を対象に健康と生活を最終的に保障するための制度のこと
  • 公的扶助制度は「貧困者対策」と「低所得者対策」の2つに分けられる
  • 生活保護制度は公的扶助制度の貧困者対策のこと
  • 生活保護には8つの種類がある
  • 生活保護は全ての国民が受けられるが、現在の収入・資産・稼働能力・扶養義務者からの扶養・その他の法律による給付などを活用しても生活が困窮すると認められた場合、支給される
  • 生活保護を申請するには、住んでいる地域の福祉事務所の生活担当課に相談し、調査を受ける必要がある

 

<参考>
ユースアドバイザー養成プログラム/第4章 さまざまな社会資源─関係分野の制度,機関等の概要,関係機関の連携等─
社会保障ー公的扶助 | NHK for School
ユースアドバイザー養成プログラム/第4章 さまざまな社会資源─関係分野の制度,機関等の概要,関係機関の連携等─
II.社会福祉 | 知るぽると
社会保障制度とは?年金制度や医療保険を含む社会保障制度をわかりやすく解説
生活保護制度の現状について
生活保護制度 | 厚生労働省

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