全国の選挙で、候補者にとって選挙戦略の重要なツールとなる選挙運動車、通称「選挙カー」。
入手には購入したり、自分の車を改装したりとさまざまな方法がありますが、レンタルする場合も多いのではないでしょうか。
とはいえ、選挙用レンタカーの値段やサービスはまちまち。今回は、選挙カーをレンタルする場合のメリット・デメリットや選び方、さらに公費負担制度などを使い、安く効率的に準備する方法を詳しく調べてみました。
本記事で紹介しているサービスや価格などについては、記事執筆時点の2021年9月現在の情報です。ご利用の際には必ず各業者様に内容をご確認ください。
選挙カーをレンタルするメリット・デメリットは?
選挙カーのレンタルを検討する場合、気になるのはメリットとデメリット。
新たに選挙用の車を購入したり、自分の持っている車を改装したりする場合と比較して、それぞれ見ていきましょう。
レンタルのメリットは価格面やサービス面
選挙カーをレンタルするメリットの1つは、価格面です。
専門業者に注文して選挙カーを購入することもできますが、車体の値段や製作費に加え、購入後も維持費など様々な費用が掛かってしまいます。
選挙カーは選挙運動の期間中にしか使用しないものだと考えると、メンテナンスや車検代、保険代、駐車場代などのコストがもったいないと感じる方も多いのではないでしょうか。
その点レンタルであれば、選挙運動期間に合わせて借りることができるので、維持費がかからず費用を抑えることができます。
また、サービス面も魅力的です。
選挙カーは自分の車を改装して使用することもできます。しかし、選挙カーの車体やナンバーの種類、改装する場合の制限などについて、公職選挙法や道路交通法で細かいルールが定められています。
「細かい規則を自分で調べるのが面倒」、「万が一、知らずに選挙違反になってしまったら大変」と考えると、選挙カーのルールに精通したプロである専門業者に任せることができるレンタル選挙カーがおすすめです。
後述しますが、選挙カーのレンタルを行う専門業者が手がけるのは車体の手配だけではありません。候補者名を印字した看板の制作・設置の代行や、音響設備の貸し出し、運転手付きなどのサービスが含まれている場合が多くあります。
これらの備品をバラバラに揃えるより、一括して専門業者専門企業に依頼することで効率的な選挙運動の準備ができるでしょう。
デメリットはある?費用や手間など
レンタルする場合のデメリットは、自分の車を改装して使用する場合に比べると費用がかさんでしまう可能性があることです。
また、レンタル業者との見積もりや打ち合わせなど、事前のやりとりが煩雑に感じる方もいるかもしれません。
しかしそれらの点については、自分の車を使う場合も改装費や使用後の維持のためにある程度のコストが掛かってしまいますし、専門業者であれば見積もりや候補者の希望のヒアリングなどのノウハウも確立しているので、スムーズに進めることができそうです。
また、事務所用品やパンフレットの作成など、選挙カー関連以外の選挙用品も取り扱っている業者であれば、他の必要な選挙グッズとまとめて注文することで費用が省ける場合もあります。
レンタル選挙カーの価格は?
選挙カーのレンタルは実際のところ、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
選挙運動には「公費負担制度」があります。公費負担制度を利用した場合の自己負担額の目安について調べてみました。
選挙カーには公費負担制度が使える
公費負担制度とは、候補者が平等に選挙運動を行えるように、選挙運動にかかる費用を国や地方公共団体が一部負担する制度です。具体的には、公職選挙法や各自治体の条例などで上限や対象が定められています。
選挙カーに関する費用では、車の借り入れ代・燃料費・運転手の雇用費用が対象となる場合が一般的です。
具体的な金額は、各自治体や立候補する選挙の種類によって異なるため、明記することはできません。公費負担制度のない自治体も一部あります。また、選挙で得票数が一定に達しなかったとき(供託金没収になる場合)は、公費負担を受けられません。
実際の公費負担額は、立候補する自治体の選挙管理委員会のHPを確認したり、問い合わせたりして、事前に確認しておくことが重要です。
参考:芦屋市選挙管理委員会 選挙公営(公費負担)の手引き(自動車、ポスター及びビラ)
自己負担額の目安は約20万円?
上記のように、公費負担額を明記することはできません。しかし選挙カーレンタルを行う業者では公費負担額の目安を設定し、自己負担額の相場を示していることも多くあります。
例えば以下のサイトでは、国政選挙では衆議院議員選挙で38万円台、参議院議員選挙で46万円台、地方選挙では首長選挙で7万円台から26万円台、議会議員選挙で7万円台から14万円台と設定しています。
上記の目安で公費負担額が差し引かれることを想定し、自己負担額は20万円前後でのプランが提示されています。
もちろん、実際は選挙の種類や自治体による公費負担額の違いに加え、サービスやオプションの利用でも価格が変わってきます。納得できる価格で契約するために、公費負担制度の確認や業者との見積もり等はしっかり行いましょう。
参考:選挙立候補.com
レンタルにはどんなサービスがある?
選挙カーのレンタルを取り扱うのは、選挙用品会社・レンタル用品会社・レンタカー会社・タクシー会社などです。
「レンタルのメリットは価格面やサービス面」で述べたように、選挙カーのレンタルには車体の貸し出しだけではなく、多様なサービスやオプションが用意されているのが一般的です。具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
候補者名をアピールする看板制作
「選挙カー」と聞いてイメージするのが、候補者の名前などを目立つように印字し車体に取り付けた看板ではないでしょうか。
選挙戦略では、街中で選挙カーを目にした有権者に、候補者の名前や顔を覚えてもらうことが最重要になります。そして、他の候補者も同じように自身の存在を印象付けようとしているはずです。そんな中で、より目を引くデザインで有権者にアピールしたいですよね。
レンタル選挙カーを手がける業者では、車体のレンタルと同時に看板のデザインや制作を手がけるサービスが多くあります。自社でデザイナーや工場を持ち、品質やスピードに力を入れているところも。
一言で看板と言っても多様です。例えば高層のマンションやビルなどが多い地域であれば、路上から見える位置だけではなく、高層階から見下ろした際に名前が見えるよう、車の屋根に看板を取り付けるパターンもあります。
また、日が短い季節の選挙活動であれば、薄暗くなっても見えやすいようにLED照明付きの看板を使うという選択肢もあります。
立候補する地域や選挙の時期を考慮したデザインや、オプションを選ぶことができますね。
音響、スピーカーも重要
選挙カーに欠かせないのが、候補者の名前や立候補への思いを訴えるための音響設備。
せっかく選挙カーを走らせても、音響設備が整っておらず候補者名などが聞き取りづらいと、ただ「うるさい」と感じられてしまうだけになってしまいます。クリアで聞き取りやすい音声であることはとても重要です。
騒がしい街中で候補者の名前を正確に聞き取ってもらうためには、比較的高性能なアンプやスピーカー、マイクなどの設備が不可欠になります。
こちらも、最初から車に設置されていたり、オプションで借りることができたりする業者がたくさんあります。
車を停めて街頭演説をすることを想定し、車上に演説ステージを備え付けているタイプもあります。
参考:選挙仕事人.com
車両メンテナンス、補償など
選挙運動期間中はほぼ連日の日中、街中を走り回ることになる選挙カー。限られた時間の中で万が一車両トラブルが発生し、街宣活動ができなくなると大きな損失です。
レンタルした場合は、納車前に車両メンテナンスされているだけではなく、貸出期間中に車両トラブルがあった場合に修理対応や代替車を用意してくれるなどの対応が用意されていることがほとんどです。
参考:トヨタレンタリース埼玉
タクシー会社では運転手付きのプランも
選挙カーを使うには、車体の準備とは別に運転手の手配もしなければなりません。ですが、長時間の運転に慣れていることや地元の道をよく知っていること、そして何より安全運転が重要なので、「運転のプロに頼みたい」という方もいるのではないでしょうか。
レンタカー会社や選挙用品会社などでは、運転手の手配は候補者自身に委ねられている場合がほとんどです。
しかし、タクシー会社の選挙カーレンタルでは運転手付きのプランも用意されています。地元の交通事情をよく知っているであろう、プロの運転手の力を借りられると心強いですよね。
以上は、それぞれ別々に用意するよりも一括でレンタルした方が手間や費用が大幅に削減される場合がほとんどです。
とはいえ、例えばLED照明や車上の演説ステージの必要性、運転手付きのプランが良いかどうかは立候補する選挙区や時期、選挙陣営の人手にもよります。
選挙活動期間中の計画を踏まえ、より適したサービスを利用して必要なオプションを取捨選択することも重要です。
参考:芝山タクシー
ニーズに応じた選挙カーで効果的な選挙運動を
価格面からサービス面まで、さまざまな種類がある選挙カーのレンタル。
立候補する選挙の種類や自治体の公費負担制度なども踏まえて、ニーズに合わせたオプションも含めて選ぶことで、選挙運動により全力投球できるのではないでしょうか。