「18歳になり、有権者として初めての選挙!」
「選挙権はあるけれど、まだ一度も投票に行ったことがない」
そんな方にとって、初めて選挙投票に行くとなると、投票の流れや方法など気になることがたくさんありますよね。
「投票って、具体的にどうすればいいの?気をつけることは?」
「場所や持ち物、投票所に着いてからの流れは? 」
「選挙にはたくさん種類があるけれど、投票方法に違いはある?」
などの点はもちろん、「けがや病気で文字が書けない人は投票できるの?」といった疑問についても解説します。
初めての投票、分からないことが多いと不安になることも。そんなときはぜひ、この記事を参考にしてください。
選挙で投票できる権利とは?
選挙の投票権利がある人を「有権者」と呼びます。
国の代表である衆議院議員や参議院議員を選ぶ「国政選挙」では、満18歳になった日本国民に、選挙で投票する権利である「選挙権」が与えられます。
正確には、選挙の投票日翌日までに18歳の誕生日を迎える場合、有権者として投票ができます。
また、都道府県や市区町村の代表を選ぶ地方選挙の選挙権は、18歳以上であることに加え、その選挙が行われる都道府県や市区町村で3カ月以上暮らしていることなどが必要です。
有権者かどうか、選挙前にちゃんと分かる?
「18歳になったけれど、私って、本当にちゃんと有権者なのかな?」
最初は実感が湧かず、そんな不安があるかもしれません。
実際に選挙の投票日が近づいてくると、有権者には、住民登録をしている住所(選挙人名簿登録地の市区町村)に「投票所入場券」が付いたハガキが郵送されてきます。
入場券は有権者1人につき1枚あり、選挙の日程や会場が開いている時間、投票所の場所などが記載された案内も載っています。
案内を見れば、投票の日時や場所が分かるので安心ですね。
投票所ってどんなところ?自宅から遠い?
投票所の多くは、地域の小中学校や公民館、体育館などに設置されます。
投票日はいつ?時間は?
いざ投票日。投票所入場券に記載されている日程です。
ニュースや街中のポスターなどでも告知されるので、自然と目に入ることも多いですね。
投票日は、日曜日の日中に設定されていることがほとんどです。
午前7時から午後8時まで開いている場合が多いですが、お住まいの地域によっては時間が異なることもあるので事前に確認しておきましょう。
持ち物は?入場券をなくしてしまったら?
投票所への持ち物は、前述の「投票所入場券」を忘れずに。
案内とつづりハガキになっていることが多いので、入場券の部分を切り離して持参します。
基本的に持ち物はこれだけでOK。
筆記用具や投票用紙は会場に用意されています。
もしも入場券をなくしたり、持って行くのを忘れたりしても、投票ができなくなるわけではありません。
投票所で、有権者本人だと確認できれば投票することができます。
その場合は運転免許証や保険証など本人確認ができるものがあると、よりスムーズです。
投票の流れは?
無事に投票所に到着したら、まずは受付で入場券を確認してもらいます。
確認ができたら投票用紙を渡されるので、それを持って投票記載所に移動します。
投票記載所はカウンター台のような机になった記入台で、1人ずつのスペースに仕切りがされています。
これは、隣に人がいてもお互いに誰に投票したかが見えないようにするためです。
投票用紙の枚数や書き方は、選挙の種類によって異なります。
投票用紙への記入が済んだら、投票箱まで進んで用紙を入れます。
ここでも箱の中身は外から見えないようになっています。
これで投票は完了!
投票所の中で迷わないように、それぞれの場所に張り紙がしてあったり、順路が書いてあったりときちんと案内があります。
そのまま会場を出れば終了です。
よほど混み合っていない限りは、数分で終わることが多いです。
投票日に選挙に行けない場合はどうする?
ここまで、投票日当日の流れについて説明してきました。
しかし中には学校や仕事、友人との約束などがあり、投票日に選挙に行けない!という方もいるのではないでしょうか。
または、旅行や出張で住民票のある住所から長く離れていて、選挙のためだけに帰省するのは難しいことも。
そう言った場合も投票ができるように「期日前投票」や「不在者投票」などの制度もあります。
選挙にはさまざまな種類がある
「選挙」といっても、実はいろいろな種類があります。
国の代表を選ぶ国政選挙は「衆議院議員選挙」と「参議院議員選挙」。
地域の代表を選ぶ地方選挙では、「都知事選挙」や「市長選挙」「村長選挙」、他に「県議会議員選挙」や「市議会議員選挙」など、耳にしたことがあると思います。
選挙の種類によって、選ぶ対象が異なるだけでなく、投票用紙の枚数や書き方も少し異なります。
それぞれの選挙について、くわしく見ていきましょう。
国政選挙「衆議院議員選挙」とは?投票方法は?
国の代表である国会議員のうち、「衆議院」の議員を選ぶ衆議院議員選挙。
「総選挙」「衆院選」と呼ばれることもあります。
これは、衆議院議員の4年間の任期が満了したときに行われる場合と、衆議院の解散によって行われる場合があります。
衆議院の解散は、メディアでも連日たくさん報道されるので、注目されていることが多いですよね。
衆議院議員は465人が定数となっていて、このうち289人が「小選挙区制」、176人が「比例代表制」という枠組みの中から選ばれます。
小選挙区制の投票方法
制度の仕組みは少しややこしいですが、「小選挙区制」では、地域(選挙区)ごとに立候補者が複数いる中から自分が投票したいと思った1人を選び、候補者名を記入します。
その選挙区で一番得票数の多い人が当選することになります。
ちなみに、投票用紙に記入する直前になって、投票する候補者の名前を忘れてしまった!という場合でも大丈夫。
記入台のところに名前の一覧が書いてあるので、落ち着いて見てみましょう。
比例代表制の投票方法
次に、「比例代表制」では、衆議院選の場合は投票したい政党等の名前を選び比例代表用の用紙に書きます。
候補者個人の名前ではないので注意してください。
こちらも記入台で政党等の名称を見ることができるので、確認して書きましょう。
番外編:国民審査の投票方法
最後に「最高裁判所裁判官国民審査」です。
衆議院議員の選挙なのに、最高裁判所?と疑問に思うかもしれません。
これは法律で、最高裁判所の裁判官は任命後最初の衆院選の投票日に「国民審査」を受け、ふさわしいかどうかを民主的に決めることになっているためです。
投票用紙には、対象となる裁判官の名前が一覧で書かれています。
その中から「辞めさせた方が良いと思う裁判官」の名前の上の欄に、×印を記入することになっています。
辞めさせる必要がないと思う場合は、何も書かずに投票します。
◯印をつけたりする必要はありません。
国政選挙「参議院議員選挙」とは?投票方法は?
「参議院」の国会議員を選ぶ参議院議員選挙について見ていきましょう。
参議院の定数は245人となっています(令和元年7月29日から令和4年7月25日までの間。令和4年7月26日以降は248人)。
議員の任期は6年です。
参議院には解散制度はないので、3年に1度、半数ずつ選挙を行います。
参議院議員は「選挙区制」が147人と「比例代表制」が98人で(令和元年7月29日から令和4年7月25日までの間)、こちらも2つの制度それぞれに投票することになります。(令和4年7月26日以降は選挙区148人、比例代表100人)
参院選の投票所では、「選挙区選挙」「比例代表選挙」の2枚の投票用紙を渡されます。
選挙区制の投票方法
選挙区用の用紙には、候補者1人の名前を選んで記入します。
これは衆院選の小選挙区と同様ですね。
参院選の選挙区制では、地域(選挙区)ごとに定数が決まっていて、その中でたくさんの票を獲得した候補者から順番に当選していく仕組みです。
比例代表制の投票方法
比例代表用の用紙には、候補者または政党等の名称のどちらかを書きます。
こちらは衆院選と異なる点です。
実際には、候補者の名前を記入しても、その候補者の所属する政党を選んだということになり、得票数は政党ごとに決まります。
地方選挙とは?種類や投票方法は?
ここまでは衆院選、参院選の国政選挙について紹介してきました。
国政選挙は全国ニュースで大きく取り上げられることが多く注目されやすいですが、私たちの代表を選ぶ選挙は、それだけではありません。
自分が住み、生活している地域のことを決めている代表者を選ぶ「地方選挙」も重要です。
地方選挙には、都道府県や市区町村の代表、つまり県知事や市長など地方公共団体の長を選ぶものと、都道府県や市区町村の議会議員を選ぶものがあります。
これらの地方選では、投票用紙には選びたい候補者1人の名前を記入します。
自分の票が無効にならないために投票で気をつけること
国政選挙、地方選挙を問わず、せっかく選挙に参加したのだから、自分の票がなかったことになってしまうと残念ですよね。
しかし、より公正な選挙が行われるために、投票用紙の記入にはルールがあります。
投票が無効にならないための注意点は3つあります。
投票用紙以外に記入するのはNG!
選挙では投票所で渡された専用の用紙に記入しなければなりません。
当然ですが、持参した紙に候補者の名前や政党を書いても、カウントされません。
複数の候補者名を書くとNG!
A候補者とB候補者、どちらも当選してほしい!という気持ちの場合もあるかもしれませんが、投票用紙に2人以上の名前を記入すると無効になります。
必ず1人だけにしましょう。
候補者名(または政党等名)以外のことを記入するのもN G!
選挙ごとの投票方法で決められた内容以外のものを書いた場合も無効になります。
例えば、候補者の名前をきちんと書いていても、余白に「がんばれ!」とか「絶対当選!」とか書いてしまうと、有効な票になりません。
また、候補者名に「先生」や「さん」をつけても無効になります。
候補者の通称やニックネームは、選挙管理委員会へ正式に届けが出されたか、すでに世間で広く知られている水準のものだけは有効と判断されます。
もちろん、そもそも候補者ではない人の名前を書いたり、落書きだけを書いたりするのも無効になります。
せっかくの投票が無駄になってしまわないよう、確認しておきましょう。
文字が書けない場合も投票できる?
けがや病気で自筆できない人のための制度がある
投票方法や用紙の記入方法について見てきた通り、選挙の原則は、有権者が自分自身で投票用紙に候補者の名前などを記入することです。
しかし、病気や障害、けがなどの理由があり、自分で文字を書くのが難しい方もいますよね。
そんな場合でもきちんと1票を行使できるように「点字投票」や「代理投票」の制度があります。
目の不自由な人のための「点字投票」
点字投票とはその名の通り、視覚障害のある方が点字を使って投票できる制度です。
投票管理者に申し出ることで、点字投票用の投票用紙や点字器などを使って投票することができます。
その他の理由で文字が書けない場合は「代理投票」
病気やけがなどで文字を書くことができない場合は、2人の補助者によって代理投票をすることができます。
投票管理者に申し出ると、指定された補助者のうち1人が本人の指示する候補者名などを投票用紙に記入し、もう1人はきちんと指示通りに書いているかを確認した上で、投票が行われます。
投票は意外と難しくない?初めてでも大丈夫!
18歳になって初めての選挙投票。
投票の流れや方法、選挙の種類ごとの違いについて見てきました。
何事も、最初は少し緊張して腰が重くなってしまうもの。
でも実際の投票は、初めてでもスムーズにできるように工夫されています。
せっかく与えられた選挙権。選挙投票デビューに、今回の記事が少しでも参考になると幸いです!
<参考文献>
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