洋上投票とは?船からできる不在者投票を解説

洋上投票とは?船からできる不在者投票を解説

「洋上投票」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

洋上投票とは、国政選挙の投票日に指定船舶に乗っている船員が、FAXを利用して投票できる不在者投票制度です。地方選挙や国民審査では導入されていません。

公職選挙法の改正により、2017年からは実習生などにも対象範囲が拡充されました。具体的には、どのような人が利用できるのでしょうか。また、どのような手続きが必要なのでしょうか。

本記事では、洋上投票の対象になる場合や方法について解説します。

洋上投票とは?誰ができる?

洋上投票は、「不在者投票」の1つです。

不在者投票とは、選挙期間中仕事などのために選挙人名簿登録地以外に滞在していて投票所に行くことができない有権者が投票できるようにする制度です。

どのような場合に洋上投票ができるのか、直近の法改正にも触れながら見ていきます。

指定船舶の船員や実習生が対象

洋上投票の対象は、投票日当日に日本国外を航行しようとする漁船などの指定船舶に該当する船の船員実習生(実習を行うため航海する学生、生徒)です。

例えば、マグロ漁船の乗組員や水産高校で漁業実習のために遠洋に出ている生徒などが挙げられます。

洋上投票をする場合は、選挙人名簿に登録されている自治体の選挙管理委員会(以下選管とします)から、選挙人名簿登録証明書を交付してもらっている必要があります。

また、FAX(ファクシミリ装置)を使って投票する仕組みのため、指定船舶であってもFAX装置がない場合は対象になりません。

公職選挙法改正で範囲が拡充

洋上投票は2000年の衆議院総選挙から実施されています。

そして2016年の公職選挙法改正により、翌2017年衆院選から対象となる船舶・船員の範囲が拡大されました。

主な改正内容は、

・それまで対象外だった実習生も投票ができるようになったこと

・不在者投票管理者(船長)及び立会人がいない場合でも投票が可能になったこと

・指定船舶の対象が便宜置籍船と呼ばれる一部の外国船籍の船にも拡大されたこと

です。

洋上投票のやり方

次に、不在者投票管理者(船長)がいる場合の洋上投票の具体的な方法を説明します。

不在者投票管理者がいない場合については不在者投票管理者がいない場合は?を参照してください。

洋上投票の手順

1.船上では選挙期間中(公示後)、事前に船長が保管していた投票送信用紙を船員に渡す

2.船員は投票用紙を記入し、自ら指定市町村の選管にFAXで送信する

3.送信後、投票記載部分を封筒に入れて船長に渡す

船上での投票はこれで終了です。FAXで送信した投票は、指定市町村の選管から選挙人名簿登録地の選管に送信されます。

出航前、帰港後の手続き

投票には、出航前帰港後にも手続きが必須です。

出航前、船員は洋上投票をしたいことを船長に伝え、船長が指定市町村の選管に投票送信用紙など必要な書類を請求し選挙の公示後に船員に渡すまで保管します。

指定市町村は、以下の総務省HPから一覧を参照してください。

総務省|指定市町村の選挙管理委員会の連絡先 – 投票制度

船上での投票を終え、帰港した後は船長が預かっている封筒(投票記載部分を入れたもの)を指定市町村の選管に送ります。そして指定市町村の選管から、選挙人名簿登録地の選管に封筒を送り、洋上投票は完了です。

不在者投票管理者がいない場合は?

不在者投票管理者(船長)がいない場合は、出航前の投票用紙などの請求と保管、帰港後に封筒を指定市町村の選管に送るといった手続きを船員自らが行います。

また、投票用紙などと同時に「確認書」の交付を受け、船上での投票の前にFAXで指定市町村の選管に送って受信を確認してもらう手続きが必要です。

制度の注意点は?

洋上投票制度を利用する際の注意点についてまとめました。

地方選挙や国民審査は対象外

洋上投票の対象となる選挙は衆議院総選挙と参議院通常選挙のみです。

都道府県知事選や地方議会選挙などの地方選挙や、国政選挙の補欠選挙、衆議院総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官の国民審査は対象外となっています。

衆議院総選挙では間に合わない場合も?

洋上投票をするためには、選挙人名簿登録証明書を発行したり、投票の必要書類を取り寄せたりと、出航前の手続きが必須です。

特に衆議院総選挙では解散によって選挙が行われることが多いため、投票日の時期が事前に予測できないこともあります。

実際に2017年の衆院選では、遠洋漁業の実習に出ていた高校生が、解散を想定していなかったため、出港前に投票送信用紙などを入手しておらず投票できなかったケースもありました。

必要書類の取り寄せは選挙の予定が決まっていなくても可能なので、事前の手続きを忘れないよう注意が必要です。

まとめ

・洋上投票とは、投票日に漁業などで指定船舶に乗っている船員・実習生が投票できるようにする不在者投票制度

・対象は衆議院総選挙と参議院通常選挙の2種類

・証明書や投票用紙を取り寄せるなど、出航前や帰港後にも手続きが必要

 

<参考>
総務省|洋上投票制度のあらまし – 選挙・政治資金
総務省|洋上投票の対象の拡充について – 選挙・政治資金
総務省|洋上投票制度の創設について – 選挙
洋上投票制度 – 気仙沼市役所
便宜置籍船|用語集|NEXI 日本貿易保険
洋上の実習生「投票できない」 突然の解散、手続きできず: 日本経済新聞

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、0歳児と2歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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