2024年10月27日は3年ぶりの衆議院議員総選挙の投票日です。石破茂首相の就任からわずか8日後という異例の速さで解散が決定されたこの選挙は、政治とカネの問題や経済対策が主要な争点となっています。
本記事では、衆院選の概要や投票の仕組みを詳細に解説しています。気になる部分を目次から確認してみてください。
2024年10月27日は衆議院議員総選挙
2024年10月27日は第50回衆議院議員総選挙の投票日です。
衆議院議員総選挙とは
衆議院議員総選挙は、国会を構成する衆議院・参議院のうち、衆議院の議員465名を選ぶ選挙です。
衆議院議員の任期4年が満了した場合、内閣不信任案が可決した後に内閣が衆議院の解散を選んだ場合、内閣が政治の状況等を踏まえ自発的に解散を決定した場合に実施されます。
今回は、10月1日に発足したばかりの石破内閣が自発的に決定した解散により、総選挙が行われることになりました。
衆院選の流れと日程
衆院選は、1.衆議院解散、2.公示、3.投開票、という流れで実施されます。
- 10月9日衆議院解散:この日に衆議院が解散され、衆院選が行われることが決まりました。
- 10月15日公示日:立候補の受付が行われ、選挙戦がスタートしました。この翌日から、期日前投票が始まりました。
- 10月27日投開票日(選挙期日):投票日であり、投票時間終了後に開票作業が始められ、順次、結果が報道される日です。
衆議院議員総選挙の仕組み
衆院選は、「小選挙区制」「比例代表制」の2種類から構成されています。有権者は、「小選挙区制」「比例代表制」でそれぞれ1人1票ずつ、投票を行います。
小選挙区制とは
衆議院総選挙の小選挙区制では、全国を289の区に分けて選挙を行います。各小選挙区において、最も得票数が多かった候補者1名のみが、当選者になります。
有権者は、自分の住民票がある地域の小選挙区の立候補者に投票を行います。
2024年衆院選では、前回・2021年衆院選から、全国を289に分ける小選挙区の区割りが大幅に変更されています。
区割りの変更は、各小選挙区の有権者数が異なることにより生じる、「一票の格差」を是正するために行われました。
「アダムズ方式」とよばれる、各都道府県の人口を基準に都道府県ごとの小選挙区数を調整する方法を用いて、いずれも過去最多となる25都道府県の140選挙区で区割りが変更されました。
比例代表制とは
比例代表制では、全国を11のブロックに分けて、全部で176人を選出します。有権者は、投票用紙に政党名を記入します。
各党の得票数を1,2,3…と整数で割っていき、その数が大きい順に当選者を決めていく「ドント式」という方法によって、各党に得票数に応じて議席が割り当てられます。
衆院選の場合は「拘束名簿式」と呼ばれ、事前に各党が順位を決めた候補者名簿の上位から、当選者が決まっていきます。有権者は、政党の中で当選させたい候補者に直接投票することはできません。
重複立候補と比例復活
衆院選では、1人の候補者が、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方に重複立候補することが認められています。
小選挙区選挙で落選しても、比例代表選挙における所属政党の得票数と、名簿の順位によっては、比例代表選挙で当選するケースがあります。このようなケースは、一般的に「比例復活」と呼ばれています。
選挙運動とSNSの注意事項
選挙への関心が高まってくると、SNS等で選挙についての発信をする方もいるでしょう。
特定の候補者への投票を呼びかける選挙運動については、公正な選挙を保つための「公職選挙法」により定められています。
X(旧Twitter)、Instagram、ブログ、そしてLINEなどで選挙運動を行うことはできますが、電子メールでの選挙運動は認められていません。携帯電話のショートメールも使用不可です。
また、選挙運動が認められているのは、公示日から選挙期日の前日までです。SNS上でも同様で、特定の候補者への投票を呼びかける投稿ができるのは、この期間のみです。2024年衆院選においては、10月15日(火)から10月26日(土)までです。
日付が変わり、10月27日(日)投票日になってからの選挙運動は公職選挙法違反になります。例えば、以下のような行為は控えましょう。
- X(旧Twitter)や、Instagram、ブログで特定の候補者・政党への投票呼びかけの投稿
- 前日までの特定の候補者・政党への投票呼びかけの投稿への「いいね」や「リポスト」などの拡散行為
- LINEでの友だちへの特定の候補者・政党への投票を呼びかけるメッセージ送信
一方で、選挙期日当日は、特定の候補者への投票の呼びかけは禁止ですが、個人的に投票に行くこと自体を呼びかけることは選挙運動とはみなされません。
また、X(旧Twitter)や、Instagram、ブログに、投票先を伏せたまま、投票に行ってきたことを報告する内容を載せることは問題ありません。ただし、「OO党に投票しました」などの投稿は、特定の候補者・政党への投票を促しているとみなされる恐れがあります。
同時に実施される「国民審査」とは?
衆院選と同時に「国民審査」が実施されます。「国民審査」は、衆議院議員ではなく、最高裁判所裁判官に関するものです。国民が、裁判所裁判官が「その職責にふさわしいかどうか」を投票するものです。
「やめさせたい」と思う裁判官がいれば、名前の上の欄に「×」をつけます。やめさせる必要がないと思う場合は、何も記入せずに、そのまま用紙を投票箱に入れます。
最高裁判所裁判官は長官を含め、全員で15名です。国民審査の対象となるのは、「任命後初めての衆院選である裁判官」及び「前回の国民審査から10年以上が経った裁判官」です。衆院選2024同時実施の国民審査では、6名の裁判官が対象です。
投票に関するQ&A
ここでは、不安に感じる人も多い投票について、Q&A形式でわかりやすく解説します。
投票の流れと投票用紙の記入方法を知りたい
投票は、以下の5つの手順で行います。
- 投票所入場券を持って受付
- 投票用紙の受け取り
- 投票用紙への記入
「小選挙区」には候補者名、「比例代表」には政党名、「国民審査」には「×」または無記入 - 投票箱に投票用紙を入れる
- そのまま退出
投票所入場券がない場合は?
投票所入場券は、公示日から数日以内に、封書やはがきの形で自宅に郵送されることが基本です。
紛失してしまった、投票所に持っていくのを忘れてしまった場合でも、選挙人名簿に登録されている本人であることの確認を行うことで投票することができます。
確認の方法は自治体ごとに定められていますが、運転免許証等の身分証の提示、ない場合は、氏名・住所・生年月日等の情報と選挙人名簿の情報を照合して確認を行うことが一般的です。
子連れで投票所に入場できる?
投票所は、子連れで入場が可能です。18歳未満の子どもであれば、同伴が認められています。
ただし、子どもが騒いでしまい、投票所の秩序を保持できないと投票管理者が判断した際は退出を促される場合があります。また、子どもが他の人の投票をのぞき見ることがないよう、気をつけましょう。
選挙の結果の見方と選挙後の流れは?
ここでは、投票を行った後、選挙後の流れについて解説します。
選挙速報
選挙管理委員会が開票作業を終えて結果を公表する前に、投票所が閉まる午後8時の直後から、報道機関が「当選確実」を報じていきます。そこから数時間で、選挙結果の大勢がわかっていきます。
議席獲得の意味
衆議院選挙では、各政党が獲得した議席の割合が重要になっていきます。
過半数の233以上の議席を獲得した政党は、事実上、首相を決められる立場となり、政権運営を行う与党となります。逆に、過半数の議席を獲得した政党が無かった場合、複数の政党で連立政権を組むことがあります。
また、国会の本会議ではなく、委員会において重要な意味を持つ議席数に、「安定多数」と「絶対安定多数」があります。
「安定多数」と呼ばれる244以上の議席を獲得すると、全ての常任委員会で委員長を独占することができます。さらに、「絶対安定多数」と呼ばれる261以上の議席を獲得すると、全ての常任委員会において委員の過半数を確保することができます。
また、3分の2以上の310以上の議席を獲得すると、その政党のみで憲法改正の発議が可能になります。
特別国会
選挙期日から30日以内に特別国会が召集されます。新たに選出された議員を含む全ての国会議員は、この特別国会に集まります。この特別国会で、正式に新しい内閣総理大臣の指名が行われ、政権が発足します。
まとめ
本記事では、10月27日投開票日の衆院選の仕組みや投票方法について解説しました。
衆院選では、「小選挙区選挙」・「比例代表選挙」、そして同時に最高裁判所裁判官の「国民審査」が実施されます。選挙結果によって、次の政権が決まります。
衆院選や選挙運動には、様々な仕組みや注意点がありますが、本記事がそれらへの疑問解決に役立てば幸いです。
<参考>
選挙はどのように行われるの?衆議院議員選挙の仕組みと流れをわかりやすく解説|スマート選挙ブログ
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