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増税の理由や方法は?過去の事例やメリット・デメリットを解説

増税の理由や方法は?過去の事例やメリット・デメリットを解説

防衛費増額のため、2026年から法人税やたばこ税の増税が段階的に実施される方針です。

企業や国民が支払う税金が増える増税は、これまでにも消費増税復興特別所得税(復興税)の導入などで実施されてきました。

増税と聞くと、デメリットを思い浮かべることも多いですが、メリットはあるのでしょうか。本記事では、増税の理由や方法に加え、過去の事例についてもまとめました。

増税とは

税金は、国や自治体が社会保障や公的サービスを運営するための資金です。税金の課税対象や課税額、課税率は個別の法律で定められています。その金額や税率を上げることが増税といいます。

増税の理由や目的

増税の目的は、国などが行う施策の財源確保です。

例えば社会情勢の変化など、何らかの理由により新たな施策が必要になることがあります。施策の実現にはお金が必要になるため、税収を増やして財源を賄う仕組みです。

税金は、使用目的が限定されているかどうかによって次のような種類があります。

  • 普通税:使い道が決められていない税金(所得税・法人税・相続税・たばこ税など)
  • 目的税:使い道が決められている税金(復興税・都市計画税など)

税金の種類はこの他にも、納付先による分類(国税・地方税)や、納付方法による分類(直接税・間接税)があります。

詳細はこちらの記事をご覧ください。
【関連記事】税金とは?仕組みや種類・使い道などを解説 | スマート選挙ブログ

目的税を導入する場合はもちろん、普通税であっても増税は国民に負担を強いるものです。そのため、増税の実施には明確な理由が必要です。

増税の対象や方法

増税を実行するためには、その目的に対してどのような種類の税金(税目)を増税対象にするかを検討します。税目ごとの特徴も考慮します。

その上で、国会などで該当する各種法令の改正が必要です。それによって、税額や税率を変更します。例えば消費税率を上げるためには、消費税法などの改正が行われました。

法律の改正する手続きについては、こちらの記事でまとめています。
【関連記事】法律を改正するにはどうする?目的や流れ、話題の法改正情報も紹介| スマート選挙ブログ

増税のメリット・デメリット

増税によるメリットやデメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。

増税のメリット

増税のメリットは、国や自治体の収入が増えることです。それによって公共サービスなどを新たに実施したり、より充実させたりすることが可能になります。

また、消費増税前の「駆け込み需要」などのように一時的な経済効果を生むことも考えられます。

増税のデメリット

増税は国民や企業の負担を増加させ、景気の悪化を招きかねません。

例えば法人税を増税すると、企業は税金による支出が増えて経営に影響を及ぼすこともあります。自社の商品やサービスの価格を上げたり、投資を控えたりすることも考えられます。

また消費税のように、支払う人の収入に関わらず負担する税率が一定である場合、問題視されるのが「逆進性」です。所得の低い人にとっての税金の負担割合が、高い人に比べて多くなってしまいます。そのため、税率が一律であっても、実質的な負担が平等になりません。

首相や与党議員などの政治家にとっては、増税を決行すると世論の反感を買うおそれもあります。

増税の事例

昨今実施された増税や、話題となっている事例をまとめました。

消費増税と「社会保障と税の一体改革」

モノやサービスの購入代金に一定割合の税金が上乗せされる消費税は、1989年に導入されました。導入当時は3%でしたが、その後1997年に5%、2014年に8%、2019年には10%と、引き上げられています(一部には軽減税率が適用)。

消費税率10%への引き上げは、社会保障の充実と、そのための財源確保・財政健全化を目指す「社会保障と税の一体改革」の一環として実施されました。増税による収入は、全て社会保障費に充当されることとなっています。

現在の日本では急速に高齢化が進行し、社会保障費が増大しています。消費税には次のような特徴があるため、社会保障費の財源確保のために増税されました。

  • 特定の世代に負担が集中しにくい
  • 景気の変化に左右されにくい
  • 企業の経済活動に中立的である

消費増税によって全世代が平等に負担を被る一方で、それまで高齢者向けが中心となっていた社会保障制度を「全世代型」とすることが求められます。幼児教育・保育の無償化高等教育の無償化など、若い世代向けの施策が実施されました。

社会保障制度については、以下の記事でまとめています。
【関連記事】社会保障制度とは?医療や年金の各制度や財源を解説 | スマート選挙ブログ

東日本大震災後の復興税(復興特別所得税)導入

2011年3月に起きた東日本大震災の復興財源のための特別税として、復興税が導入されています。2013年1月1日から2047年12月31日までの時限措置です。

通常の所得税に、一定割合が上乗せされ課税される仕組みです。

防衛費増額による増税はいつ?

2022年12月、政府は、2023年度から5年間の防衛費を大幅に増額し、43兆円とする方針を示しました。

その一部、約1兆円分の財源確保として法人税・所得税・たばこ税の増税が自民党・公明党の2023年度「与党税制改正大綱」で示されました。

その具体的な増税が、2026年4月から始まりました。

  • 2026年4月 法人税・たばこ税の引き上げ
  • 2027年1月 所得税の引き上げ

たばこ税は、2026年4月以降、加熱式たばこの紙巻たばこと同じ税率への引き上げが実施された後、加熱式・紙巻たばこ共通での税率引き上げが、2029年4月まで、段階的に行われます。

所得税は、2027年1月から、所得税額に1%上乗せになる見込みです。同時に、復興特別所得税の上乗せが1%引き下げられるため、負担は相殺される形になります。しかし、復興特別所得税の課税期間が2037年から2047年に10年間延長されたため、総額としては国民負担が増えたことになります。

防衛費増額については、こちらの記事を参考にしてください。
【関連記事】防衛費増額の理由や財源は?「NATO基準」も解説 | スマート選挙ブログ

まとめ

  • 増税の目的は、国が実施する施策などの財源を確保すること。増税を実行するためには、税額や税率を定めてた各種法令の改正などを行う必要がある
  • 増税のメリットは、国や自治体の収入が増加することで、公共サービスなどをより充実させられること。増税前の「駆け込み需要」もある。
  • 増税のデメリットは、企業や個人の負担が増加し、景気が悪化するおそれがあることなど

 

<参考文献>

「税制(国の税金の仕組み)」財務省(閲覧日 2026/04/05)
「消費税率引き上げについて よくある質問」財務省(閲覧日 2026/04/05)
税の歴史 | 税の学習コーナー」国税庁(閲覧日 2026/04/05)
消費税のしくみ」国税庁(閲覧日 2026/04/05)
「社会保障と税の一体改革」内閣官房(閲覧日 2026/04/05)
「税金にはどんな種類があるの? まつどKIDS」松戸市(閲覧日 2026/04/05)
消費増税と軽減税率の基礎知識。 知らなきゃ損する教授のハナシ。」東洋大学(閲覧日 2026/04/05)
防衛増税「24年以降」 税制大綱、27年度に1兆円強確保」日本経済新聞(閲覧日 2026/04/05)
防衛費確保へ所得税増税、2027年1月から開始 政府・与党」 日本経済新聞(閲覧日 2026/04/05)
消費税減税よりも先に「防衛増税」4月スタート 自民党の公約には直近3回の国政選挙で「記載なし」だけど」東京新聞デジタル(閲覧日 2026/04/05)
防衛力強化へ来月「たばこ」「法人」増税、所得税は来年1月…さらなる増額視野に財源確保は道半ば」読売新聞オンライン(閲覧日 2026/04/05)

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