国会や地方議会、選挙における「定数」って?○増◯減の意味についても理解しよう!

国会や地方議会、選挙における「定数」って?○増◯減の意味についても理解しよう!

選挙に関するニュースなどで「定数」や「◯増◯減」という言葉を耳にします。

これらの言葉をしっかりと押さえておくと、「一票の格差」や「合区」といったワードに対する理解も深まるでしょう。

定数とは

国会や地方議会において「定数」と言う時は、「議員の上限数」を意味します。一方、選挙区における「定数」とは、「当該選挙区から選出される議員数」のことを指します。それぞれ法律や条例で定められている数字です。

国会における定数

国会議員の定数は公職選挙法で定められています。令和4年8月現在、衆議院は465名、参議院は248名です。

衆議院の定数465は2017年の衆議院選挙から変更された、戦後最小の数字です。

また、参議院の定数248は、2022年7月の参議院選挙から適用されている数字です。

地方議会における定数

地方議員の定数は、各自治体の条例で定められています。定数は各議会毎に異なるため、同じような規模の議会であっても、定数が異なるケースも見られます。

選挙区における定数

選挙区に関して「定数」と言う場合には、「当該選挙区から選出される議員数」のことを指します。

例えば、衆議院の小選挙区における定数は1名、参議院の選挙区における定数は2〜12名(うち半数を3年ごとに改選)です。

衆議院における小選挙区の区割は、10年毎に見直すことが法律で規定されています。「衆議院議員選挙区画定審議会設置法」という法律で、西暦の末尾が0の年に行われる国勢調査(*)に合わせて、定数が改定されます。

(*)国勢調査は5年に一度行われており、西暦の末尾が0の年は大規模調査、同じく5の年は簡易的な調査です。

参議院においては、国勢調査の人口を基準として定数を是正することは法律で定められていませんが、定数の是正自体は行われています。

例えば、従来参議院の選挙区は基本的に都道府県単位でした。しかしその後定数是正が行われ、2016年より「鳥取県・島根県」及び「徳島県・高知県」の「合区」が誕生するなどしています。

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衆議院・参議院共に、選挙区における定数の是正がなされるのは「一票の格差」是正のためです。

「一票の格差」とは、「選挙区ごとに議員一人当たりの有権者数が異なることから、一票の重みに不平等が生じる現象」(日本大百科全書[小学館])です。

この「一票の格差」について、現在までに「違憲」または「違憲状態」との判決が複数出ています。こうした不平等を是正しようとする過程において、定数の変更がなされています。

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○増◯減ってどういうこと?

選挙に関連するニュースなどで「○増○減」といった言葉を耳にしますが、どのような意味なのでしょうか。

「○増○減」とは、「国政選挙の選挙区における定数見直しの結果、定数が○だけ増え、○だけ減った」ということを示す言葉です。

全体の定数を変えずに、選挙区間で定数を調整するケースが多く、○には同じ数字が入ることが多いものの、全体の定数を変更するケースも生じます。例えば2012年、衆議院の小選挙区選挙における定数変更では「0増5減」でした。

また直近では、2020年に行われた国勢調査の結果に基づき、衆議院における小選挙区選挙の定数について試算が行われました。今後「10増10減」となる見込みです。「アダムズ方式」が反映されたはじめての定数変更でもあります。

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参議院では、前述のとおり2016年から「合区」を設置するという形で定数の調整が行われるなどしています。

今後、地方と都市部の人口格差はますます拡大することが予想されており、朝日新聞の予測では、2040年に22都道県で「16増16減」(衆議院・小選挙区選挙)となる見通しです。定数が最も増える東京都では、現在25ある選挙区が33になると見込まれています。

まとめ

  • 国会や地方議会における定数とは、議員の上限数のことで、法律や条例で定められている。
  • 選挙区における定数とは、当該選挙区から選出される議員数のことを指す。国政選挙においては、10年に一度行われる国勢調査(大規模調査)を元に見直しがされている。
  • ○増◯減とは、国政選挙の選挙区における定数見直しの結果、定数が○だけ増え、○だけ減った、ということを示している。

 

<参考>
議員定数とは – コトバンク
第26回 どうやって決められているの?~議員定数と議員報酬
衆院選10日公示 総定数は10減の465、戦後最少に
選挙区割りの見直し
国勢調査について
「0増5減」とは何? わかりやすく解説(THE PAGE) – Yahoo!ニュース
次期衆院選から「0増5減」適用 「1票の格差」は2倍以上
衆院小選挙区「10増10減」適用へ 20年国勢調査で算出: 日本経済新聞
衆院小選挙区の定数、2040年には「16増16減」 朝日新聞試算
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