選挙管理委員会とは?委員の選任方法から仕事内容までわかりやすく解説

選挙管理委員会とは?委員の選任方法から仕事内容までわかりやすく解説

選挙を執行している選挙管理委員会では、どのような人たちが、どのような職務を行っているのでしょうか。

選挙管理委員会について、わかりやすく解説します。

選挙管理委員会とは

選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるように選挙に関わる事務を管理する、都道府県や市区町村の行政委員会のことです。

選挙管理委員会は、行政機関のひとつですが、公平性を保つために、首長から独立した執行機関となっています。

選挙管理委員会の種類

選挙管理委員会は、都道府県や市区町村などに設置されており、それぞれ管理対象の選挙が異なります。

都道府県の選挙管理委員会

都道府県の選挙管理委員会は、衆議院小選挙区選挙・参議院選挙区選挙・都道府県議会の議員・都道府県知事の選挙に関する事務を担当します。

参議院合同選挙区選挙管理委員会

2015年(平成27年)に、参議院選挙区選挙において、島根県と鳥取県、高知県と徳島県の選挙区が統合してひとつの選挙区となりました。県をまたいでの選挙区が誕生したためにつくられた選挙管理委員会が、参議院合同選挙区管理委員会です。

市区町村の選挙管理委員会

市区町村の選挙管理委員会は市区町村議会の議員および市区町村長の選挙に関する事務を担当します。

また、すべての選挙において、投開票と選挙人(有権者)名簿の作成・管理を行います。

中央選挙管理会

「選挙管理委員会」という名称ではありませんが、選挙管理機関のひとつに、総務省の付属機関である中央選挙管理会という組織があります。

中央選挙管理会が担当するのは、衆議院比例代表選挙、参議院比例代表選挙、最高裁判所裁判官の国民審査です。

選挙管理委員の選任方法

選挙を執行する選挙管理委員会が公正であるために、委員の選び方には、さまざまな規定があります。

都道府県・市区町村の選挙管理委員を選任する方法

都道府県および市区町村の選挙管理委員選任方法は、地方自治法により定められています。

委員は、各自治体の議会で決められます。

委員の要件は、選挙権を持つことと、地方議会の議員や地方自治体の長ではないことに加え、「人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもの」です。

委員数は4人、任期は4年です。委員長は、委員の中で互選されます。また、委員の2人以上が同じ政党や政治団体に所属していてはならないという規定があります。

参議院合同選挙区選挙管理委員の選任方法

鳥取県と島根県、高知県と徳島県の選挙管理委員がそれぞれ合同で行います。

中央選挙管理会委員の選任方法

中央選挙管理委員の選任方法は、公職選挙法により定められています。

委員は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣が任命します。

委員の要件は、参議院議員の被選挙権を有すること、すなわち30歳以上であることと、国会議員ではないことです。

委員数は5人、任期は3年です。

また、同じ政党に所属する委員が3人以上になってはいけないという規定があります。現在(2022年4月)の委員は、自民党推薦が2人、立憲民主党、公明党、日本維新の会による推薦がそれぞれ1人ずつです。

中央選挙管理委員には、元国会議員の人がなることも多々あり、現在の委員も2人が元国会議員です。

選挙管理委員会の仕事

選挙管理委員会の仕事は、選挙を運営するだけではありません。選挙が行われていないときにも、さまざまな仕事があります。また、選挙管理委員会の仕事を補佐するために、事務局が置かれています。

選挙の執行

選挙の執行は、選挙管理委員会の主要な仕事です。

その選挙を管理する選挙管理委員会によって、以下の役職につく人が選ばれ、選挙に関わる業務を行います。

  • 選挙会・選挙長
    選挙会では、各開票管理者からの開票結果をまとめ、当選人を決定します。この選挙会に関する事務や、立候補の届出の受付などを行うのが選挙長です。
  • 選挙立会人
    選挙立会人は、選挙会に立ち合い、当選人決定の手続きに参加します。候補者などの届出によって、選挙管理委員会に選任されます。

また、すべての選挙において投開票を管理する市区町村の選挙管理委員会は、以下のような実務に携わる人々を選び、投開票事務を行います。

  • 投票管理者
    投票管理者は、投票所において、選挙人(有権者)の確認、投票用紙の交付、投票箱の開票管理者への送致などを行います。
  • 投票立会人
    投票立会人は、投票所において、投票が公正に行われるよう、投票事務に立ち会います。
  • 開票管理者
    開票管理者は、開票に関する事務を行います。具体的には投票の点検、開票結果の報告、開票録の作成などです。
  • 開票立会人
    開票立会人は、開票事務に立ち合い、開票作業が公正に行われるよう監視する人です。開票された票の有効性に疑問を持った際には意見を述べるなどします。開票立会人は、候補者などの届出により、選挙管理委員会が選任します。

選挙人名簿の管理

市区町村の選挙管理委員会は、選挙人名簿を管理します。

選挙人名簿とは、その選挙で選挙権を持つ人、すなわち有権者のリストです。選挙人名簿は、住民基本台帳をもとに作成され、3カ月ごとの定期的な更新と、選挙時の更新がなされます。

有権者への啓発活動

選挙時に、有権者に投票に参加するよう呼びかけることも選挙管理委員会の仕事のひとつです。

また、選挙が行われていないときにも、有権者が自分の意思で投票できる公正な選挙の実現のために、小中学校や地域の行事、街頭などで選挙に関する啓発活動を行っています。

政治資金規正についての事務

都道府県の選挙管理委員会は、政治団体の諸届や収支報告書の受理など、政治資金規制法に基づく手続きを担当しています。また、政治団体の収支報告書などを公表することも仕事のひとつです。

他の選挙管理委員会への助言・勧告

中央選挙管理会は都道府県・市区町村の選挙管理委員会へ、都道府県の選挙管理委員会は市区町村の選挙管理委員会へ助言および勧告をします。

例えば、東京都選挙管理委員会の事務局では、投開票事務を行う市区町村に対して、投票用紙等の用品を手配したり、対応が難しい案件について根拠法令や判例等に基づいて助言を行うなどしています。

その他

選挙管理委員会は、国政選挙や地方自治の選挙に関わることだけでなく、直接請求、裁判員候補者予定者や検察審査員候補者予定者の選定に関する事務も行っています。

まとめ

選挙管理委員会は、都道府県や市区町村ごとに設置されており、各選挙管理委員会が連携して選挙を実施しています。

また、選挙の公平性を保つために、選挙管理委員会は一般行政から独立した機関であり、委員の選任にもさまざまな規定があります。

選挙管理委員会は、選挙の執行以外にも、さまざまな職務を行っています。

 

<参考>

[早わかり 参院選Q]一部選挙区、なぜ合区に? : 参院選2019 : 参院選 : 選挙・世論調査 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
総務省|選挙管理機関 (soumu.go.jp)
選挙管理委員会とは|相模原市 (city.sagamihara.kanagawa.jp)
千葉市:選挙管理委員会の仕事 (city.chiba.jp)
選挙管理委員会とは? 横浜市金沢区 (yokohama.lg.jp)
選挙のしくみ (yamaguchi.lg.jp)
地方自治法 | e-Gov法令検索
総務省 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名 平成31年
総務省 中央選挙管理会委員の任命 令和3年
総務省 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名  令和4年
事業概要 | 東京都選挙管理委員会 (tokyo.lg.jp)
選挙会・選挙長とは何ですか。|徳島県庁コールセンター すだちくんコール (tokushima.lg.jp)
さいたま市/開票・選挙会 (city.saitama.jp)
池田市選挙管理委員会事務局 投票管理者・投票立会人募集
投票管理者とは何をする人ですか。|徳島県庁コールセンター すだちくんコール (tokushima.lg.jp)
なぜなに選管「選挙の投票立会人、開票立会人って何?」 – 宗像市 (munakata.lg.jp)
開票管理者とは何をする人ですか。|徳島県庁コールセンター すだちくんコール (tokushima.lg.jp)
選挙結果確定が1時間半遅れた市長選、原因は開票立会人…「作業説明は何も受けていない」 : 地方選 : 選挙・世論調査 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
選挙人名簿とは | いわき市役所 (iwaki.lg.jp)
三重県|選挙管理委員会事務局:政治資金規正法について (mie.lg.jp)
宮城県選挙管理委員会について – 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)
選挙管理委員会事務局|都庁の仕事(各局紹介)|東京都職員採用 (tokyo.lg.jp)

 

タイトルとURLをコピーしました