「普通選挙」って何のこと?選挙権の歴史とあわせて解説!

「普通選挙」って何のこと?選挙権の歴史とあわせて解説!

「普通選挙」という言葉の意味を知っていますか?

憲法に定められた「選挙の基本原則(普通選挙・平等選挙・秘密投票・直接選挙)」の中にも出てくる、選挙制度を知る上では欠かせない用語です。

では「普通選挙」とは具体的にどのような制度なのでしょうか。この記事では「普通選挙」の言葉の意味と成り立ちをわかりやすく解説します。

普通選挙って何のこと?

普通選挙とは、ある組織において選挙を行う時に、すべての成人が選挙権を行使できる選挙形式のことを指しています(若干の例外を除く)。身分・財産・納税額・学歴・性別・民族などにかかわらず、国籍を有する成年全員の選挙権・被選挙権を認めるのが普通選挙です。

なお、普通選挙と並び「選挙の基本原則」である「平等選挙」は、一人あたり1票の原則が守られている選挙のことを指しています。

世界における普通選挙の歴史

「普通選挙」は、16世紀の革命期のフランスで初めて行われました。1792年にフランスで世界初の「男子普通選挙」が実施されました。この時選挙権を得たのは男子のみですが、それでも身分や民族の枠を超えて国民が選挙権を獲得したことは、当時とても画期的でした。

世界で初めて女性に選挙権が認められたのは、1928年イギリスでのことです。21歳の女子に選挙権が与えられましたが、この時、居住地以外に財産を保有する者は複数選挙権を得る制度だったので、この時点では平等選挙だったとは言えません。

第二次世界大戦後にはフランス・イギリスを中心に普通選挙はさらに変革します。1945年、フランスで21歳以上の女子に選挙権が認められ、1948年にはイギリスで居住地以外に財産を保有する者が複数の選挙権を得る制度が廃止され、完全な普通選挙権制度が成立します。

日本で普通選挙が実施されたのはいつ?

日本で初めて普通選挙が実施されたのは1889年、大日本帝国憲法と衆議院議員選挙法の公布があった年で、直接国税15円以上納める25歳以上の男子に選挙権が与えられました。その後1900年には直接国税10円以上を納める25歳以上の男子に緩和され、1919年には直接国税3円以上を納める25歳以上の男子に再び緩和されています。1925年には第2次護憲運動が起こり、25歳以上の男子全員に選挙権が与えられました。

そして第二次世界大戦後の1945年、日本は民主化の第一歩として選挙法を改正します。この改正衆議院議員選挙法(のちの「公職選挙法」)の公布によって選挙権は20歳以上の男女と定められました。この時初めて日本の女性は参政権を得ています。

それから70年後となる2016年、再び公職選挙法が改正され、選挙権を得る年齢が20歳から18歳へと変更されました。少子化が進む中でこれからの社会の担い手となる若い世代の声を政治に活かすための改正です。

【関連記事】選挙権年齢はなぜ18歳に引き下げられたの?世界各国の状況も解説 

まとめ

かつて選挙権は全ての人々に平等に与えられるものではなく、財産の多い人や男性といった限られた人に与えられた特権でした。

それが世界各地での民主化運動などを経て、現在の形の「普通選挙」へと変化しています。

「普通選挙」になってからも日本では選挙権を得る年齢が18歳へと引き下げられるなど、時代とともに選挙権は変化していきます。

 

 

<参考>
普通選挙とは – コトバンク
選挙制度のあゆみ – 三木市ホームページ 
戦前は一部の人しか選挙権がなかったってホント?|公文書に見る戦時と戦後 -統治機構の変転- 
『投票に行くのやめました』18歳選挙権に何が | NHK政治マガジン 
選挙権の変遷
最終閲覧日は記事更新日と同日

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