2022年7月10日に参議院議員通常選挙が実施されることが決まりました。この日には滋賀県知事選挙などの地方選挙も予定されています。
同じ日に2種類の選挙が行われることを「ダブル選挙」と呼びます。
ダブル選挙は投票率などに影響はあるのでしょうか。また、過去には衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙が同日となった「衆参同日選挙」の事例もありますが、いつなのでしょうか。
また、今回同日選挙となる滋賀県知事選挙などの候補者についても、それぞれ説明します。
本記事の内容は、6月22日時点のものです。
「ダブル選挙」とは?
ダブル選挙とはどのような意味なのでしょうか。また、投票率に与える影響はあるのか見ていきます。
別名「同日選挙」
ダブル選挙とは、同じ日に2種類の選挙が実施されることです。「同日選挙」とも呼ばれます。
具体的には、以下のようなパターンです。
・衆院選と参院選が同日になる「衆参ダブル選挙」「衆参同日選挙」
・国政選挙と都道府県知事選挙などの地方選挙が同日になる
・2種類の地方選挙(都道府県知事選挙と市町村長選挙など)が同日になる
ダブル選挙が投票率に与える影響
一般的に「ダブル選挙になると有権者の選挙への関心が高まり、投票率が上昇する」と言われています。実際に、衆参同日選挙となった1980年と1986年では、各選挙の投票率は70%を上回る高水準でした。
その時の政治情勢にもよりますが、3年に1度の参院選が近づくと「衆議院が解散し衆参ダブル選挙になるのではないか」との注目が高まる傾向があります。
地方選挙でも、国政選挙との同日選挙や、知事選と都道府県庁所在地の市長選が重なる場合などは「ダブル選効果」による投票率の上昇が期待されるようです。例えば東京都知事選では、2000年代以降で最も投票率が高かったのは、衆院選とダブル選挙になった2012年の62.60%でした。
地方選挙の同日選挙では、2022年3月に実施された、任期満了に伴う石川県知事選と前市長の辞職による金沢市長選の例があります。ダブル選挙に加え、激しい保守分裂や前金沢市長が知事に立候補したことなどが注目を集め、投票率は知事選が61.82%、市長選が55.95%となりました。いずれも前回から20%以上上昇したことが特徴的です。
2022年参議院選挙はダブル選挙になる?
2022年の参院選は6月22日公示、7月10日投開票です。7月10日には滋賀県知事選挙や浪江町長選挙、山北町長選挙が予定されており、それぞれの選挙区では参院選とのダブル選挙になります。
滋賀県知事選挙
任期満了に伴う滋賀県知事選挙は6月22日告示、7月10日投開票です。現職の三日月大造知事と共産党公認の新人小西喜代次氏が立候補を表明しています。
2018年の前回知事選の投票率は40.62%で、前々回より10%近く落ち込みました。今回はダブル選効果で投票率が向上するのか、気になるところです。
福島・浪江町長選や神奈川・山北町長選も
さらに、任期満了による福島県浪江町長選も、7月10日に実施されます。現職の吉田数博町長は出馬せず、今期で退任すると発表しました。元福島県議と新人の会社経営者が立候補の意思を明らかにしています。
任期満了による神奈川県山北町長選も、7月10日投開票です。現職の湯川裕司町長の他、新人2人が出馬を表明しています。
衆参同日も!過去のダブル選挙の事例
これまでには、どのようなダブル選挙があったのでしょうか。過去2回しかない、衆院選と参院選が重なった「衆参同日選挙」や、話題になった「大阪ダブル選」の事例を紹介します。
1980年衆参同日選挙「ハプニング解散」
史上初となる1980年の衆院選・参院選ダブル選挙は、内閣不信任決議案の可決を受けて衆議院が解散し、参院選と同日となりました。否決されると思われていた内閣不信任決議案が可決されたことなどから「ハプニング解散」と呼ばれています。選挙期間中に当時の大平正芳首相が死去したことでも有名です。
自民党は党内で分裂が起きるなどの波乱がありました。しかし最終的には衆議院284議席、参議院69議席を獲得して大勝します。投票率は衆院選・参院選のいずれも約74%で、参院選では過去最高の投票率でした。
1986年衆参同日選挙「死んだふり解散」
1986年、参議院の任期満了が近づく中、衆議院が解散し衆参同日選挙になるのではないかと野党やマスメディアが注目していました。しかし首相だった中曽根康弘氏の発言などにより、一時は「解散はない」と思われていたようです。
ところが中曽根氏は、国会閉会後に臨時国会を召集し、即日衆議院を解散しました。この解散は予想外の急展開だったため、「死んだふり解散」との通称がついています。自民党は追加公認を含め衆議院で304議席、参議院で74議席を獲得し圧勝しました。投票率は衆院選・参院選いずれも約71%と高水準です。
2019年「大阪ダブル選」
2019年の統一地方選では大阪府知事選と大阪市長選が同日選挙となりました。大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」が争点となっていたことも含め、注目を集めます。
選挙では、大阪維新の会の松井一郎・前大阪府知事が大阪市長選に、同じく大阪維新の会の吉村洋文・前大阪市長が大阪府知事選に立候補し、いずれも当選しました。知事と市長を入れ替えた形の選挙戦略は「奇策」とも言われます。市議選と府議選も重なり、大阪市では48年ぶりに4種の選挙が同日に実施されました。
まとめ
- 「ダブル選挙」「同日選挙」とは2種類の選挙の投開票日が重なること。投票率が高くなる傾向があると言われている。
- 2022年の参議院選挙は7月10日に実施され、滋賀県知事選挙などとダブル選挙になる。
- 過去に衆院選と参院選が重なり衆参同日選挙となった事例は1980年と1986年の2回。投票率はいずれも70%を超えた。
<参考>
ダブル選挙とは-コトバンク
【図解・政治】参院選2019・投票率の推移(2019年1月)
都知事選の投票率 55% 前回を 4.73ポイント下回る
<千葉県知事選>投票率38・99% ダブル選効果で上昇、前回上回る | 千葉日報オンライン
衆参同日選見送りで最終調整 単独でも与党有利と分析
石川知事選 馳氏初当選 森元首相とタッグ、国取り 隣県知事選で布石/県議に「他陣営支援よせ」 | 毎日新聞
2022知事選:馳氏、3分裂制し初当選 28年ぶり新知事誕生 /石川 | 毎日新聞
金沢市長選/金沢市議補選 市長選、村山氏が初当選 投票率、前回2倍以上に /石川 | 毎日新聞
参議院選挙6月22日公示、7月10日投開票で決定
滋賀県知事選挙・第26回参議院議員通常選挙・滋賀県議会議員補欠選挙(大津市選挙区、湖南市選挙区)
共産、滋賀県知事選に新人 | 毎日新聞
選挙:滋賀県知事選 三日月氏再選 | 毎日新聞
選挙日程(令和4年度) – 神奈川県ホームページ
浪江町長選 高橋氏出馬へ 会社経営者 /福島 | 毎日新聞
吉田・浪江町長、今期で退任へ 健康面の不安で /福島 | 毎日新聞
山北町長選に府川氏出馬へ 前町議会議長 /神奈川 | 毎日新聞
目で見る投票率
プレーバック選挙:1980年衆参同日選 異例の「ハプニング解散」 | 毎日新聞
プレーバック選挙:1986年衆参同日選 「死んだふり」で与党圧勝 | 毎日新聞
野党、「死んだふり解散」の苦い記憶 同日選なお懸念
大阪ダブル選挙 維新が制す 都構想に向け弾み | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
大阪都構想、僅差の否決から5年 再実施で決着なるか
大阪ダブル選、投票率上昇 「四重選」一定の効果 | 毎日新聞
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