便乗選挙・合併選挙・同時選挙・同日選挙とは？選挙の分類について解説

2022年参議院議員通常選挙では、神奈川選挙区の補欠選挙が一緒に行われる合併選挙となりました。合併選挙の他にも、選挙には便乗選挙・合併選挙・同時選挙・同日選挙という選挙のやり方による分類があります。

選挙のやり方よる分類

選挙には、衆議院議員総選挙・参議院議員通常選挙・一般選挙（地方議会議員選挙）・地方公共団体の長の選挙（市区町村長選挙、都道府県知事選挙）というように、選ぶ公職によって複数種類あります。加えて、特別の選挙として、再選挙・補欠選挙・増員選挙があります。

それらの選挙には、その選挙のやり方により便乗選挙・合併選挙・同時選挙・同日選挙という種類があります。

これらの分類はより実務的な分類であり、一般的に使用されているダブル選挙といった用語とは少し意味合いが異なります。

議員の不足が生じているが再選挙や補欠選挙を単独で行う要件を満たしていないという状況で、その選挙と関係の深い他の選挙が行われる場合に、本来なら実施されないはずの再選挙や補欠選挙が行われます。これを、便乗選挙といいます。

便乗される選挙は親選挙と呼ばれることがあります。

2020年東京都知事選挙では、便乗による東京都議会選挙の補欠選挙が行われました。

都道府県議会において補欠選挙が単独で実施される要件は、1つの選挙区に対し2人以上の欠員が出たとき（1人区を除く）です。

2020年東京都知事選挙が行われる際の東京都議会議員の欠員は北区と日野市に1名ずつであり、単独で補欠選挙が実施される要件は満たしていませんでした。しかし、東京都知事選挙を親選挙として便乗し、その欠員が補われました。

ここでは2022年参院選でも行われた合併選挙について解説します。

合併選挙とは、同じ公職、同じ地域に対して行われる本来別個の選挙をまとめてひとつの選挙として行うことです。

典型的な例は、参議院議員通常選挙と非改選の議員の欠員を補う補欠選挙が一緒に行われる合併選挙です。

2022年7月には参議院議員通常選挙と参議院議員補欠選挙が合併して行われました。参議院議員通常選挙では議員を半数ずつ改選するため、本来であれば神奈川選挙区の定数は4でした。しかし、今回非改選の欠員1を補う補欠選挙が合併されたため、神奈川選挙区の定数は5となりました。

神奈川選挙区では当選順位が1~4位の当選者は任期が通常の参議院議員の任期である6年

ですが、当選順位が5位であった水野素子議員の任期は、前任者の任期を引き継ぐことになるため3年となります。

参院選の補欠選挙については、こちらの記事で詳しく解説しています。

同時選挙は、地方選挙を対象に行われます。異なる複数の地方選挙を技術的に可能な限り、一つの共通の手続きによって行うことを同時選挙といいます。

同時選挙では、一緒に行われるそれら複数の選挙において投票管理者や投票立会人が共通となります。

同時選挙には、選挙経費の削減・事務手続きの簡素化といったメリットがあります。

また、同時選挙には横の同時選挙と縦の同時選挙の2種類があります。横の同時選挙は、「市議会議員選挙と市長選挙」というように同じ地方公共団体の選挙間の同時選挙を指すのに対し、縦の同時選挙は「市議会議員選挙と県知事選挙」というように異なる地方公共団体の選挙間での同時選挙のことをいいます。

同日選挙は同時選挙と名称が似ていますが、異なるものです。

同日選挙は、複数の選挙が単に選挙期日（投開票日）を同じにして行われることを指します。

同時選挙と異なり、選挙手続は別々に行われます。しかし、投票所・開票所・投票管理者などは兼用したり、兼任したりすることがあります。

同日選挙には事務の簡素化・選挙経費の削減に加え、選挙人（有権者）が1度に2つの選挙の投票を済ませることができるという、有権者の負担の削減というメリットがあります。

同日選挙の一種に衆参同日選挙があります。

衆参同日選挙は、参議院議員通常選挙の投開票日に衆議院議員総選挙の投開票日が合うように衆議院を解散することで行われることがあります。

過去には、1980年6月と1986年7月の2回、衆参同日選挙が行われました。

衆参同日選挙には、投票率が高くなりやすいという傾向がある一方で、衆議院・参議院ともに議員がいない国会の空白期間が生じるという問題点も指摘されています。