2022年イタリア総選挙!選挙制度と政党について分かりやすく解説

2022年イタリア総選挙!選挙制度と政党について分かりやすく解説

イタリアではドラギ首相の辞任を受けて議会が解散し、2022年9月25日に議会議員の総選挙が行われます。

2018年の総選挙では投票率が7割を超えるなど、国民が高い関心を向けているのがイタリアの総選挙です。

外国の選挙制度は把握しきれていないものですが、イタリアの場合はどのような特徴があるのでしょうか?

本記事では、イタリアの選挙制度と政党について分かりやすく解説します。

イタリアの選挙制度

イタリアは日本と同じ二院制を取っています。

大きな違いは、上院・下院が同時に解散するため、総選挙も同時に行われることです。つまり選挙のタイミングが同じことから、「ねじれ国会」になりにくいという特徴があります。

一方、2014年と2017年に選挙法の違憲判決が出されたため、近年立て続けに選挙制度が改正されました。

ここでは改正前との違いに注目しながら、現行制度の主な特徴について解説していきます。

小選挙区・比例代表の混合制

現在イタリアでは、上下両院が小選挙区・比例代表の混合制を取っています。

従来の制度では、上院と下院で選挙制度が異なっていました。特に問題となったのは「多数派プレミアム制」です。

多数派プレミアム制とは、政権運営の安定化を目的として、政権与党に議会の過半数の議席を保障する制度のことです。

2014年に違憲判決が出てからは下院だけにこの制度が残り、「得票率40%以上の候補者名簿に55%の議席を配分するという規定でした。

2017年に2回目の違憲判決が出ると、再び選挙法の改正が求められ、多数派プレミアム制は全面的に廃止されます。そして小選挙区と比例代表で約4:6ずつ議席を配分する混合制に統一されたのです。

また、2020年には議員定数を削減する憲法改正案が国民投票によって可決され、上下両院合わせて4割近くの議席が削減されました。

投票方法は両院に1票ずつ

改正前は、比例区候補者名簿の中から候補者個人を選ぶことができました。

つまり政党だけに1票ではなく、名簿の中から個人名を選んで投票できたのです。下院なら2名まで、上院は1名だけと、上下院で投じる票数に差もありました。

これが2017年から両院に1票ずつとなり、個人は小選挙区で立候補するように変更されます。

具体的には各院で1枚の投票用紙を用い、有権者は小選挙区候補者と政党シンボルマークが連結した1つのグループに1票を入れる形です。

選挙区ごとにシンボルマークと対応した候補者の名簿があり、得票数に応じて名簿の上から順に当選します。

他に大きな変更点としては、事前に政党同士で連合を組み、小選挙区に統一候補を擁立できることが挙げられます。

また、比例区では得票数が3%を越えないと議席を獲得できない規定なので、少数政党にとって不利です。

そこで多数政党と連合して同じグループに入ることで、グループの得票率が10%を越えれば、少数政党でも議席を獲得できるようになりました。

男女平等の取り組みも

改正によって上下両院に共通の「クオータ制」が導入されました。

クオータ制とは、立候補者の男女格差を是正するために、あらかじめ男女比率を設定しておく制度のことを言います。以前は下院のみに存在し、上院にはなかった制度です。

まず、比例区の候補者名簿は男女の姓名を交互に記載しなければなりません。つまり1つの候補者名簿で2議席以上獲得すれば、必ず男女それぞれから候補者が当選する仕組みです。

さらに小選挙区の候補者や比例区の筆頭候補者について、小選挙区の同性候補は全国で6割まで、比例区なら各州で6割までという制限が付きます。

この制度で最初に実施された2018年の総選挙では、当選した女性議員の比率が28.4%から35.7%に上昇しました。

イタリアの主な政党は?

ここでは、2022年9月現在におけるイタリアの主要政党について紹介します。

主な政党は5つ

  • 五つ星運動
    2009年に設立された左派政党です。若者を中心に支持を集め、2013年に下院の最大支持政党、2018年には議席数で議会第一党となりました。ドラギ政権への不支持を表明し、首相辞任と議会解散のきっかけとなった政党です。
  • 同盟
    1991年に設立された急進的な右派政党です。もともと地方政党でしたが、2013年頃から国政政党に転換し、支持を拡大します。現在は右派の有力政党となりました。
  • 民主党
    2007年に結党した中道左派の有力政党です。2013年総選挙で躍進し、政権与党を担当しました。しかし2018年総選挙では議席を大きく減らしています。
  • フォルツァ・イタリア
    1994年に結党した中道右派の有力政党です。同盟の躍進により、2018年総選挙では右派政党トップの座から退きます。
  • イタリアの同胞
    戦前に存在したファシスト党の流れを汲むとされる右派政党です。イタリア初の女性首相誕生を目指し、総選挙に向けてトップの支持率を獲得しています。

政党連合の結成

2017年の選挙法改正によって、イタリアでは単独政党で議会の過半数を占めることが以前より難しくなりました。

そこで政党同士が連合することで、連立政権を目指す動きが活発化します。

このためイタリアの政治勢力は、大きく中道左派連合・中道右派連合・五つ星運動という3つの陣営に分かれています。

中道左派連合民主党を中心とし、中道右派連合への対抗を呼びかけていました。しかし選挙を目前に連合から離脱する政党が出るなど、連携に苦戦しています。

中道右派連合は支持率トップのイタリアの同胞を中心に、同盟フォルツァ・イタリアが連合したことで最大勢力を築きました。

一方、最大勢力だった五つ星運動はドラギ政権の信任を巡って分裂し、勢力を落としました。また、議会の解散を招いたとして両連合との連携が取れず、単独政党として2022年総選挙に臨みます。

まとめ

本記事では、イタリアの総選挙と政党について解説しました。

  • 議会は二院制で、同時に総選挙をするのでねじれ国会になりにくい
  • 選挙法の違憲判決があり、制度が変更になった
  • 選挙は小選挙区・比例代表の混合制で、男女平等が進んでいる
  • 単独政党で過半数を占めるのが難しいので、政党連合が活発

 

<参考>
イタリアのドラギ首相が辞任 連立政権の崩壊受け – CNN.co.jp
• Voters turnout of national elections in Italy 2018 | Statista
【イタリア】上下両院選挙法の改正
イタリアにおける新選挙法の成立|広島修道大学学術レポジトリ
【イタリア】2018 年両院選挙と選挙後の政治動向
国民投票で国会議員数削減へ、州選挙では左右勢力が拮抗も与党・民主党が健闘|ビジネス短期通信 – 日本貿易振興機構
混戦必至のイタリア総選挙|みずほ総合研究所
2018年総選挙・投票用紙複製|イタリア総務省|Elezioni politiche 2018. Schede elettorali | Documentazione | Dipartimento per gli affari interni e territoriali
2018年上下院選挙投票用紙ファクシミリ|イタリア・プラート県 Po-net|Schede elettorali fac-simile – Elezioni politiche 4 marzo 2018
議会における女性 2018|列国議会同盟
世界の政治・経済日程(2022年9~11月)(欧州) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
イタリアで最大政党が分裂 ~政局リスクも金利上昇の一因に~ | 田中 理 – 第一生命経済研究所
右派が最大勢力か 欧州の対ロ結束に不安も―伊総選挙:時事ドットコム
イタリア、9月25日に前倒し総選挙-ドラギ首相辞任で – Bloomberg
イタリアのドラギ首相が辞任 連立政権の崩壊受け – CNN.co.jp
五つ星運動とは – コトバンク
同盟(イタリアの政党)とは – コトバンク
民主党(イタリア)とは – コトバンク
フォルツァ・イタリアとは – コトバンク
支持率トップの右派「イタリアの同胞」とは 西側との結束危ぶむ声も | 毎日新聞
イタリアの同胞(FDI):時事ドットコム
イタリア中道連合、数日で崩壊-「アツィオーネ」が民主党と協力解消 – Bloomberg
[FT]イタリア総選挙、中道左派と改革派の連合が破綻|日経新聞

この記事を書いた人
Akira

大学では日本近代史を専攻し、外交史を学んでいました。
現在は政治・歴史・経済のテーマを中心に扱うフリーライターです。
政治・選挙に役立つ情報を、分かりやすくお届けできるよう心がけています。

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