「ネットで族議員という言葉を見かけたけど、何のことか分からなかった」
「族議員はいつ頃からいるのか知りたい」
「主な族議員の分類を知りたい」
インターネット上の記事やテレビなどで、「族議員」という言葉を見聞きしたことらないでしょうか。
本記事では族議員とは何なのか、意味や誕生の背景について解説しています。主な族議員の分類も紹介しています。
族議員とは
族議員とは、特定の政策分野に影響力を持つ議員を指す俗称です。
特定の政策領域における専門知識と人脈を持っていることから、政策過程に大きな影響を持っているとされています。
一般的には運輸族や建設族(国土交通省)のように官庁を単位に分類されますが、細かい政策分野ごとに分類される場合もあります。
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族議員の存在は、特定の業界や団体との癒着などの指摘によってマイナスイメージを持たれることも少なくありませんが、専門分野におけるスペシャリストであるという一面もあります。
海外でも外交や軍事、文教政策を専門とする議員がいることは珍しくありませんので、族議員の存在に問題があるとは一概には言えないでしょう。
「族議員」誕生の背景
族議員が認識され始めたのはいつ頃なのでしょうか。
日本で族議員が台頭したのは1970年代からといわれています。
この頃に、政府提出法案の国会提出前に党政務調査会の各部会で法案の事前審査を行うことが政府・自民党におけるルールとして確立したことが理由の1つとして挙げられます。
また、高度経済成長の終焉と社会保障制度の推進の必要が生じたことで、潤沢な予算を配分できなくなったことにより、党内での調整が必要とされたことも理由の1つです。
長期政権与党を担当してきた自民党の中だけでなく、野党の中にもその出身や委員会経験などを通じて族議員が形成されています。
1993年、細川連立政権の発足により族議員の力が衰えたといわれていましたが、村山連立政権の発足により自民党が与党に復帰してからは族議員が再度、影響力を持つようになったと言われています。
主な族議員の分類一覧
主な族議員と、名称の元になった政策部会や省庁を一覧で紹介します。
- 法務族(法務省)
- 外交族(外務省)
- 大蔵族・財政族(大蔵省→財務省)
- 金融族(金融庁)
- 運輸族・航空族(運輸省→国土交通省)
- 建設族・道路族(建設省・国土庁→国土交通省)
- 農林族(農林水産省)
- 郵政族(郵政省→総務省)
- 文教族(文部省→文部科学省)
- 厚生族・社労族・労働族(厚生省・労働省→厚生労働省)
- 国防族(防衛庁→防衛省)
- 商工族(通商産業省→経済産業省)
- 環境族(環境庁→環境省)
- 地行族(自治省→総務省)
- 警察族(国家公安委員会・警察庁)
- 税調族(税制調査会)
など
なお、1人で複数の族議員に分類されることもあり、例えば税調族と呼ばれていたある議員は、選挙区が畜産の盛んな地域である関係から畜産族(農林水産省)にも分類されていました。
また、特定の政策分野ではなく、野党との人脈を生かし、国対政治の場で力を発揮する国対族と呼ばれる議員も存在します。
まとめ
本記事では族議員について解説しました。以下に内容をまとめます。
- 族議員は、特定の政策分野における知識や人脈を持っており、政策過程に影響力のある議員のこと
- 特定業界・団体へに便宜を図ることから癒着を指摘されることもあるが、専門分野におけるスペシャリストという一面もある
- 各省庁や政策部会ごとに分類される
- 族議員が日本で台頭してきたのは1970年代からといわれていいる
- 1人で複数の族議員に分類されることもある
<参考>
族議員とは – コトバンク
選挙制度改革後の自民党 | nippon.com
自民党の歴史 派閥=族システムの完成(2ページ目)
族議員とは – コトバンク