地方議員のなり手不足問題とは?原因と対策について簡単に解説

地方議員のなり手不足問題とは?原因と対策について簡単に解説

2022年12月、神奈川県大井町の議員補欠選挙に立候補者が出ず、「選挙なし」と決まりました。極めて異例だとして、驚きの声が上がっています。

日本全国に目を向けても、地方議員の総数は定員割れの状態です。

本記事では、地方議員のなり手不足の現状・原因・対策について分かりやすく解説します。

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地方議会の現状

人口減少に伴い、地方では議員のなり手不足が深刻化しています。

近年はコロナ対策などで地方自治体が中心的な役割を果たすため、地方議会の重要性はますます増してきました。

ところが、市町村合併の影響で地方議員の定数は減少し、その定数も満たしていないのが現状です。

また、地方議会議員選挙の投票率は年々低下の一途を辿っています。

無投票当選の割合も増加しており、一部自治体では立候補者が定数に達しないため、全員が当選してしまうという状況です。

特に町村など規模の小さい自治体ほど無投票当選の割合が増えており、なり手不足の切迫が窺えます。

報道機関の調査でも、地方議会の5~6割がなり手不足を課題としていると回答しました。

なり手不足問題の原因

地方議員のなり手不足の背景には、どのような原因があるのでしょうか。

ここでは、人材・住民の関心・報酬という3つのポイントからなり手不足問題の原因を解説します。

人材の不足

なり手不足となる原因の一つに、人材の不足が挙げられます。

例えば、全国の町村議会議員の平均年齢は64歳程度で、60歳以上が約77%、60歳未満はわずか23%ほどしかいません。

男女別に見ても、女性議員の割合は全体の1割程度です。

このように、小規模な自治体の議員は高齢化が進んでおり、若い議員や女性議員が非常に少ないことが分かります。

職業別に見ても、専業の議員は全体で約2割程度しかいません。大半は農業従事者を中心に建設・卸売・小売・飲食との兼業です。

兼業は法的に制限が掛けられており、実質的に両立も困難であるため、なり手の範囲を狭めていると指摘されています。

住民の無関心

2つ目の原因として、住民の政治に対する関心の低下が挙げられています。

全国的に投票率は年々低下しており、立候補者の減少によって無投票当選の割合も増加しています。

つまり、選挙権・被選挙権の放棄が進んでいるということです。

2019年の統一地方選挙では、無投票当選者が23.3%おり、8町村の議会は定員に達しませんでした。

問題の背景には、地方議員の不祥事などに対して住民が厳しい目を向けていることや、行政に対する魅力が低下しているという指摘もあります。

住民と地方行政における信頼の回復が課題となっています。

低水準な議員報酬

議員報酬が低水準であることも理由として挙げられています。

例えば月額報酬を見ると、都道府県の平均が約81.3万円、市の平均が約40.7万円なのに対し、町村議員の平均は約21.4万円です。

兼業が制限されている以上、若い世代、特に子育て世代にとっては生活そのものが困難になります。

政務活動費についても、8割の町村議会では交付されていません。

交付されている町村でも、月額の平均は9,465円程度にとどまっています。

このように小規模な自治体では、議会議員になると生活も政治活動もままならないのが現状です。

どんな対策が取られている?

なり手不足の現状を受け、対策としてはどういった取り組みが行われているのでしょうか。

ここでは、人材・報酬・デジタルという3つのポイントに絞って解説します。

人材面の対策

地方議会の高齢化が進む中、若者や女性からも幅広い人材を募ることが求められています。

特に、勤労者が議員に立候補しやすい環境の整備が必要です。

対策としては、休日・夜間議会の開催通年会期制の導入といった、柔軟な日程で開催できるような取り組みが進んでいます。

勤労者が議員活動を行うための法制度として、立候補に伴う休暇を規定するという意見もあります。

また、兼業に関する規制も人材の幅を狭めていることから、2022年12月に兼業の条件を緩和する法改正が行われました。

この改正により、年間の取引金額が300万円以下の事業者であれば、制限なく議会との兼業が可能となります。

兼業について詳しくは、以下の関連記事を参考にしてください。
【関連】地方議員の兼業禁止緩和とは?改正法や兼職禁止についても解説

報酬面の対策

小規模な自治体では、低水準な議員報酬がなり手不足の要因とされます。

例えば、もっとも報酬の低い東京都御蔵島村の場合は月額10万円程度です。

こうした状況を受け、「町村議会議員の議員報酬等のあり方検討委員会」が設置されました。

2019年3月にまとめられた最終報告によると、兼業の限界を考慮し、専業として生活できる報酬額の確保が重要とされます。

議員報酬の増額については、住民の理解を得られにくい事情もあるため、オンラインを活用して住民参加を促す取り組みも始まりました。

また、すでに廃止された議員年金を復活させる議論も行われており、報酬面でいかに議員の生活を保障するかが論点となっています。

議員年金について、詳しくは以下の関連記事を参考にしてください。
【関連】議員年金はなぜ廃止された?「復活」案の理由も解説

デジタルによる対策

近年の新型コロナ感染対策の観点から、議会へのオンライン出席も議論されています。

現在の法制度では、委員会へのオンライン出席は可能ですが、本会議は認められていません。

本会議へのオンライン出席は、多様な人材の参加機会を促すという理由から、法的に認めるべきだと考えられています。

委員会へのオンライン出席は一部自治体で始まっており、そこで生じた課題を踏まえて検討を進める方針です。

また、現在書面で行われる議会の法令上の手続きもオンライン化し、多様な住民が議会にかかわる機会を増やすことが重要だとされます。

まとめ

本記事では、地方議員のなり手不足問題について解説しました。

  • 町村など小規模な自治体で議員のなり手不足が深刻化している
  • 原因は人材の不足・住民の無関心・低水準な報酬など
  • 対策として、立候補しやすい環境整備が行われている
  • 報酬の増額をめぐる議論が行われている
  • デジタルの活用によって議会運営を効率化することも重要

<参考>
大井町議補選「候補者ゼロ」で選挙なし 神奈川でも異例 大井町議補選 | カナロコ by 神奈川新聞
総務省|地方制度調査会
多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に 向けた対応方策に関する答申
地方議会議員のなり手不足の現状と対策|立法と調査2019.11 No.417 – 参議院
会期制について|総務省
町村議会議員の議員報酬等のあり方検討委員会
町村議会議員の議員報酬等のあり方 最終報告

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