若者が選挙に行かない理由とは?投票率を上げる対策についても解説

若者が選挙に行かない理由とは?投票率を上げる対策についても解説

ニュースやSNSで、若者の投票率が低いことを問題視する声を目にすることはありませんか?

少子化が加速する中、若者の政治離れの進行は、政治に若者の声が反映されにくい状況を招いてしまう懸念があります。

この記事では、若者の投票率の現状を確認したうえで、総務省や東京都が行ったアンケート調査の結果をもとに、若者が選挙に行かない理由をご紹介します。

また、若者の投票率を上げる対策についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

若者の投票率の現状

総務省のHPには、国政選挙の年代別投票率が発表されています。

ここでは、総務省の資料をもとに、国政選挙における若者の投票率をみていきましょう。

年代別の投票率

直近で実施された国政選挙は、2022年7月10日の第26回参議院議員通常選挙です。

この選挙における、年代別の投票率は以下のようになっています。

  • 10代(18,19歳):35.42%
  • 20代:33.99%
  • 30代:44.80%
  • 40代:50.76%
  • 50代:57.33%
  • 60代:66.69%
  • 70代以上:55.72%

いわゆる若者と呼ばれる10代・20代の投票率は、他の年代と比べて低いことがわかります。

【関連記事】参院選の年代別投票率は?衆院選や過去の推移も

投票率の推移

参議院議員通常選挙に関して、20代の投票率の過去20年(計7回分)の推移は以下の通りです。

  • 第20回:34.33%
  • 第21回:36.03%
  • 第22回:36.17%
  • 第23回:33.37%
  • 第24回:35.60%
  • 第25回:30.96%
  • 第26回:33.99%

いずれの回においても全体の投票率は50%前後を記録するなか、20代の投票率は30%代と一貫して低い水準で推移していることがわかります。

若者が選挙に行かない理由

なぜ若者の投票率は低いのでしょうか。

ここでは、総務省と東京都が実施したアンケート調査をもとに「若者が選挙に行かない理由」をご紹介します。

総務省「18歳選挙権に関する意識調査」

2016年、総務省は、18歳から20歳の投票行動の把握を目的に意識調査を実施しました。

調査概要は以下の通りです。

  • 調査対象:全国の満18歳~20歳の男女3,000人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2016年10月20日~2016年10月31日

調査の中では、投票に行かなかった人(1,426名)を対象にその理由を聞いており、以下のような回答が得られました。(複数回答可)

  • 今住んでいる市区町村で投票することができなかったから(21.7%)
  • 選挙にあまり関心がなかったから(19.4%)
  • 投票所に行くのが面倒だったから(16.1%)
  • どの政党や候補者に投票すべきかわからなかったから(11.9%)
  • 自分のように政治のことがよくわからないものは投票しない方がよいと思ったから(10.7%)
  • 私一人が投票してもしなくても世の中は変わらないと思ったから( 9.7%)
  • 選挙によって政治はよくならないと思ったから(7.9%)
  • 不在者投票の手続が面倒だったから(5.4%)
  • 選挙結果がどのような影響をもたらすかわからなかったから( 4.1%)
  • 不在者投票制度を知らなかったから(3.5%)
  • 今の政治を変える必要がないと思ったから(2.0%)

もっとも回答数が多かったのは「今住んでいる市区町村で投票できなかったから」という理由でした。

次いで「選挙に関心がない」ことや「投票所へ行くことが面倒」という理由が上位に来ています。

なお、今住んでいる地域に住民票を移していないために投票ができない場合は、「不在者投票」を利用することで、その地域でも投票が可能になります。

【関連記事】大学生の不在者投票とは?やり方や注意点を解説!

東京都「選挙に関する世論調査」

東京選挙管理委員会は、選挙の実施ごとに都民の選挙に対する意識や投票行動などを調査しています。

直近発表された世論調査は、2021年10月の衆議院議員選挙に関するもので、調査概要は以下の通りです。

  • 調査対象:東京都の満18歳以上の男女4,000人(うち回答件数は1,809件)
  • 調査方法:調査票配送法
  • 調査期間:2022年3月2日~2022年3月21日

調査の中では、投票に行かなかった人を対象に棄権理由を聞いており、結果を年代別で集計しています。

20代で投票に行かなかった人(55名)の棄権理由上位8項目は、次のような結果となりました。(複数回答可)

  • 投票所に行くのが面倒だったから(30.9%)
  • 仕事が忙しく時間がなかったから(25.5%)
  • 候補者の人柄や政策がわからなかったから(25.5%)
  • 適当な候補者がいなかったから(12.7%)
  • 感染症対策のため外出を控えていたから(12.7%)
  • 病気または体調が悪かったから(10.9%)
  • 自分一人が投票しなくても選挙の結果に影響がないから(9.1%)
  • 選挙によって政治や暮らしが良くなるわけではないから(7.3%)

最も回答数が多かったのは、「投票所に行くのが面倒だったから」という理由でした。

次いで「仕事が忙しく時間がない」ことや「候補者の人柄や政策がわからない」ことを理由に挙げている人が多いです。

若者の投票率を上げる対策

ここでは、若者の投票率向上を図るための対策として4つの事例をご紹介します。

期日前投票所のアクセス性改善

期日前投票所の設置場所や投票時間を見直すことで、投票率向上を目指す自治体が増えています。

たとえば、通勤・買い物のついでに投票できるよう駅前やショッピングセンターに投票所を設置したり、投票時間の繰り上げ・繰り下げを行ったりする取り組みが見られます。

実際に期日前投票の利用者は年々増加傾向にあり、2022年の参院選の期日前投票者は1,961万人と参院選として過去最多を記録しました。

【関連記事】期日前投票とは?制度や投票方法について分かりやすく解説

センキョ割

センキョ割は、選挙期間中、対象店舗で投票済証を提示すると、商品の無料サービスや割引などの特典が受けられるイベントです。

ルールの交通整理を担う選挙割協会と、運営を担うセンキョ割学生実施委員会が中心となり、全国各地の企業とともに活動しています。

年々協力店舗数が増加しており、若者の投票率向上に向けた取り組みとして注目を集めています。

【関連記事】センキョ割とは?割引内容や利用方法についてご紹介!

主権者教育の普及推進

総務省や文科省を中心に、主権者教育の普及推進がなされています。

背景には、若者の社会や政治に関する関心を高め、投票率向上につなげていくことがあります。

選挙に関する講演や模擬選挙、社会問題をテーマとしたディベートなどが主権者教育の具体例です。

【関連記事】主権者教育とは?推進の背景や実践例を紹介

インターネット投票の導入

インターネット投票の導入は、若者の投票率を向上させる解決案の1つといえるでしょう。

しかし、インターネット投票には、セキュリティなどの観点で様々な課題があり、現状導入には至っていません。

ただし、茨城県つくば市が2024年の市長選でネット投票の実現を目指しているなど、今後の動きが注目される取り組みです。

【関連記事】選挙のネット投票(オンライン投票)はなぜできない?デメリットや電子投票の違いを解説

まとめ

この記事では、若者の投票率の現状を整理し、若者が選挙に行かない理由や投票率を上げる対策について解説しました。

  • 若者の投票率は、他の年代と比べて、一貫して低い水準で推移している
  • 若者が選挙に行かない理由として、「住んでいる地域で投票できない」「面倒」「関心がない」「忙しい」といった声が多く見られる
  • 若者の投票率向上の取り組みとしては、期日前投票所のアクセスを改善することや主権者教育を推進していくことなどが挙げれらる

 

 

<参考>
総務省 | 選挙結果
総務省 | 18歳選挙権に関する意識調査
東京都選挙管理委員会事務局 | 選挙に関する世論調査(令和 3 年10月31日執行衆議院議員選挙)
日本総研 | U30世代の投票率向上のための施策案について
日経新聞 | 参議院選挙、期日前投票1961万人 過去最多を更新
センキョ割 | センキョ割とは?
NHK解説委員室 | インターネット投票は実現するか

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