主権者教育とは?推進の背景や実践例を紹介

主権者教育とは?推進の背景や実践例を紹介

「主権者教育って何?」
「主権者教育の小学校や中学校、高校での実践例を知りたい」
「主権者教育にはどのような課題がある?」

主権者教育とは、国や社会の問題を自分ごととして捉え、自分で考え判断し、行動していく主権者を育成することです。

本記事では主権者教育について、その意味や背景、実践例や課題などについて解説しています。

主権者教育とは

主権者教育とは、国や社会の問題を自分の問題として捉えること。そして、自ら考え判断、行動していく主権者(=日本の場合は国民)を育成することとされています。

主権者教育は、社会の出来事を自ら考え、判断し、主体的に行動する主権者を育てることにある。

引用元:主権者教育の推進に関する有識者会議 とりまとめ(要約) 

総務省が開催した「主権者教育の推進に関する有識者会議」では、子どもだけでなく大人にも主権者教育の機会を提供すべきとされています。

これからは、子供から大人まで、主権者教育の機会を提供すべきであり、身近な問題から社会問題まで、年代や環境に応じた題材により、考える力、判断する力、行動していく力を醸成する多様な取組が求められる。

引用元:主権者教育の推進に関する有識者会議 とりまとめ(要約) 

主権者教育推進の背景

なぜ近年、主権者教育が推進されるようになったのでしょうか。

理由として挙げられるのが若年層の投票率の低さです。

有権者年齢の拡大以降も全体の投票率は下がっており、主要国の中でも低いことから、主権者教育推進の重要性が高まってきたとされています。

具体的には、OECD(経済協力開発機構)主要国平均で18~24歳の投票率が6割を超えているのに対し、日本の18~24歳の投票率は2014年調査時点で3割程度となっています。

主要国のうち、特にヨーロッパ各国の若者の投票率が高い国々では、政治教育や主権者教育が積極的に行われています。

日本でも同様に主権者教育を推進、定着させ、若者の投票率を上げるのがねらいです。

主権者教育の実践例

主権者教育の実践例を紹介します。

  • 学校教育における取り組み
  • 家庭・地域における取り組み
  • メディアリテラシーの育成に関わる取り組み

学校教育における取り組み

学校教育における主権者教育の取り組みの実践例を紹介します。

  •  小・中学校段階からの政治的教養を育むことを目指した指導資料や事例集作成の取組
  • 小学校段階での児童会活動を通した自治的活動を基盤としながら、中学校段階における、これからの地方自治についての施策提案につなげる「市民科」の取組
  • マニフェストの作成など、大学との連携による模擬選挙の工夫
  • 権利には責任が伴うとの観点から、ある権利について何歳になれば与えられるのが適当かを考え意見をまとめる中で、権利と責任について考える授業
  • 実際の選挙公報を用いて各政党の政策について様々に意見を出し合い模擬投票を行う取組
  • 生徒により模擬家族を構成し与えられた立場から候補者の政策を比較衡量し模擬投票を行う取組
  • 「決め方」をテーマに6種類の候補の中から、給食のメニューを決める活動を通して、選挙、多数決以外にも様々な決め方があることを考えさせる授業
  • 外国における女性の政治参加割合や制度を例に、アファーマティブアクションを基に議論し考察させる授業
  • 模擬区長選挙として、生徒の中から選出された候補者による政策の演説、聴衆である生徒との質疑応答を経て、投票につなげる取組

家庭・地域における取り組み

家庭・地域における主権者教育の取り組みの実践例を紹介します。

  • 家庭教育アドバイザーをファシリテータとしながら、乳幼児の保護者、小中高校生の保護者などを対象にした講座を行う「親の学習事業」の取組
  • 地域の人と協力して国道バイパスの環境を整える美化活動や全校生徒と共に資源回収を行う「奉仕の日」の設定など、学校と地域をつなぐ取組
  • PTAと地域との連携を基盤に「中学生理事」による地域の公民館活動への参加を促す取組
  • 18歳からの投票立会人を募集したり、初めて投票した者に記念証書を渡したりするなどの取組

メディアリテラシーの育成に関わる取り組み

メディアリテラシーの育成に関わる取り組みを紹介します。

  • 小学校の夏休みや授業の宿題として、新聞記事について保護者や友達と感想を交換し、自分の考えをまとめる取組
  • 新聞記事を読んで感想を書き、記事の内容について家族や友人と話し合い、意見を聞いて書き、話し合いを通じて自らの意見がどう変わったか、変わらなかったかを書く新聞コンクールの取組

主権者教育の課題

主権者教育が重要視され、推進されるようになってきた一方で、課題も挙げられるようになりました。

総務省が開催した「主権者教育の推進に関する有識者会議」では、以下のような課題が挙げられています。

  • 知識学習や体験学習に重点が置かれ、十分に議論し、意思決定する取組は多くなかった。その要因は、短期間で知識や関心の向上が求められたこと、時間が確保できなかったことなどが考えられる。
  • 公選法や政治的中立性の観点から、授業でどの程度扱えばよいのかなどの疑義を抱くとの声もあり、授業で扱いにくいと指摘する声もある。
  • 大学等では、学生に対して教育する機会が限られていた。
  • 個別事情に応じた指導方法の開発に時間を要する特別支援学校への対応も必要である。

知識学習や体験学習に重点が置かれている一方で、十分な議論や意思決定をする取り組みが少ないことが課題として挙げられています。

また、政治的中立性の観点から、授業での扱いにくいとの声も上がっていたようです。

まとめ

本記事では主権者教育について解説しました。以下に内容をまとめます。

  • 主権者教育とは、社会の出来事を自ら考え、判断し、主体的に行動する主権者を育てること
  • 子どもから大人まで、主権者教育の機会を提供すべきとの声もある
  • 若者の投票率の低さから、主権者教育推進が重要視されるようになったといわれている
  • 主権者教育は学校教育や家庭、地域で実践されている
  • 主権者教育には、政治的中立性の観点や取り組み内容における課題があるといわれている

 

<参考>
総務省|報道資料|「主権者教育の推進に関する有識者会議」とりまとめの公表
「主権者教育」とは?【知っておきたい教育用語】 
主権者教育の推進はなぜ必要か。解決すべき課題とは 
若者の投票率低迷は「主権者教育」でどう変わるか | 東洋経済education×ICT 
今後の主権者教育の推進に向けて 
主権者教育の推進に関する有識者会議 とりまとめ(要約) 

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