「選挙で投票したいと思っていたけど、手元に投票券がなくて諦めてしまった……」といったように、何らかの事由で投票できないということもありますよね。
特に、住民票を移していない地方出身の大学生にとって、現在住んでいる地域で投票する方法は分かりづらいかもしれません。
しかし、今回紹介する「不在者投票」を利用することで、現在住んでいる地域からでも問題なく投票ができるため、ぜひ参考ください。
本記事で分かること
・不在者投票とは
・不在者投票の手順と投票後の流れ
・不在者投票をする際の注意点
まずは、不在者投票とはどんな制度なのかを見ていきましょう。
不在者投票とは?
不在者投票は、仕事や旅行などが理由で、選挙期間中に自分自身が名簿登録されている地域以外にいる場合、滞在先の市区町村の選挙管理委員会で投票ができる制度のことです。
期日前投票と似ていますが、投票の形式が異なります。
不在者投票の方法と流れ
ここでは、投票に関する手続きなどの手順や、投票後後の流れについて見ていきましょう。
不在者投票の手順
不在者投票を行うには、以下の順番で手続きをします。
1.不在者投票用紙等の請求
まず、不在者投票を行うためには、「不在者投票の投票用紙等の請求書兼宣誓書」(請求書兼宣誓書は、リンクからダウンロードできます)を、名簿登録されている自治体に郵送、または直接受け渡しします。
自治体によっては、インターネットで請求可能です。(インターネット請求ができる自治体はこちら)
2.書留で書類が到着
「不在者投票用紙・投票用封筒・不在者投票証明書」が書留で届きます。
※この時点で不在者投票証明書を開けてはいけません。また、投票用紙に記入などもしてはいけません。
3.不在者投票用紙に記載の投票場所に行く
投票日前日までに記載された場所に行きます。
基本的には、滞在先の最寄りの市区町村選挙管理委員会が投票場所です。政令指定都市では、区の選挙管理委員会になります。
4.送られてきた不在者投票用紙・封筒・不在者投票証明書を点検してもらう
持参した不在者投票用紙と封筒、不在者投票証明書を不在者投票管理者に点検してもらいます。
※この時点で不在者投票用紙に記入があったり、不在者投票証明書が開封されたりしていると、投票できなくなります。
5.不在者投票用紙に候補者の名前を書く
実際の投票と同じように、不在者投票用紙に候補者の名前を記入します。
その後、不在者投票用封筒に入れて、封筒の表面に署名します。
6.投票管理者に渡す
署名までが終わると、不在者投票管理者に渡して、投票完了です。
不在者投票を行った後の流れ
不在者投票を行った後の流れは、以下のようになっています。
1.不在者投票管理者が選挙人名簿を管理している市町村選管委員長に投票用紙を郵送する
不在者投票では、個人が自分自身で郵送ができず、不在者投票管理者があなたの代わりに市町村選管委員長に送ってくれます。
2.選管委員長が選挙人所属の選挙区の投票管理者に郵送する
選管委員長が受け取った時点で投票完了となれば問題ありませんが、選挙区の投票管理者へと郵送する段階が残っています。
3.郵送された封筒を開封し、一時保管
投票管理者が郵送されてきた投票用紙などを開封し、一時的に保管します。
4.投票管理者が投票立会人と相談し、保管している投票用紙が有効か判断する
二重投票など不正が行われていないかを確認するため、立会人と投票管理者が話し合い、投票が有効であるかどうかを決定します。
5.投票箱に入れ、開票
投票が有効だと判断された場合、投票箱に入れられ、他の投票用紙とともに選挙結果へと反映されます。
不在者投票をする際の注意点
不在者投票をする際には、以下の2点に注意しましょう。
ここで紹介する注意点を守らないと、投票が無効になったり、投票自体ができなくなったりするため、必ず一読ください。
早めに手続きしよう
不在者投票は、投票がその場で行われる一般的な選挙と違い、3回の郵送(投票用紙の請求・不在者投票管理者から選管委員長・選管委員長から選挙区の管理者)が必要になるため、通常よりも時間がかかります。
開票の締め切り時間までに書類が届いていないと、不在者投票用紙が無効になってしまうため、少なくとも3日前までには投票を完了させ、早めに郵送してもらえるようにしましょう。
※特に登録者名簿の地域が船や飛行機での輸送が必要な場所の場合は、注意が必要です。
不在者投票証明書が入った封筒は勝手に開けない
不在者投票をする際の点検を受ける前に不在者投票証明書が入った封筒を開封した場合、投票の権利が無効になってしまいます。
また、事前に投票用紙の候補者名を記入することも無効につながります。
開封してしまったけれど投票したい場合は、「請求書兼宣誓書の郵送」からもう1度手続きを踏むことになってしまうため、注意しましょう。
まとめ
本記事では、
「不在者投票とは何か」
「不在者投票の流れ」
「不在者投票における注意点」
という観点について解説しました。
地元に住民票がある大学生でも、不在者投票を使えば選挙に参加でき、自分の意思を届けられます。
次回の選挙では、不在者投票の制度を活用してぜひ参加してみてください。
<参考>
不在者投票 | 中央大学
下宿をしていて住民票は実家に置きっぱなしの皆さん、今からでも投票はできます。(伊藤伸) – 個人 – Yahoo!ニュース
総務省|投票制度
京都市:不在者投票
南砺市「不在者投票F&Q」
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