候補者均等法の改正で女性議員の割合は増えたのか?概要と改正の流れを解説

候補者均等法の改正で女性議員の割合は増えたのか?概要と改正の流れを解説

選挙における男女候補者数のギャップを埋めるため、2018年に施行された候補者均等法。

2021年6月には改正法が成立し、2021年10月の衆院選ではその効果が期待されていました。

本記事では候補者均等法の概要や、改正法の内容や背景について解説します。

候補者均等法が制定から3年で改正

2018年に制定された候補者均等法から3年、2021年6月に候補者均等法の改正法案が成立しました。

本章では候補者均等法の概要と改正法の概要や改正の流れについて解説します。

候補者均等法とは

候補者均等法とは「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(平成30年法律第28号)の通称で、選挙における男女候補者の数が均等になることを目指すことを基本原則に定められた法律です。

衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すことなどを基本原則とし、国・地方公共団体の責務や、政党等が所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めることなどを定めています。

引用元:政治分野における男女共同参画 | 内閣府男女共同参画局

海外の類似の法律として、フランスの政党に候補者を男女半々とするよう義務づけたパリテ法が挙げられますが、候補者均等法にはパリテ法のような強制力や罰則規定はありません。

改正法の内容

候補者均等法改正法が2021年6月10日に全会一致で可決・成立しました。

改正法では以下の内容が盛り込まれました。

  • 女性の政治参加を促すため、政党と政治団体に対し、選挙の候補者の選考方法を改善すること(努力義務)
  • 政党と政治団体に加え、国や自治体に対しては、セクハラや、妊娠・出産を理由にした降格などのいわゆるマタハラを防ぐ取り組みに努めるよう求める
  • 政治活動と家庭の両立のため、男女問わず、議員が育児や介護などを理由に議会を欠席できること

法改正を後押しした「クオータ制を推進する会」

候補者均等法の改正を後押ししたのは、赤松良子元文相が会長を務める「クオータ制を推進する会」でした。

クオータ制とは人種、性別などを基準に一定の比率で人数を割り当てる制度のことです。ちなみにクオータ制は英語で「quota system」といい、quotaは分担、割当などの意味を持ちます。

「クオータ制を推進する会」のメンバーや法律制定を主導した超党派の議員連盟の議員たちは制定時である3年前から改正を見据え、少しずつ拘束力を強め、女性議員の割合を改善することを目指していました。

日本の女性議員の割合

候補者均等法の改正により女性議員の割合は改善したのでしょうか?

2021年の衆議院選挙では186人の女性が立候補し45人が当選しました。

2017年の衆院選と比較すると候補者は23人、当選者は2人減りました。その結果、衆院選全体に占める女性候補者の割合は17.7%、当選者の割合は9.7%にとどまり、ジェンダーギャップが浮き彫りになりました。

女性議員の割合を改善するためには、より拘束力を強めるなど、候補者均等法のさらなる改正が必要になってくるかもしれません。

候補者均等法改正について まとめ

本記事では、候補者均等法の概要と改正法の内容について解説しました。

内容を以下にまとめます。

  • 候補者均等法は、選挙における男女候補者の数が均等になることを目指す法律
  • 候補者均等法の改正法ではセクハラ、マタハラ防止への取り組みを求めるほか、育児、介護を理由に議会を欠席できることが明記された
  • 改正後の衆院選候補者に占める女性の割合は17.7%、衆議院に占める女性候補者の割合は9.7%にとどまりました

 

<参考>
改正候補者男女均等法 女性の政治参加促す改正法が成立 | NHK政治マガジン
こだわった「3年で改正」 候補者均等法成立の舞台裏:朝日新聞デジタル
衆院、女性比率10%割れ : 形骸化する共同参画法、かすむ “ジェンダー平等” | nippon.com
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