そもそも、選挙の意義や目的がよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
選挙はいったい何のために行われているのか、どのように機能するか等、選挙について分かりやすく解説します。
選挙とは?なぜ選挙が必要なの?
私たち国民の代表は選挙によって選ばれます。
私たちは、社会を形成する一員です。そしてその社会には、国の法律や、自治体のルール等守るべきものがあります。
一人ひとりが決められたルールのもとに生活を送っています。
ルールは変えたり、新たに作ったりすることができます。
それは私たち国民の意見や願いが基となりますが、全員が同じ意見を持っているわけではありません。
多くの人がいろいろな考えや意見を持つときに、バラバラに議論していてはそれぞれの人の意見を収斂(しゅうれん)させるのは大変です。
そこで、国民の意見を社会に反映してくれる代表者を選びます。
これが選挙で、日本での選挙は「多数決方式」が採用されています。
身のまわりにもある選挙
選挙は身のまわりにもあります。
多くの人が経験がある選挙は、小中学校のクラスの代表を決める選挙ではないでしょうか。
たとえば学校のイベントの内容や運営を決めるときに、生徒全員が集まるのではなく、各クラスで代表を決めて代表者が集まって話し合うとスムーズにまとめられます。
また、町内会や自治会では各家庭から関係者が毎回集まるのは大変です。
そこで、役員や町内会長などの代表を決めて活動していますね。
紹介したような身近な選挙も、これからお話しする選挙も目的は同じです。
誰を選ぶの(選挙の種類)
選挙の意義についてわかったところで、この記事では日本で行われている国の選挙と地方自治体の選挙について、最低限知っておきたいことをまとめました。
国会議員の選挙
国会議員を選ぶ選挙です。
衆議院議員と参議院議員の選挙があります。
衆議院議員総選挙
衆議院議員総選挙とは、総定数465人の衆議院議員を選ぶ国政選挙です。
衆議院議員の任期満了(4年)、または、衆議院が解散となった場合に行われます。
参議院議員通常選挙
参議院議員通常選挙とは、、参議院議員の半数を選ぶ国政選挙です。
参議院に解散はありませんから、常に任期満了(6年)によるものだけです。ただし、参議院議員は3年ごとに半数が入れ替わるよう憲法で定められていますので、3年に1回、定数の半分を選ぶことになるのです。
参議院議員の総定数は248人で、うち100人が比例代表選出議員、148人が選挙区選出議員です。
地方議会議員の選挙
地方議会議員の選挙とは、都道府県の議会の議員全員を選ぶ選挙です。
任期満了(4年)時だけでなく、議会の解散によって議員または当選人がいなくなった場合に行われます。
知事・市町村長(首長)選挙
知事・市長村長(首長)選挙とは、都道府県知事や市区町村長など地方公共団体の長を選ぶ選挙です。
選挙があるのは、1)任期満了(4年)、2)住民のリコール(直接請求)による解職、3)そして長の死亡・退職・非選挙権の喪失や不信任案による失職、いずれかの場合です。
選挙の仕組み
つぎに、具体的に選挙はどのように行われていくのか、選挙の仕組みを見ていきましょう。
選挙権と被選挙権
国会議員や地方議会議員・都道府県知事を選出する選挙では、代表者を選ぶ権利「選挙権」と代表者に選ばれる権利「被選挙権」があります。
選挙権
選挙権があるのは18歳以上の日本国民です。
地方自治体の選挙の場合は、その地域に3カ月以上住んでいることも条件に加わります。
被選挙権
被選挙権は、選挙の種類によって、選ばれる人の年齢条件が異なります。
- 参議院議員と知事:30歳以上
- 衆議院議員と市町村長・市町村議会議員:25歳以上
多数決が原則
民主政治の原則である多数決は、人々の意見を集約し、決定する際に用いる方法です。より多くの支持を得た者を代表者とすることによって、政治の安定化を図ります。
原則は候補者の得票の多さで決めますが、国会議員選挙は政党の得票に応じて議席を配分する「比例代表制」も採り入れられています。
比例代表制は、各政党が獲得した投票数に比例して候補者に議席を配分する選挙制度です。
政党で民意を反映させる目的で導入されています。
定数と選挙区
国会議員や地方議会議員は人数(選挙では、「定数」と表現します。)が決められています。
その定数は一定の地区ごとに割り当てられており、これを選挙区といいます。
選挙区の決め方には大きく次の2つの方法があります。
小選挙区制:1つの選挙区で1人の議員を選ぶ方法。
大選挙区制:1つの選挙区で複数の議員を選ぶ方法。
選挙の流れ
それでは選挙はどのような方法で行われるのか、選挙の流れを説明しましょう。
立候補
国会議員や知事などに選ばれるためには、選挙に立候補しなければなりません。
立候補した人は自分の考え・実現したい政策などを明らかにして選挙運動をします。
投票
決められた選挙運動期間が終わったら、投票が行われます。
投票日に決められた投票所で
自分が選びたいと思う人の氏名や政党名を書いて投票します。
投票日の都合が悪いときは、期日前に投票することもできます。
開票
投票が終わったら、開票が行われ、各候補者の得票数が集計されます。
得票数の多い順に当選者が決まります。
国会の仕組みと役割
ここで国会の仕組みと役割も見ておきましょう。
国会議会の議決を経て法律を定立する「立法」を担当します。
法律や条例などにより決定された内容を執行したり、諸外国との条約や協定などを締結したりする「行政」を担当する内閣、法を適用し宣言することにより、これを裁定する「司法」を担当する裁判所とともに国の重要な役割を担う三権の1つです。
国会のしくみや役割の基本は、憲法で決められています。
衆議院と参議院がある
日本の国会は二院制を採用しています。衆議院と参議院です。
二院制には次のようなメリットがあります。
- 国民の意見を広く反映できる
- 両院で審査するので慎重に審議できる
法律や国の予算を決める
国会の主な仕事は、私たちの日々の生活や仕事に関係する法律を作ることと、国の予算を決めることです。
内閣総理大臣を選ぶ
国会にはいろいろな役割がありますが、覚えておきたいのは内閣総理大臣の選出です。
日本は議院内閣制といい、国会が総理大臣を選ぶ権能があります。
日本の内閣総理大臣(首相、総理大臣)は、私たちの代表者である国会議員を通じた間接選挙により選出されます。
選挙は私たちの生活を守る大切な仕組み
選挙で代表者を選ぶのは私たちの生活を守り、向上させていく上で重要です。
身近な選挙はもちろんですが、国や地方の選挙は私たちの現在の生活、そして将来の生活のあり方に直結する大切な仕組みです。
<参考文献>