世界で輝く女性首相 ー3月8日は国際女性デーー

世界で輝く女性首相 ー3月8日は国際女性デーー

3月8日は「国際女性デー」。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの重要性を考える日であるとともに、女性の社会的、経済的、文化的、政治的功績を称える日でもあります。

またこの日は、イタリアで「ミモザの日」とも呼ばれ、この時期に開花するミモザの花が、国際女性デーのシンボルとなっています。

スマート選挙事務局はSDGsに賛同しています。本記事は、SDGsの目標の1つ「ジェンダー平等の実現」に深く関わる「世界の女性首相」について紹介します。

今、世界で活躍する女性首相

現在、世界の女性首相は17人。大統領・総統など国家元首まで含めると、その数は33人になります(2022年3月8日現在)。

中でも、特に注目を集め、活躍が目立つ女性首相について紹介しましょう。

ジャシンダ・アーダーン首相(ニュージーランド)

アーダーン首相は、本ブログでもご紹介したように、「首相在職中に産休を取得した、世界で初めての政治家です。

新型コロナウイルスの対応に対しては、早い段階で国全体のロックダウンを決意し、感染拡大を食い止めるなど、その英断は国民から評価されています。

また国連の総会にも、生まれたばかりの子供と共に出席するなど、女性政治家が当たり前のように子どもを産み、子育てしながら公務を続ける道を切り開きました。現代における働く女性のロールモデルを示している1人といえるでしょう。

サンナ・マリン首相(フィンランド)

マリン首相は、2019年に「34歳」という世界最年少で首相に就任したことで注目されました。同国では3人目の女性首相になります。

内閣の発足当時、大臣19人のうち、12人が女性閣僚という女性比率の高さにも世界の注目が集まりました。

カトリーン・ヤコブスドッティル首相(アイスランド)

ヤコブスドッティル首相率いるアイスランドは「世界ジェンダーギャップ指数2021」12年連続1位の国です(日本は120位)。

同国では2022年までに男女間の賃金格差を完全になくすことを目標に掲げており、男女ともに同一賃金が支払われていることが証明できない場合は罰金を課すといった法律の施行は、世界初の試みです。

首相自身が「カトリン」のニックネームで親しまれており、選挙の投票日には市民と気軽に会話をかわし、気軽に記念撮影に応じるなど、支持率の高さを維持しています。

メッテ・フレデリクセン首相(デンマーク)

フレデリクセン首相は、フィンランドのマリン首相と同じく2019年にデンマーク史上最年少で首相に就任しました。

今年2月には、EU加盟国で初めて、新型コロナウイルスに関する国内の規制をほぼ全面的に撤廃することを決めています。

また、昨今話題の「ウクライナ危機」に関して、デンマーク国民がウクライナへ行き、ロシア軍と戦うための「国際義勇軍」に参加することについても容認するなど、大きな決断も次々とくだしています。

カヤ・カッラス首相(エストニア)

カッラス首相は、エストニア初の女性首相になります。

議会に選出される前は、ヨーロッパとエストニアの競争法を専門とする弁護士としても活躍していました。

エストニアは「デジタル最先進国」と呼ばれるほど、デジタル化が進む国として注目されていますが、カッラス首相同国のデジタル化政策にも注力しています。

シェイク・ハシナ首相(バングラデシュ)

世界8位の人口を有するバングラデシュを統治するハシナ首相は、これまでに5回来日するなどするなど、日本との関わりも深い首相です。

最初の首相就任は1996年ですが、その後選挙に破れ一度退任しました。しかし、再び国民の支持を得て2009年に再度首相に就任しています。

彼女の父親は「バングラデシュ独立の父」と呼ばれた、初代バングラデシュ大統領・ムジブル・ラーマン氏です。彼女自身も、父親譲りの強い個性を持った意思と信念の人とされており、貧困撲滅による社会的公正の達成を信条としています。

アナ・ブルナビッチ首相(セルビア)

ブルナビッチ首相はレズビアンであることを公表しています。

2019年に同性パートナーの女性が男の子を出産したことで、在任中に同性パートナーが出産した、世界初の首相になりました。

保守的な家族観が強い同国で、同性愛を公表していたブルナビッチ氏を首相に指名することは、画期的な出来事でもありました。

歴史に名を残す女性首相

過去に就任した女性首相の中にも、その功績から歴史に名を刻んだ人がいます。

ここからは、過去に活躍した代表的な女性首相を紹介します。

マーガレット・サッチャー首相(イギリス)

サッチャー首相は、彼女の強い信念と強力なリーダーシップから「鉄の女」と呼ばれました。首相在任期間11年と208日間は、20世紀以降ではイギリス国内最長になります。

1979年にイギリス首相に就任し、1990年に交代するまでの11年間に、国営企業の民営化を推進するなどの構造改革を行い、経済復活に貢献しました。

イギリス経済を立て直し、現在のようにイギリスの経済的地位を確固たるものにしたのも、彼女の大きな功績です。

サッチャー首相がかかげた「小さな政府」や「民営化」などを基本にした政策は、「サッチャリズム(新自由主義経済政策)」と呼ばれ、後に各国の保守党のモデルにもなりました。

インディラ・ガンディー首相(インド)

インディラ・ガンディー首相は、インドの第5代・8代首相を務めました。

インドの初代首相ネルーの娘でもあります。

東パキスタンのパキスタン独立運動に武力介入し、第三次印パ戦争を引き起こしました。

この戦争に勝利した結果、東パキスタンが「バングラデシュ」として独立することをパキスタンに認めさせ、インドの影響力を国際的に示すことにもなりました。

また、当時深刻な食料不足が続いていたインドで「緑の革命」とよばれる農業改革をおこない「貧困の追放」も目指しました。

しかし、1984年にシク教徒を弾圧したことで反発され、暗殺されました。

現在、彼女の名前を冠した「インディラ・ガンディー賞」、「インディラ・ガンディー空港」にその名を残しています。

アンゲラ・メルケル首相(ドイツ)

旧東ドイツ出身・物理学者でもあったメルケル首相は、2005年から2021年まで、16年の長きに渡りドイツ首相を務めました。首相在任期間5860日はドイツ2番目の長さです。

彼女がバランス感覚に富み、高い調整力があったことも、この長期政権維持の理由といわれています。

彼女は経済改革により失業率を下げることに成功、EU議長国の首相としては「リスボン条約」を取りまとめるなど、多くの功績を残しました。この条約により、EUの意思決定がより効率的・民主的に行われるようになっています。

「ウクライナ危機」についても、在任中は外交による問題解決を強く望み、ウクライナ和平に積極的に取り組んでいました。現在は政界を引退しています。

女性の政治参画を推進する取り組み

これまでご紹介してきたように、世界では多くの女性首相が活躍していますが、女性首相が誕生する背景には、政治分野における男女共同参画のための取り組みも関係しています。

多くの国で取り入れられている制度としては、「クオータ制」です。これは女性に一定比率の議席、または候補者を割り当てるという制度であり、現在120以上の国や地域で導入されています。

それ以外にも、フランスでは「パリテ法」、韓国やオーストラリアでは女性候補者に対する支援を行うなど、女性参画のための制度があります。

しかし、日本では、直近行われた衆議院選挙において、女性の国会議員比率が9.7%です。この数字が先進国の中でも特に低い割合(OECD加盟国中最下位)であることからも分かる通り、女性の政治進出は遅れています。

そこで日本政府も、2025年までに衆参両議院と統一地方選の候補者に占める女性の割合を35%とする目標を掲げています。

まとめ

本記事では、世界の女性首相について紹介しました。

・現在世界の女性首相は17人。
・過去の女性首相においても、在任中の功績が称えられている人もいる。
・世界では、女性の政治参画のために様々な法律や制度が整えられている国も多い。
・日本でも、政府が政治分野における男女共同参画の推進をしている。

 

<参考・参照>
NHKクローズアップ現代+「アイスランド首相に聞く ジェンダー平等社会へのヒントとは?」
日経woman「アイスランド、議員と市民に聞く「世界一」の秘密」
男女平等が進むアイスランド、世界で初めて男女の賃金格差を法律で禁止に
デンマーク、コロナ規制を全て撤廃 EUで初
デンマーク、ウクライナ外国人部隊への国民参加を容認
JETRO:「電子国家」、デジタル分野などでSDGsに貢献(エストニア)
外務省HP「シェイク・ハシナ・バングラデシュ首相略歴」
同性愛公表のセルビア首相、パートナーが男児出産 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
AFP BB News「セルビア首相に同性愛公表の女性、バルカン諸国初」
 7月19日は「女性大臣の日」!いま世界で輝く、注目すべき15人
BS世界のドキュメンタリー「マーガレット・サッチャー追悼“鉄の女”のメモワールー」
歴史上の人物.com:サッチャーとはどんな人物?簡単に説明【完全版まとめ】
第1章 イギリス
インド家庭料理ラニ
世界史の窓「インディラ・ガンディー」
書籍「5分でわかる!世界の偉人
NHK「メルケル首相 12年の軌跡」
NHK「さようなら、メルケル首相」
文化放送「ドイツ、メルケル首相の引退、そして日本のリーダーに求められるもの」
EU MAG「EUの条約について教えてください」
女性の国会議員(衆議院)比率が9.7%に後退
東洋経済プラス「世界で成果出すクオータ制」(2021年)
内閣府「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組
三重大学「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2021
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