国連大使とは?仕事や立場を解説

国連大使とは?仕事や立場を解説

国際的なニュースを見ていると、「国連大使」の発言が取り上げられていることがあります。

最近ではロシア軍のウクライナ侵攻について、国連総会の緊急特別会合で各国の国連大使が発言しました。

国連大使とはそもそもどのような役職なのでしょうか。その立場や仕事内容の他、日本の国連大使についても解説します。

国連大使とは?

国連大使(Ambassador)とは、正式名称を国際連合常駐代表といい、国連に加盟している国(政府)を代表して国連で外交を担当する外交官のことです。

そもそも国連とはどのような組織なのか、そして国連大使の位置付けや職務について見ていきます。

国際連合とは

国際連合(国連、U.N.)とは、第二次世界大戦後に集団安全保障の考えを元に発足した国際平和機構です。1945年に発足し、日本は1956年に加盟しました。

「国際連合(United Nations)」という名称はアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が提案したものです。

国連は平和の維持と国際協力の推進を目的とする国際組織であり、その主要機関は総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・国際司法裁判所・事務局の6機関です。他にも多様な専門機関や基金があります。

総会とは、国連最高の討議機関です。全加盟国で構成され、それぞれ1票を持ちます。

安全保障理事会は、中国・フランス・ロシア・イギリス・アメリカの常任理事国と、世界各地域から選挙で選ばれる非常任理事国10か国で構成されています。常任理事国は採決で「拒否権」を行使できることが特徴です。

最高経営責任者である事務総長は、元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏が務めています(2022年4月現在)。

国連大使の立場や仕事

国連大使は、国連において加盟国の政府を代表しています。総会など公式な場面での国連大使の発言は、その国の意見を代弁していると捉えられます。

国連大使の主な仕事は、国際会議などに出席し政府を代表して意見を述べる他、食事会やレセプションを開催したり出席したりして、各国の大使らと交流することです。

例えば日本の場合は拉致問題など北朝鮮情勢についての対応を重視しています。そのような自国にとっての優先課題について、国連の対応を有利に進めるための根回し交渉も欠かせません。

また、安全保障理事会の非常任理事国は選挙で決まります。メンバーに選ばれるため、各国と交流するなどの活動も必要です。

日本の国連大使

日本の国連大使は歴代一般的に、外務省官僚(外交官)です。

現在は特命全権大使・国際連合日本政府常駐代表に石兼公博氏、特命全権大使・国際連合日本政府次席常駐代表に大菅岳史氏、国際連合日本政府代表部大使(経済・社会・行財政担当)に木村徹也氏が就いています。

石兼公博大使はどんな人?

常駐代表である石兼公博氏は、1958年生まれの64歳です。(2022年4月現在)

東京大学を卒業後、1981年に外務省に入省し、内閣総理大臣秘書官や外務省アジア大洋州局長、総合外交政策局長などを歴任しました。2019年から国連大使を務めています。

石兼大使らが、世界や日本を取り巻く様々な問題について国際会議などでどのような発言をしているのかは、国連日本政府代表部のHPに「ステートメント」として掲載されています。

ステートメント | 国際連合(国連)日本政府代表部

ウクライナ情勢への発言

2022年2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻した問題に対し、国連総会の緊急特別会合が開かれました。

国連緊急特別総会とは?

総会は毎年約3カ月間、通常総会が開かれますが、その他にも常任理事国の拒否権により安全保障理事会が機能しない場合に緊急特別会合が招集されます。

今回の緊急特別会合は、ロシア軍の即時撤退を求める安全保障理事会の決議案が常任理事国であるロシアの拒否権行使によって否決されたため、40年ぶりの開催となりました。

冒頭でグテーレス事務総長は「ウクライナでの戦闘を今すぐ止めなければならない」などと述べてロシア軍の行動を厳しく批判しています。

各国大使の発言

緊急特別会合では100人以上の国連大使が演説しました。

各国大使の発言を、ニュース記事を参考にいくつか紹介します。

・ウクライナのキスリツァ国連大使「ウクライナが生き残れなければ、国際平和も生き残れない」

・日本の石兼大使「力によって現状を変えようとする一方的な試みは、ヨーロッパと世界の国際秩序の基盤を揺るがすものだ」

・フランスのドリビエール大使「国連憲章を守ることができるかの問題であり、それが国連が存在する理由だ」

・イギリスのウッドワード国連大使「ロシアは正当な理由なくウクライナに侵攻した。人道状況の悪化は計り知れない」

このように、ほとんどの加盟国がロシアを非難しました。

それに対しロシアのネベンジャ国連大使は、批判の内容は「西側諸国のうその誇大宣伝だ」などと反論を述べています。

国連大使らの演説の後に投票が行われ、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求める決議案が193か国のうち141か国の賛成で採択されました。

 

まとめ

・国連大使とは、加盟国政府を代表して国連で外交を担当する

・国際会議で国を代表して発言したり、各国と交渉したりすることが主な仕事

・40年ぶりに開かれた緊急特別会合では多くの国の国連大使がロシアのウクライナ侵攻を批判する演説をした

 

<参考>

『政治・経済用語集 第2版』山川出版社、2019

『2021新政治・経済資料 三訂版』実教出版編修部、2021

国連安全保障理事会(安保理)とは|外務省

現事務総長 | 国連広報センター

国連の ここが知りたい

SDGsで自分を、世界を豊かに!前・国連大使の吉川元偉さんと編集長・指出が語り合いました。 – sotokoto online(ソトコトオンライン)

所沢出身・大菅岳史さん、国連大使に 最優先課題の拉致解決、世界に訴え 常任理事国入りへ努力

ミャンマー国軍、国連総会でクーデター批判の国連大使を解任 「国を裏切った」と – BBCニュース

大使 | 国際連合(国連)日本政府代表部

代表部案内 | 国際連合(国連)日本政府代表部

国連総会の緊急特別会合を開催へ ウクライナ危機めぐり安保理が採択:朝日新聞デジタル(2022年2月28日/承諾番号 22-1547)
朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。

今世紀初の国連緊急特別総会を招集へ…米、露軍即時撤退など求める決議案採決はかる

国連総会の緊急特別会合始まる ロシアを非難する発言相次ぐ | NHK | ウクライナ情勢

国連総会に響いた40秒の拍手 「銃を置け、対話と外交の扉を開け」 [ウクライナ情勢]

「ウクライナの生存なしに国際平和なし」国連、核準備強化非難|毎日新聞

「核戦力の準備強化、ロシアの決定を非難」 国連、緊急会合で決議案 | 毎日新聞

安保理でロシア孤立が鮮明に…露国連大使、各国非難は「西側諸国のウソの誇大宣伝だ」読売新聞オンライン

ウクライナの人道状況改善、国連緊急総会で140か国が賛成し採択 : 国際 : ニュース

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、0歳児と2歳児の母です。
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