国会の本会議と委員会とは?違いを分かりやすく解説

国会の本会議と委員会とは?違いを分かりやすく解説

国会に関するニュースでよく登場する「本会議」と「委員会」という言葉。

これら2つの違いがよく分からないという方は多いのではないでしょうか。

本会議も委員会も国会議員の人たちが集まって話し合いをする場というイメージがありますが、それぞれの役割には明確な違いが存在します。

本会議は最終的な意思決定が行われる場であり、委員会は本会議前の準備の場です。

この記事では、国会の仕組み、および本会議と委員会の違いについて分かりやすく解説します。

国会における本会議と委員会

ここでは、国会の概要と国会における本会議と委員会の役割について解説します。

国会とは

日本は、国の権力を行政権・司法権・立法権の3つに分け、権力の濫用を防ごうとする「三権分立」のシステムをとっています。
行政権は内閣、司法権は裁判所、そして、立法権を担当するのが国会です。

憲法第41条では国会を「国権の最高機関」と定めています。
国会は、主権者である国民から直接選ばれた議員で構成されるという点で、国の機関の中でも最も重要な地位にあるのです。

国会は、衆議院と参議院からなる二院制」を採用しています。
2つの議院で議論を重ねることで、国民の幅広い意見の反映や、慎重な意思決定ができる点などが二院制のメリットです。

国会には次の3種類があります。

  • 常会(通常国会):毎年1月に招集される。会期は150日。
  • 臨時会(臨時国会):常会を補うため臨時に招集される。会期は都度国会で決定。
  • 特別会(特別国会):解散による衆議院の総選挙の日から30日以内に召集される。会期は都度国会で決定。

本会議と委員会の役割

国会では、法律の制定や予算の議決、条約締結の承認などが行われます。
このような国の重要事項を決定するにあたって、衆議院と参議院それぞれで開かれる会議が「本会議」と「委員会」です。

委員会では、議案を本会議にかける前に、審査(論議し、一応の結論を出す過程)が行われます。

本会議では、委員会の審査を終了した議案に関して、審議(説明を聞き、質疑し、討論を重ね、表決する過程)が行われます。

このように「委員会による審査」⇒「本会議による審議」といった流れを踏むことで、効率的な議論が可能になるといえるでしょう。

また、日本の国会では、議案については、本会議よりも委員会でより詳細な議論がなされます。このように、委員会に重点を置く議会運営を「委員会中心主義」といいます。

本会議と委員会の違い

ここでは、本会議と委員会についてそれぞれ詳しく紹介します。

本会議とは

本会議とは、議院に属する議員全員の会議であり、議院の最終的な意思決定がなされます。

本会議で議事を決定するには、出席議員の過半数が賛成しなければなりません。

また、本会議を開くには、総議員の3分の1以上の出席が必要です。
本会議は普通、衆議院では火曜・木曜・金曜の午後1時から、参議院では月曜・水曜・金曜の午前10時から開かれることになっています。

本会議は公開の原則があり、国民に対して公開されなければなりません。

委員会とは

委員会とは、10〜45名程度の国会議員で構成される、議案について本会議前に予備的な審査を行う組織です。

委員会には、常設された「常任委員会」と、必要に応じて設置される「特別委員会」があります。

常任委員会は、衆議院、参議ともに17の委員会があり、一部に名称の差はあれど、ほぼ同様の委員会が置かれています。
議員は任期中に、原則最低1つの常任委員会に所属することになっており(国会法第42条第2項)、2つ以上を掛け持ちしている議員も少なくありません。

特別委員会は、常任委員会の所管に属さない案件特に必要が求められる案件などに対して設置されます。
たとえば、2011年に発生した東日本大震災以降、衆参両議院において「東日本大震災復興特別委員会」が設置されています。

委員会で議事を決定するには、出席委員の過半数が賛成しなければなりません。

また、委員会を開くには、委員の半数以上の出席が必要です。
委員会の定例日は、各委員会によってまちまちです。

委員会には公開の原則はなく、議員以外の傍聴は、報道関係者や委員長の許可を得た人に限られます。

法律制定における本会議と委員会

最後に、法律の制定を例に、法律案が提出されてから成立する過程の中で、本会議と委員会がどのように機能しているかを見ていきましょう。(以下は、衆議院先議のケースです。)

まず、議員または内閣から衆議院の議長へ法律案が提出されます。
つづいて行われるのが、議長から委員会への付託(所管の委員会へ審査を委託すること)です。
その後、付託された委員会で、法律案の審査が行われます。
委員会の審査で可決された法律案は、本会議に上程され審議が行われます。

衆議院の本会議で可決された法律案は、参議院の議長へ送付され、参議院においても委員会への付託、委員会の審査、本会議の審議と衆議院と同様の過程を経ます

そして、参議院の本会議で可決されると法律が成立します。

まとめ

この記事では、国会の本会議と委員会について解説しました。

  • 委員会では、議案を本会議にかける前に、予備的な議論が行われる
  • 本会議では、議案について、議院の最終的な意思決定がなされる
  • 委員長⇒本会議の流れを踏むことで、効率的に議論を進められる

この記事が、国会のニュースを理解するきっかけになれば幸いです。

 

<参考>

参議院 | 国会のひみつをさぐろう!
参議院 | 国会のしくみ
参議院 | 参議院のあらまし 本会議
参議院 | 参議院のあらまし 委員会
参議院 | 法律ができるまで
衆議院 | 本会議の基本原則
衆議院 | 本会議の主な仕事
衆議院 | 委員会の構成
衆議院 | 議案の審査
衆議院 | 法律案審議の流れ(衆議院先議の場合)
imidas | 本会議中心主義/委員会中心主義

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