愛子さまは女性天皇になる?皇位継承問題を解説

愛子さまは女性天皇になる?皇位継承問題を解説

天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが2021年12月、20歳の誕生日を迎えられました。

愛子さまは成年皇族となられましたが、女性であるため、現在の皇位継承順位には含まれていません。

女性が天皇になることには容認論と慎重論の両意見があり、これまで政府でも議論されてきました。

女性天皇や女系天皇、皇位継承問題に関する議論の概要や各政党の意見を解説します。

現在の皇室制度は?

皇室制度は「皇室典範」に定められています。現在の制度はどのようになっているのか、問題点も含めて見ていきます。

「男子」だけの皇位継承資格

皇室典範とは、皇位の継承や皇族の範囲、儀式などが定められている法律です。

皇室典範第1条は「皇位は、皇統に属する男系の男子がこれを継承する」としています。このように現制度では女性天皇は認められておらず、愛子さまが天皇になることはできません。

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

引用元:皇室典範 | e-Gov法令検索

また、「男系」とは父親が皇族であるという意味です。母親が皇族である場合の「女系天皇」も男女いずれであっても皇位継承者に認められていません。

2022年4月時点では、皇位継承資格者は次のようになっています。

・皇位継承順位1位(皇嗣と呼ばれる):天皇陛下の弟である秋篠宮さま

・2位:秋篠宮さまの長男悠仁さま

・3位:上皇さまの弟である常陸宮さま

何が問題になっている?

懸念されているのは、皇位継承者と皇族がいずれも少なくなっていることです。

現在、皇位継承者は戦後最も少なくなっています。さらに、常陸宮さまは80代とご高齢で、天皇陛下より若い皇位継承者は秋篠宮さまと悠仁さまだけとなっています。

また、悠仁さまの世代の皇族は、愛子さまと、秋篠宮さまの次女の佳子さまです。

現制度では女性皇族は結婚によって皇族の身分を離れます。秋篠宮さまの長女眞子さまも、2021年10月に結婚によって皇籍を離脱されました。

悠仁さま以外は女性のため、今後悠仁さまがご結婚され、さらに男子が産まれなければ将来的に皇位継承者がいなくなってしまいます。

皇族の数が減ると、安定して公務を行うことが難しくなる点も問題です。皇族の減少対策としては、女性皇族が結婚後も皇籍に残ることができる「女性宮家」の創設も提案されています。

女性天皇是非への意見は?

皇室典範を改め、女性が天皇になることを容認すべきかどうかでは、多様な意見があります。

安定的な皇位継承や国際潮流から「容認論」

容認派は、安定的に皇位継承者や皇族を確保するために、女性天皇を認めるべきとの意見が主です。

歴代の皇室では、江戸時代後期までさまざまな理由で10代8方の女性天皇が存在しました。歴史的に見ても女性天皇を容認するべきだという考えもあります。

また国際的な潮流を鑑みると、王位継承資格者を男女問わず認めている国が多いとの指摘もありました。例えば、オランダ・スウェーデン・ノルウェー・ベルギーでは、男女を問わず先に産まれた者(年長者)が優先的に王位の継承資格を持ちます。

伝統・血統を重視し慎重論も

主に男子のみが継承してきた皇室の伝統や血統を重んじるべきという立場からは、女性天皇の容認に慎重な姿勢を示しています。

また、女性が天皇になった場合、その子どもは必然的に「女系」となるため、必ず女系天皇の議論となります。そのためそもそも女性天皇を認めるべきでないとの声もあります。

世論では7割が女性天皇容認

国民はどのように考えているのでしょうか。

毎日新聞と埼玉大学が2021〜2022年に行った世論調査では、次のような結果が報道されました。

天皇の皇位継承について「男子がいない場合のみ、女子の継承を認めるべきだ」(41%)と「男女にかかわらず、天皇の第1子の継承を優先すべきだ」(35%)を合わせて回答者の7割超が女性天皇を容認。「男子の継承を維持すべきだ」は10%にとどまった。

引用元:女性天皇、7割超が容認 「女系」も5割 毎日新聞・埼玉大調査

政府や各政党の議論は?

皇位継承者や皇族の減少が懸念される中で、政府はどのような議論をしてきたのでしょうか。また、各政党の立場も調べてみました。

過去に「容認」報告書や女性宮家の検討も

2005年、小泉純一郎政権下で有識者会議が女性天皇・女系天皇を容認し皇位継承を長子優先とする報告書をまとめました。天皇陛下(当時は皇太子)の子どもの代には男子がいなかったため、皇位継承者の問題が切迫している状況でした。

しかし、2006年に悠仁さまが誕生したこともあり、その後具体的な検討はされないままとなります。

民主党(当時)の野田佳彦政権下だった2012年10月、政府が女性宮家創設に関する論点整理を発表しました。しかし直後の衆院選で政権交代が起き、議論は進みませんでした。

現政権下では女性天皇問題に触れず

2022年3月、岸田文雄首相は「安定的な皇位継承策を議論する有識者会議」の報告書を国会に提出しました。

この報告書では皇族の確保策として、女性皇族が結婚後も皇族にとどまることと、旧宮家の男系男子が皇籍に復帰することを制度化する案が挙げられています。しかし、女性天皇や女系天皇の是非については触れられていません。

報告書の内容は、今後国会の各会派や各党で議論されます。

各党の意見は?

与党である自民党内では慎重派と容認派が混在しています。

立憲民主党は、政府の有識者会議が女性天皇に触れていないことを批判し、女性天皇問題についての検討委員会を設置しました。野田佳彦元首相が委員長を務めています。

2019年時点の報道では、国民民主党は男系女子の女性天皇を容認、共産党は女性天皇・女系天皇ともに認めるべきだとの考えです。

まとめ

  • 皇室典範では男系の男子のみが皇位継承者として認められている
  • 現在の皇位継承者は秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまで、戦後最も少ない
  • 皇位継承者や皇族の減少が懸念され、女性天皇を容認すべきとの意見がある
  • 伝統を重視し、女性天皇に慎重な姿勢を示す立場も

 

<参考>
皇室典範 | e-Gov法令検索
新しい皇室の姿|平成から令和へ 新時代の幕開け|NHK NEWS WEB
皇位継承 | 毎日新聞
皇位継承論議、本格検討はコロナ収束後 有識者聴取は継続
NEWSの窓  政治 有識者会議報告書2案 皇位継承、検討になお時間
小室眞子さんの皇籍離脱を皇統譜に登録 26日に結婚
女性宮家に関するトピックス|朝日新聞デジタル
女性天皇・女系天皇を認めなければ皇室は存続できない | | 小宮山洋子 | 毎日新聞「政治プレミア」
「伝統」か「安定」か 国論二分の懸念も 皇位継承の有識者会議 | 毎日新聞
「女性天皇・女系天皇」の議論をなぜ避けるのか~疑問に満ちた有識者会議報告書 – 登 誠一郎|論座 – 朝日新聞社の言論サイト
女系天皇はなぜあれほどまでに否定されるのか……ヒントは「歌舞伎」? | 文春オンライン
皇位継承論議、本格検討はコロナ収束後 有識者聴取は継続
皇族数確保、2案に決定 有識者会議、対象者範囲論点に 安定的な継承議論、政権消極的 | 毎日新聞
岸田首相、皇族確保策を国会に報告 細田衆院議長「時間かけ検討」:時事ドットコム
皇位継承、岸田・高市氏は男系維持 野田氏「女系も選択肢」―河野氏は有識者会議尊重・自民総裁選:時事ドットコム
高市早苗は“皇位継承”をどう考える?「女性天皇には反対しない。女系天皇に反対しています」(文春オンライン) – Yahoo!ニュース
立憲「皇位継承」の検討委 野田佳彦元首相トップに始動
皇位継承議論を封印するな 危機感がない政府の報告書 | | 野田佳彦 | 毎日新聞「政治プレミア」
立民が女系天皇を容認、国民民主は女性天皇案
「女性天皇も女系天皇も認められるべきだ」共産 志位氏 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン










この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、1歳児と3歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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