ニュースなどでよく取り上げられる「内閣官房長官の記者会見」など、わたしたちは「内閣官房」という言葉を耳にする機会が多くあります。「内閣官房」とは、いったいどのような機関なのでしょうか。本記事では、幹部のメンバーや、組織、その役割について、わかりやすく説明していきます。
内閣官房とは
「内閣官房」について紹介する前に、まず「官房」について説明します。
官房とは、
- 国家行政組織法
- 内閣府設置法
- 宮内庁法
- 警察法
- 会計検査院法
などに基づき、府や省庁、行政委員会、会計検査院に置かれている内部部局(府省庁内の本体部分を構成する組織)のひとつで、各部局内の事務を横断的に統合し、調整などを行います。
中でも「内閣官房」は、内閣の補助機関であるとともに、内閣の首長たる内閣総理大臣を直接補佐・支援しています。
業務として、主に内閣の庶務、内閣の重要政策の企画立案・総合調整、情報の収集調査などを担います。
内閣官房の組織
次に、内閣官房の各組織について紹介します。
内閣総務官室
- 閣議が円滑に進むよう内閣総理大臣や内閣官房長官を補佐する組織。
- 「国務大臣」や「認証官(特命全権大使や最高裁判所判事など)」についての人事事務や、国の重要施策に係る会議が開かれる首相官邸の管理運営を行う。
- 内閣の事務部局として、国会との連絡係を担い、内閣から国会に予算や法律案を提出する場合は窓口の役割も果たす。
- 各府省の官房において通常所掌している公印の保管、公文書類の接受・発送、予算・決算・会計に関することも行う。
国家安全保障局
- 2014年より設置された組織。国家安全保障会議に関するサポートをする。
- 国家安全保障に関する外交・防衛政策の基本方針・重要事項に関する企画立案・総合調整に専従。
内閣広報室
- さまざまなメディアを活用し、広報活動を実施する組織。
内閣情報調査室
- 内閣の重要政策に関する情報の収集と分析、特定秘密の保護に関する事務を担当する組織。
- 内閣情報官のもとで、次長及び総務部門・国内部門・国際部門・経済部門・内閣情報集約センター・内閣衛星情報センターで業務を分担し、処理している。
内閣衛星情報センター
- 内閣情報調査室の組織の1つ。
- 人工衛星や情報収集衛星を用いて、国の安全や大規模災害などに関する情報・画像を集めて調査・分析する。
内閣サイバーセキュリティセンター
- 2015年1月に設置された新しい組織。
- 行政機関の情報システムに対する不正なアクセスや、サイバー攻撃の調査分析をする。
内閣人事局
- 国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織。
- 人事管理に関連する制度の企画立案、方針決定、運用を一体的に担う(個別の人事は各省庁、各組織で担当)。
内閣官房の幹部
内閣官房における幹部について紹介します。
内閣総理大臣
- 内閣の首長。内閣官房においては、補佐・支援される立場。
内閣官房長官
- 内閣官房の事務を統括、国の重要な制作を実行していくために、複数の省庁・組織の話し合いをまとめる役割を担当。
- 記者会見を開き、重要な閣議決定の内容発表や、政治記者からの質問にも答える。
- 「内閣の要」とも呼ばれている。
内閣官房副長官
- 内閣官房長官を補佐し、不在時には職務代行を担当。
- 内閣総理大臣を直接補佐する内閣官房の事務も担う。
- 天皇により任命される。
内閣危機管理監
- 大きな災害やテロなどの緊急事態が発生した際、総理大臣官邸情報を集めて関係省の指揮をとる。
国家安全保障局長
- 国家安全保障局の長として、中長期的な外交・安全保障政策の立案や、政策提言、各省庁の統合調整などを担当。
内閣官房副長官補
- 内閣官房に3人置かれており、内閣の重要政策等に関する企画立案・総合調整を担当。
内閣広報官
- 内閣の重要政策の企画立案や、総合調整に必要な広報に関するものを扱う。
内閣情報官
- 内閣情報調査室の長で、政府の情報収集活動統括担当。
内閣総理大臣補佐官
- 2022年5月現在、以下5人の担当補佐官がいる。
- 国際人権問題担当
- 国内経済その他特命事項担当
- 国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当
- 女性活躍担当
- 国土強靱化及び復興等の社会資本整備並びに科学技術イノベーション政策その他特命事項担当
- 各補佐官は、その担当分野の視点で考えを述べる。
- 最大5人まで置くことが可能。
「内閣官房」と「内閣府」の違い
内閣官房と同じ敷地内にあり、名前の似た組織に「内閣府」があります。
内閣府は「総理府」「沖縄開発庁」「経済企画庁」が統合し、2001年より設置された行政機関です。行政事務を分担管理している各省より一段高い立場に立ち、国の重要な政策について企画立案や、総合調整等を実施しています。
内閣官房との違いとして、内閣官房が国の重要な政策について「基本的な方針や企画立案」を扱うのに対し、内閣府は内閣官房の方針を踏まえ、「より具体的な企画立案や、各省庁との細かな調整等をする」といったことが挙げられます。
まとめ
- 内閣官房は、首相を支え、補佐する組織。
- 内閣官房の業務は、内閣の庶務、国の重要政策の企画立案・総合調整、情報の収集調査や事務など、重要かつ多岐にわたる。
- 内閣官房は国の重要施策の「基本的方針や企画立案」を扱う。それに対し内閣府は、その内閣官房の方針を踏まえ「具体的な企画の立案や、各省庁との調整」をするといった違いがある。
<参考>
政治ドットコム「内閣官房とは?首相を直接補佐する組織について簡単解説」
ファイナンシャルフィールドHP「キャリア官僚のトップ内閣官房副長官の年収はどのくらい?」
ファイナンシャルフィールドHP「国家安全保障局長の年収って? 日本の外交安全保障政策の調整を担う仕事について」
政治ドットコム「内閣官房とは?首相を直接補佐する組織について簡単解説」