無党派層の支持を獲得するには?浮動票の仕組みを解説

無党派層の支持を獲得するには?浮動票の仕組みを解説

選挙ごとに投票する政党や候補者が異なる、無党派層の票を「浮動票」と呼びます。

浮動票が増加したり減少したりするのは、それぞれどのような場合なのでしょうか。また、候補者や政党にとってどのような影響があるのでしょうか。

浮動票の仕組みや投票率の関係、選挙で浮動票を獲得する方法について、わかりやすく説明します。

浮動票とは?固定票・組織票も

浮動票とは、選挙で支持する特定の政党や候補者を持たず、選挙時の社会情勢や気分、選挙運動の状況によって投票先が変わる「無党派層」の持つ票のことです。

対照的に、いつでも特定の政党・候補者に投票する有権者の票を「固定票」と呼びます。

例えば、「選挙では長年決まって自民党に投票している」という人の票が固定票です。一方で、「前回は自民党に入れたけど、今回の選挙運動を見ていると、立憲民主党の政策を支持したい」という、支持政党が定まっていない有権者もいます。これらの無党派層の票が浮動票です。

また、業界団体や企業、労働組合などが組織的に票を取りまとめ、特定の候補者に投じる票は「組織票」と呼ばれています。

選挙運動では、過去の選挙の実績などから、固定票や組織票をどれくらい獲得できるかをある程度推測できます。これが「票読み」です。

一方で浮動票は社会情勢や投票率に左右されるため、どれくらい得られるかが読みにくいと言われています。

浮動票と投票率・与野党との関係

浮動票はどのような時に増えるのでしょうか。また、浮動票の増減によって与党・野党の攻勢に何か影響はあるのでしょうか。

投票率上昇で浮動票が増える?

一般的に「投票率が上がると浮動票が増える」と言われています。

投票率は、選挙ごとの注目度や経済・社会情勢・天候によって変化してきました。例えば、投票日が雨や雪の場合は外出する人が減り、投票率が下がるとも指摘されます。

特定の政党や候補者を強く支持している人は、選挙の注目度や天候に関わらず投票に行く傾向があります。つまり、状況次第で投票に行ったり行かなかったりし、支持政党が定まっていない無党派層を多く含む有権者が、投票率の増減分です。そのため、投票率が上昇すると浮動票が増えると考えられています。

浮動票は与党に不利?

「浮動票が増えると与党(自民党)が不利になる」とも言われることがあります。

自民党は伝統的に候補者の後援会などが組織票を取りまとめ、固定票を確保してきた背景がその理由です。

他の政党に投票する可能性のある浮動票が増えると、相対的に自民党の固定票の割合が低くなり、不利になります。

自民党の森喜朗元総理が2000年の衆議院議員総選挙の際、無党派層は「寝ていてくれればいいのだが」と述べて問題になりました。この発言の背景には、浮動票が増えると自民党に不利になるという考えがあります。

また、自民党が民主党(当時)に大敗し政権交代が起きた2009年の衆院選は投票率が69%で、小選挙区制導入後の衆院選で最も高くなりました。投票率を押し上げた無党派層の票が民主党に流れたことで、政権交代に繋がった可能性があるとの分析があります。

しかし近年、自民党の固定票の割合は減少傾向にあり、浮動票の獲得が重要視されています。

浮動票を獲得したい!選挙戦略は?

選挙に立候補するとき、浮動票の獲得は当落を左右しかねません。特に、組織票など固定票を持たない候補者にとっては、無党派層の支持を得られるかどうかが重要です。

浮動票を得るために、どのような選挙戦略が必要なのでしょうか。いわゆる「地上戦」やSNS戦略など、具体的な方法は選挙の種類や選挙区の特徴によって異なります。

選挙区を足で回る「地上戦」に注力

無党派層の有権者は、誰に投票するか投票直前まではっきりと決めていない場合も多くあります。そのような有権者にとって「会ったことがある」「会話を交わしたことがある」という記憶の有無が、投票先を左右することも少なくありません。街頭演説や個々面接など、選挙区を足で回る「地上戦」に注力することが重要です。

市区町村議会選挙や衆議院選挙の小選挙区など、選挙区のエリアが比較的狭い選挙や、高齢者の人口比率が高い地域などでは、特に効果的だと考えられます。

SNSで幅広く発信

しかし選挙の種類によっては選挙区が広く、全てを回ることは難しい場合もあります。さらに昨今は新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念され、選挙運動が制限されてしまう状況です。人が集まり「密」になる活動や、握手をすることも難しくなっています。

そんな中では、YouTubeやTwitterなどのSNSを使い、有権者に幅広く発信することも効果的です。無党派層を多く含む若者世代にとってSNSは身近な存在のため、戦略を立てて発信することで、目に触れる機会も増えるでしょう。特に、スマホ利用者やSNSユーザーが非常に多い都市部などでは欠かせない選挙戦略です。

まとめ

  • 浮動票とは、選挙ごとに投票先が変わる無党派層の持つ票。固定票や組織票と対照的で、票読みが難しい。
  • 一般的に、投票率が上がると浮動票が増え、浮動票が増えると与党が不利になると言われている。
  • 浮動票を獲得するためには、有権者と直に接する「地上戦」やSNSの活用など、選挙の種類や選挙区に合わせた選挙戦略が重要。

 

<参考>

浮動票とは – コトバンク
組織票とは – コトバンク
晴れれば衆院選の投票率アップ? 天気と選挙、微妙な関係 31日の予報は…
無党派層、比例の投票先は立憲が最多 「まだ決めていない」39% 
投票率の低迷は自民有利の傾向 獲得票数は大敗した2009年と同程度
安倍政権を再検証「画期的だった若者重視」の裏側 | 国内政治
問題発言集 写真特集:時事ドットコム
三浦博史『地方選挙実践マニュアル-第2次改訂版-』第一法規、2018
長崎知事選 新人、組織よりSNS 541票差 コロナ閉塞、投票率上昇 | 毎日新聞
SNS 無党派に響いた? 衆院選候補者活用、静大生土屋さん分析|あなたの静岡新聞
ネット選挙「決戦の土日」 無党派の閲覧急増

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、0歳児と2歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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