投票に行かないと罰金?義務投票制について分かりやすく解説

投票に行かないと罰金?義務投票制について分かりやすく解説

日本では選挙の際、投票に行くかどうかは有権者の意思に任されています。
したがって、投票に行かなかったとしても罰則はありません。

一方世界には、有権者に対して投票を義務付ける「義務投票制」を導入している国があることをご存じでしょうか?

投票を義務化している国では、投票に行かなかった人に対して、罰金などの罰則が設けられていることがあります。

この記事では、義務投票制を取り入れている国や具体的な罰則を紹介し、義務投票制のメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

義務投票制とは

義務投票制とは、有権者に対して選挙における投票を義務付ける制度です。

対して日本のように、投票するか否かは有権者個人の意思に任されている制度を「任意投票制」といいます。

義務投票制を取り入れている国では、憲法や選挙法で投票を義務化しています。加えて、投票しなかった有権者に対して罰金などの罰則が定められていることもあるでしょう。

そのため義務投票制のもとでは、任意投票制よりも投票率が高くなる傾向にあるのです。

投票を義務化している国と罰則

ここでは、国政選挙レベルで義務投票制を取り入れている国と、投票義務違反に対する罰則を紹介します。

 

国名

投票義務違反に対する罰則

オーストラリア

罰金

ベルギー

罰金・選挙権制限

ブラジル

罰金

ギリシャ

1ヶ月以上・1年以下の禁錮等

シンガポール

選挙人名簿からの抹消

イタリア

罰則なし

メキシコ

罰則なし

 

表のように、国によって投票義務違反時の罰則の有無や内容は異なります。

たとえばオーストラリアは、義務投票制を最初に導入したことで有名です。

オーストラリアでは、正当な理由なく投票に行かなかった場合、20〜50豪ドル(日本円で約2,000円〜5,000円)の罰金が科せられます。

もともと50%台の投票率だったオーストラリアですが、義務投票制導入後は90%台の投票率を維持しています。

シンガポールでは、投票を棄権すると、氏名を選挙人名簿から抹消される罰則が設けられています。

棄権が正当な理由と認められるか、50シンガポールドル(日本円で約5,000円)を支払えば、選挙人名簿への再登録が可能です。

また、イタリアやメキシコのように、投票は義務化されているものの、特に罰則は設けられていない国もあります。

投票を義務化するメリット

ここでは、投票を義務化するメリットを紹介します。

選挙結果の正当性・公平性向上

投票を義務化すると、投票率は高くなるのが一般的です。

多くの有権者が投票に関与することは、選挙結果の正当性を向上させます。

また、年代の偏りや特定の組織票の重みが軽減されるため、公平性の向上も期待できるでしょう。

政治に対する関心の向上

これまで政治に関心を持たなかった有権者も、投票をきっかけに政治について調べ、主体的に考えることが予想されます。

主体的な行動は、有権者に当事者意識を芽生えさせ、政治に対する関心を向上させることにつながります。

政治的キャンペーンの費用削減

選挙の際、有権者を投票に行かせるために、多額の広告費を使った大規模なキャンペーンが打たれることがあります。

投票義務化が実現した場合、このようなキャンペーンに発生していたコストの削減が見込まれます

投票を義務化するデメリット

ここでは、投票を義務化することによるデメリットを見ていきましょう。

自由権の侵害

投票の義務化は、基本的人権の1つである自由権の侵害にあたるといった考え方があります。

たとえば、日本では憲法で言論や思想に関する自由が保障されています。

義務投票制は、これらの自由を制限することにつながるため、導入は慎重に議論すべきといえるでしょう。

ポピュリズムの助長

義務投票制のもとでは、政治や政策に十分な知識がない人々も投票することが求められます。

その結果、政策の中身を十分に吟味せずに、政治家の人気などに基づいた投票が増加することが考えられます。

このような選挙は、ポピュリズムを助長させ、本当に必要な政策が実行されないといった事態を招くことにつながりかねません

運用コストの増加

投票義務違反に対する罰則を定めている場合、有権者の中から違反者を特定し、実際に罰金を徴収する必要があります。

しかし、このような一連の手続きの執行には、大きなコストを必要とします。

まとめ

この記事では、義務投票制を取り上げ、そのメリットやデメリットを解説しました。

  • 義務投票制とは、有権者に対して、選挙における投票を義務付ける制度
  • 選挙の正当性向上や政治関心の向上、政治的キャンペーン費用削減がメリット
  • 自由の侵害やポピュリズムの助長、運用コストの増加がデメリット

この記事が、投票義務化について理解し、義務投票制導入の是非について考えるきっかけになれば幸いです。

 

<参考>
読売新聞オンライン | 国政選挙での投票を義務化すべきか
The HEADLINE | 強制投票は実現可能か、それは”良いもの”か?
選挙ドットコム | 投票しないと罰金!投票率93%を誇るオーストラリアの選挙事情
文部科学省 | 主な投票義務制採用国

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