「選挙で投票して、何か変わるのだろうか。自分の一票くらい無くても、何も変わらないのでは?」
このように感じたことのある方、多いのではないでしょうか。
しかし、得票数が同じだった場合にはくじ引きで当選人が決定し、実際にそのようにして決着がついた選挙が複数ある、ということをご存じですか?
実例を交えて解説します!
1.開票の結果同じ得票数だった場合
開票の結果、得票数が同じ候補者が2名以上いた場合には、公職選挙法の規定により、くじ引きで当選者を決定します。
公職選挙法 第95条第2項
当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定める
「選挙長がくじで定める」とありますが、実務上は、得票数の同じ候補者同士がそれぞれくじを引くケースも存在するようです。
2.同じ得票数だった過去の選挙
「同じ得票数になることは実際に起こり得るの?」と思いますよね。
地方選挙での事例になりますが、直近の10年ほどで確認できただけでも、以下の通り複数の事例が存在しています。
2021年 | 千葉旭市議選 | 最後の1議席を争った2名の得票数が同数に。選挙長がくじ引きを実施。 |
2019年 | 神奈川県相模原市議選 | 最後の1議席を争った2名の得票数が同数に。該当の候補者同士でくじ引きが行われた。 |
2019年 | 埼玉県狭山市議選 | 最後の1議席を争った2名の得票数が同数に。該当の候補者同士でくじ引きが行われた。 |
2018年 | 佐賀県有田町議選 | 16番目の議席を巡り、2名の得票数が同数に。該当の候補者同士でくじ引きが行われた。 |
2017年 | 島根県飯南町議選 | 定数10のうち第9位の得票数が同数で3名が並んだため、補者同士でくじ引きを実施。2名が当選、1名が落選。 |
2010年 | 青森県大鰐町長選 | 2名の得票数が同数に。選挙長がくじ引きを実施。 |
くじ引きにより当選が決定した候補者は、一様に「落選した方の分まで頑張らなくてはいけない」という思いを一層強くするようです。自身の一票の重みを、しみじみと実感しますね。
3. まとめ
- 開票の結果、候補者が同じ得票数を獲得した場合には、公職選挙法の規定により、くじ引きで当選者が決定する
- 実際にくじ引きで当落が決定した地方選挙が複数存在する
<参考>
四日市市広報|令和2年10月上旬号|得票数が同数の場合はどうなる?
NHK政治マガジン|最後の1議席はくじ引きで 千葉 旭市議会議員選挙
朝日新聞|得票同数、運命のくじ引き 当選者号泣「1票が重い」 [2019統一地方選挙]
東京新聞|狭山市議選 最後の議席はくじ引き:統一地方選2019
佐賀新聞|<有田町議選>くじ引きで最下位当選 新人が当選 | 行政・社会 | 佐賀新聞ニュース
中国新聞|島根県飯南町議選、新町議10人決まる【2017年7月23日】