党首討論とは？概要や2022年参院選前の討論内容をわかりやすく解説

与野党の党首が集まり、政策や社会の重要なテーマについて議論することを党首討論といいます。

党首討論には、国会で行われるものと、選挙期間中にメディアを通じて行われるものがあることをご存じでしょうか？

この記事ではふたつの党首討論について、直近の例を示しながら分かりやすく解説します。

国会で行われる党首討論

ここでは、国会で行われる党首討論について解説します。

衆参両院に設けられた国家基本政策委員会の合同審査会で、首相と野党党首が、政策や社会の重要テーマについて議論することを「党首討論」といいます。

党首討論は、政治家間での討論を活発にし、官僚主導の政治を打破しようという目的のもと1998年から導入の議論が始まりました。

その後、1999年の第146回臨時国会で、衆参予算委員会の合同審査会という形で試験的に実施され、2000年の第147回通常国会から本格的に導入されました。

なお、党首討論のモデルとなったのは、イギリス議会のクエスチョンタイム（QT）です。

党首討論は、国会会期中、週1回45分間（導入当初は40分）、水曜日午後3時から開会することを原則としています。（ただし首相が本会議や予算委員会などに出席する週は行わない。）

また、首相と討論できる野党は、衆議院または参議院で10人以上の議員が所属していることが条件です。

直近の党首討論は、第204回通常国会において、令和3年6月9日に開催されました。

参加者は、当時の菅義偉首相と立民・維新・国民・共産の野党4党の代表です。

新型コロナウイルス感染症対策の補正予算や緊急事態宣言の解除基準、東京オリンピック・パラリンピックの開催に関する話し合いがされました。

近年、党首討論の開会回数は減少傾向にあり、形骸化が指摘されています。

たとえば、導入当初の平成12年には計8回開かれましたが、平成29 年と令和2年は1度も開かれませんでした。

また、1回あたりの討論の時間は45分と短いため、議論が深まりづらいという課題もあります。

今後党首討論を活性化させていくためには、上記のような課題について検討していくことが必要です。

ここでは、選挙期間中に行われる党首討論について解説します。

選挙期間中に、主要政党の党首がテレビやインターネット番組などで討論することも党首討論（または党首討論会）と呼ばれます。

国会で行われる党首討論とは異なり、開催タイミングや討論時間などに関する厳密なルールはありません。

2022年の参院選に向け、6月21日、日本記者クラブ主催の党首討論が行われました。

与野党9党の党首らが参加し、フリップにそれぞれ以下の主張を記載したうえで、議論を交わしました。

自民党	岸田首相	日本を守り、未来を創る
公明党	山口代表	日本を、前へ。
立憲民主党	泉代表	物価高対策として、年金追加給付、小麦価格引き下げ、消費税率の引き下げ
維新の会	松井代表	持続可能な日本を創る　改革と成長
共産党	志位委員長	戦争させない　暮らしに希望を
国民民主党	玉木代表	給料を上げる（積極財政に転換）
れいわ新選組	山本代表	消費税廃止！！！
社民党	福島党首	がんこに平和！くらしが1番！
NHK党	立花党首	年金生活者のNHK受信料無料！

議論の中心となったのは、物価高対策としての金融政策の舵取りや消費税税率の引き下げについてです。

消費税率引き下げに否定的で、食料品やエネルギーの価格高騰へ注力することを主張した与党に対し、野党側は、消費税率の引き下げや現金給付といった政策の必要性を訴えました。

また、ロシア・ウクライナ戦争を受け、日本の安全保障制度のあり方や防衛費の議論もなされました。

自民党や日本維新の会が憲法改正に意欲的な発言をした一方、立憲民主党や共産党、社民党などは慎重な姿勢を示し、議論は平行線をたどりました。

この記事では、党首討論について詳しく解説しました。

この記事が、党首討論について理解し、政治や選挙に興味を持つきっかけになれば幸いです。