参議院議員選挙などが近づくと、街中に貼られた選挙ポスターが目につきます。
選挙ポスターは候補者の顔や名前、政党が一目でわかるように、公職選挙法の規定に従って制作・設置されたものです。しかし、ポスターに落書きをしたり破ったりするなど、いたずらをする人がいて問題になっています。
選挙ポスターへのいたずらは、公選法違反に該当する行為です。最悪の場合逮捕されてしまうケースもあり、有罪になると罰金刑などを科されることもあります。
今回は、選挙ポスターにいたずらした場合の罪状である公職選挙法違反の詳細や、実際の逮捕事例を調べました。また、いたずらされたポスターを誰が張り替えるのかという疑問についても触れています。
ポスターにいたずらしたらどうなる?
選挙ポスターに落書きなどのいたずらをすると、選挙のルールを定めた公職選挙法違反の罪に問われます。具体的にはどのような行為が罪となり、有罪になるとどうなるのでしょうか。
公選法違反で罰金刑なども
公選法225条(選挙の自由妨害罪)では、「次の行為をした者は、4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する」とされています。
「次の行為」のうちの1つ、225条の2では、以下のように記されています。
交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀き棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
(引用元:公職選挙法)
選挙ポスターへのいたずらは「文書図画を毀棄(壊したり破いたりすること)して選挙の自由を妨害した」に当たるとして捜査機関に逮捕される可能性もある犯罪行為です。新聞記事やニュースでは、「公選法違反(自由妨害)」と表記されることもあります。
実際の逮捕事例(2022年参院選)
2022年参議院選挙の選挙期間中にも、選挙ポスターにいたずらをした疑いで逮捕された事例が複数報道されています。(事件概要は2022年7月時点)
落書き疑いなどで現行犯逮捕
名古屋市守山区では、参院選候補者のポスター12枚にスプレーで「ワクチン」などと書いたとして、公選法違反容疑で職業不詳の女が逮捕されました。
また東京都練馬区では、候補者ポスターの顔部分に靴を押し付けて泥を塗った疑いで、職業不詳の男が逮捕されています。
剥がした疑いで現行犯逮捕
落書きではありませんが、神戸市長田区では公営掲示場のポスター1枚を剥がしたとして、公選法違反容疑で無職の男が逮捕されました。
貼り替えや対応は?Twitterでも問題視
TwitterなどのSNSで、選挙ポスターにいたずらされた様子が投稿され話題になることがあります。
候補者や支援者が、選挙ポスターにいたずらをされた旨を報告しているケースもあります。投稿によると「スタッフが貼り替えている」「選挙管理委員会や警察に被害を届け出た」などと記されており、対応に当たっているようです。ポスターへのいたずら行為は犯罪にあたること、同様のことをしないように呼びかけています。
まとめ
- 選挙ポスターに落書きをしたり破ったりするのは公職選挙法違反罪(選挙の自由妨害)に当たる犯罪行為
- 有罪になると、懲役・禁錮・罰金などの刑を科される可能性も
- 2022年参議院選挙でも逮捕事例が複数ある
- いたずらされたポスターは支援者やスタッフなどが貼り替えている
<参考>
公職選挙法 | e-Gov法令検索
弁護士法人中村国際刑事法律事務所|刑事弁護コラム
選挙ポスター落書き疑いで女を逮捕 愛知 – 産経ニュース
選挙ポスターの「顔」に泥を塗った疑い 候補者写真に靴底押しつけか
選挙ポスターはがした疑い、神戸 公示後で全国初、公選法違反摘発:東京新聞 TOKYO Web
Twitter|わたなべ友貴@杉並区議会議員(自民党)
Twitter|大田京子/国民民主党 参議院福岡県選挙区 候補者
Twitter|加藤たいき (世田谷区議会議員)