支持率低迷の菅内閣、衆議院解散・総選挙は今秋に実施か

支持率低迷の菅内閣、衆議院解散・総選挙は今秋に実施か

現在の衆議院議員の任期が2021年10月21日に満了になるにともない、衆議院の解散と総選挙が今秋に実施される見通しとなりました。

菅首相のもとで行われる選挙は、いつ頃、どのような内容になると考えられるでしょうか。

内閣支持率低下に繋がった3つの理由

まずは、衆議院解散・総選挙の日程決めに密接に関わる「内閣支持率」について見てみましょう。

菅内閣の支持率は、発足当時は74%と歴代3位の高さでスタートしました。

そんな好スタートを切った菅内閣が、発足から1年も経たず、支持率3割を下回る「危険水域」にまでなったのは、主に以下の3点が理由といわれています。

緊急事態宣言の発令の遅れ

昨年12月に野党から緊急事態宣言発令を求める声が上がり、12月14日には、1日の国内新規感染者数が1,681人を超えましたが、菅総理は緊急事態宣言の発令に否定的な考えを示しました。

その後12月31日には国内新規感染者数が4,000人を超え、東京だけでも1,300人を超えるなど感染拡大が止まらないことから、年明け2021年の1月2日に1都3県の知事が政府に緊急事態宣言の発令を要請、その要請を受け、1月4日に菅首相から1都3県への緊急事態宣言検討を表明したのです。

その2日後の1月6日には、国内新規感染者数が5,000人を超えたため、翌日の7日、ようやく菅首相は1都3県への緊急事態宣言再発令を決定しました(期間は1月8日から2月7日まで)。

2020年末から2021年の初頭にかけての感染拡大の一因に、この緊急事態宣言の発令の遅れを指摘する声は多く、支持率低下に繋がったといわれています。

しかし、国内消費が低迷する中で緊急事態宣言を発令することは、経済損失につながります。

経済への影響を最小限にするために、ぎりぎりまで発令をしなかった姿勢を評価する声も与党内や経済界から挙がっていました。

新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れ

先進国の中で、日本は新型コロナウイルスのワクチン接種スピードが大幅に遅れているとされています。

これは、ワクチン接種について「市区町村が主体となって行う」と政府が決めたことが原因とされています。

国民のワクチン接種の記録などを一元管理をするシステムもなく、各自治体が手探りで進めている現状のため、接種の進め方や予約の取り方など現場で混乱が起きている実態があります。

国による自治体へのワクチン配布方法にも不満の声があがっています。

政府は原則として、全国の都道府県に平等にワクチンを配布するとの方針を決めましたが、感染状況は地域によって異なる中、感染リスクの高い地域を優先すべきだったのではという意見が専門家からも寄せられました。

また、ワクチン接種を行う医師や看護師も不足していますが、国からワクチンが「いつ」「どのくらい」届くのかも不明確な状況では、安易に人員を増やすことはできません。

これらの課題もすべて「国が自治体に丸投げしている」と批判を浴びています。

コロナ禍での東京オリンピック・パラリンピックの開催問題

コロナ禍で開催された東京オリンピック・パラリンピックについてにも、多くの専門家から中止すべきとの声があがっていました。

開催前のNHKの世論調査では、東京オリンピック・パラリンピック開催については過去3回とも「中止」を望む声が多く、開催中止を求めるオンライン署名は45万人超え。

毎日新聞社が6月26日に実施したインターネット調査でも、東京オリンピック・パラリンピックをこのまま開催することに「反対」とした回答が58%になり「賛成」の30%を大きく上回ったのです。

また東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、海外からの関係者が数万人来日することについても、医療関係者や専門家から疑問視する声が多くあがっていました。

しかしながら、そうした意見を無視しての強行開催となったことも、内閣の批判につながりました。

以上の3点が、菅内閣支持率低下の大きな理由と考えられています。

5月時点では東京都議会議員選挙との同日選挙の予定だった

今年の5月に各新聞社が実施した全国世論調査では、菅内閣の支持率が軒並み30%台を記録、不支持率も50%近くまで上昇し、政権維持が困難になる「危険水域」に突入したことが判明。政府与党も危機感を強めました。

そのため、2021年5月時点では、早ければ7月4日投開票の東京都議会議員選挙との同日選挙になるのではないかと言われていました。

これは、傷口が広がらないうちに早期の解散総選挙に打って出た方が得策だとの声が与党内から多く挙がっていたこと、そして衆議院解散を単独で行うより、都議選との同日選挙の方が勝算はあるとの意見が、東京都議会自由民主党議員から挙がっていたためです。

しかし、その後に7月4日同日選挙の話はなくなったため、今度は東京オリンピック・パラリンピック終了後に衆議院解散・総選挙を打ち出すのではといわれています。

衆院解散総選挙は9月5日から30日の間?

このタイミングで衆議院解散・総選挙を打ち出すといわれているのはなぜでしょうか。

それは、冒頭でもお伝えしたとおり、過去の衆議院解散総選挙のタイミングが、いずれも当時の「内閣支持率」と連動しているためです。

選挙前の内閣支持率はその後の選挙の結果にも大きく影響します。歴代の内閣で、支持率が「危険水域」のまま総選挙に臨み、惨敗にならなかったケースはなく、与野党の国会での駆け引きの材料にもなっています。

パラリンピックの閉幕が9月5日となると、東京オリンピック・パラリンピックの観戦・視聴をした多くの国民が、その高揚感から「東京オリンピック・パラリンピックの開催を評価する」との考えに変わり、そこから一時的に支持率が上がる可能性があります。

そうなると、大幅な議席減は防げるだろうとの思惑があるからです。

9月30日には自民党総裁としての任期が終わることもあり、パラリンピック閉幕の9月5日から自民党総裁としての任期が終わる9月30日までの間に、解散総選挙を行うとの見方が有力視されています。

 

<参考>
【国内感染】コロナ 14日 47人死亡 1681人感染(午後8時半)
【国内感染】新型コロナ 過去最多4520人感染確認(31日)
【国内感染】新型コロナ 38人死亡 5307人感染確認 (6日18時)
東京五輪中止を求める45万人の署名を提出「感染の危険性増す」 | 毎日新聞
オリパラの開催「反対」58% 「賛成」30% 東京都議選調査 | 毎日新聞
最終閲覧日は記事更新日と同日

タイトルとURLをコピーしました