議員定数削減のメリット・デメリット！過去の公約や「○増○減」との関係についても解説

選挙の公約で「国会議員の定数削減」が掲げられるケースがあります。

「国会議員の定数削減」には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

過去の選挙で公約として掲げられた事例や、時折耳にする「〇増〇減」との関係についても解説します。

国会議員の定数・定数削減とは

国会議員の定数、すなわち議員の数は、公職選挙法で定められています。令和5年1月現在、衆議院は465名、参議院は248名です。

この定数を変更する際には、公職選挙法を改正する必要があります。定数変更の中でも人数を減らす際に、「定数削減」と表現されます。

会社における人員削減と同じで、議員定数削減にも、プラス面とマイナス面があります。

景気が停滞し、失業率の増加や賃金の横ばい・減少が続く環境下においては特に、議員定数削減の気運が高まります。

「一般人が苦労しているのだから国会議員も身を削れ」といった鬱憤が噴出する形です。

国会議員の給料である歳費は税金から捻出されているので、議員が削減されれば、税金の削減に繋がります。少ない人数で良質な議会運営ができるならば、そのほうが望ましいですね。

しかし、現実問題として可能なのか、人数を減らしても国会の質の低下にはつながらないのか、といった視点は必要かもしれません。

税金を削減できても、肝心の政治運営に支障が出てしまっては、本末転倒といえます。

また、衆議院の小選挙区や参議院の選挙区選出の議員については、「一票の格差」問題との関係を考慮する必要もありそうです。
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過去、国会議員の定数削減が公約に掲げられた例は複数存在します。

例えば、2021年に行われた直近の衆院選では、日本維新の会が「議員報酬及び定数の3割削減」を公約として掲げています。

また、2010年の参院選では、自民党が「13年までに衆参722人の総定数を650人に、16年までに500人にする」と掲げました。

公約として明記されていませんが、与野党間の「約束」として話題になったこともありました。

2012年、当時の野党であった自民党の安倍晋三総裁と、与党であった民主党の野田佳彦首相との「約束」です。

両者が定数削減と選挙制度の見直しに合意し、結果として同年に衆院解散が行われたとされています。

本件については、野田氏側が解散という「約束」を守ったにも関わらず、安倍氏側が定数削減と選挙制度の見直しという「約束」を守っていないとして、指摘の声も上がっています。

自民党の野田聖子議員も、「（自民党が）与党に戻るために約束したことを忘れたのか、忘れたふりをしている」と述べています。

「定数」に関連して「○増○減」というワードも耳にしますが、これは必ずしも議員定数の削減を意味するものではありません。

「○増○減」とは「各選挙区における定数（当該選挙区から選出される議員数）の累計が○だけ増え、○だけ減った」ことを示します。

減少数が増加数を上回れば、それは議員定数の削減を意味します。

しかし、減少数と増加数が同じであれば、議員の全体数は不変のまま、単に選挙区間で選出される議員の人数を調整したということになります。逆に増加数が減少数を上回れば、議員定数の増加を意味します。

国会議員の定数は公職選挙法で定められている。令和5年1月現在、衆議院は465名、参議院は248名
議員定数削減が政党の公約に掲げられるケースもあるが、現実問題として可能なのか、国会の質の低下には繋がらないか、といった視点は必要
「定数」に関連して、「○増○減」というワードも耳にするが、これは必ずしも議員定数の削減を意味しない（減少数が増加数を上回った場合のみ、議員定数の削減を意味する）