「マニフェストとはどんなもの?」
第49回衆議院議員総選挙が2021年10月31日に控え、各政党、候補者の士気は日に日に高まっています。この記事では、各党の選挙公約の内容などを、一覧にしてわかりやすく解説します。あなたの清き一票を託す前に、せひご覧ください。
第49回衆議院議員総選挙-各党の選挙公約の要点
衆議院は10月14日に解散され、2021年の第49回衆議院議員総選挙は、10月19日(火)公示、10月31日(日)投票が確定しました。
これに合わせて、各党の選挙公約も出そろいましたので、要点をまとめておきます。
政党によってまとめ方が違いますが、分かりやすく整理していますので、ぜひ投票時の参考にしてください。
自由民主党
10月12日発表された自民党の政権公約では、岸田総理大臣が総裁選挙で訴えた「新しい資本主義」実現に向けた政策が軸になっています。
特に以下の8つの分野を重点政策と位置づけています。
【新型コロナウイルス対策】「医療難民ゼロ」を目指す
- 早期に治療薬を投与できる環境整備・年内の経口薬普及促進
- 地方自治体や医療機関への財政支援
- 人流抑制や医療提供体制の確保のため、行政がより強い権限を持てる法改正
- 経済下支えのため、事業規模に応じた支援策を地域や業種を限定せずに実施
- 電子的ワクチン接種証明の発行や無料 PCR検査所の設置など経済活動の再開を後押し
新しい資本主義
- 「分厚い中間層」を再構築するため、賃上げに積極的な企業への税制支援
- コロナ禍で傷んだ日本経済を立て直す
- 大胆な「危機管理投資」で、安全で強靱な国を創る
- 中小企業・小規模事業者を応援する
- 女性の活躍を応援する
エネルギー
- 2050年カーボンニュートラルに向け再生可能エネルギーを最大限導入、主力電源に
- 安全性基準に適合した原発は再稼働
農林水産業
- 農林水産業を守り成長産業に
- 食料自給率・食料自給力の向上に資する対策を強化
地方活性化
- テレワーク拠点の整備、空き家や公営住宅の活用
- マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載、健康保険証としての利用
- 自動宅配、リモート診療・リモート学習などのデジタルイノベーションを地方から社会実装
- 感染状況などを踏まえた観光需要喚起( Go To トラベルの早期再開)
- 災害被災地の復興を加速化する
経済安全保障
- 技術流出防止等に資する経済安保推進法の策定
- サイバー防御体制の樹立と高度化を急ぐ
外交・安全保障
- 「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進
- 相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力保有を含め、抑止力向上
教育
- 10兆円規模の大学ファンドを22年度までに実現
- 教育分野のデジタル化、リモート化を進める
憲法改正
- 憲法改正イメージ「自衛隊の明記・緊急事態対応・合区解消・教育充実」の4項
- 憲法改正原案の国会提案、発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を実現
立憲民主党
10月13日にまとめられた立憲民主党の「政権政策2021」と銘打った公約は、「分配なくして成長なし」をスローガンに、生活支援を軸とした新型コロナウイルス対策などを盛り込んでいます。
- 新型コロナから命と暮らしを守り抜く
- 機能する危機管理体制、「危機管理・防災局(仮称)」を設置新型コロナ対策で30兆円超の補正予算、低所得者へ年額12万円給付
- 時限的に年収1000万円程度まで実質免除となる所得税減税、消費税率を5%に引き下げ
2. 「1億総中流社会」の復活
- 分配なくして成長なし:富裕層・超巨大企業への優遇税制を是正。国際標準まで金融所得課税を強化、法人税に累進税率を導入、所得税の最高税率を引き上げ
- 医療や介護、子育てや教育といった分野に予算を重点配分:児童手当の所得制限を撤廃、対象を高校卒業まで拡大、出産に関する費用と義務教育の学校給食の無償化など
- 雇用の安定と賃金の底上げ:同一価値労働同一賃金の法制化を目指す、時給1500円を将来的な目標に最低賃金を段階的に引き上げ
- 地域分散・分権(内需主導)型の経済を実現
3.原発に依存しないカーボンニュートラル
- 太陽光などの再生可能エネルギーの割合を2050年に100%にすることを目指す
- 原子力発電から自然エネルギーへの転換
4.暮らしの安心への投資
- 「人と暮らし」に重点投資、国公立大学授業料半額、私立大学生や専門学校生に対する給付型奨学金を拡充、一人暮らしの学生への家賃補助制度の創設
5.多様性を認め合える「当たり前の社会」
- ジェンダー差別の解消、選択的夫婦別姓・ LGBT平等法を制定
- 誰ひとり取り残されない社会、あらゆる差別の解消を目指す
6.平和を守るための現実的外交
- 平和主義と専守防衛、日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策を推進
- SDGsの達成をはじめ、気候変動や貧困、海洋汚染などの地球的規模の課題に取り組む
- アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設を中止、日米地位協定の改定を進める
7.まっとうな政治
- 透明で信頼できる政府、隠されてきた事実の解明と情報公開の徹底、内閣人事局制度の見直し、立憲主義の回復
公明党
公明党は、10月7日に「日本再生へ新たな挑戦。」と題する2021衆院選・重点施策を発表しています。
感染症対策や経済再生、子育て・教育など6項目の重点政策と、成長戦略や外交・安全保障などをまとめた政策集で構成されています。
感染症対策
- ワクチン3回目接種の無料実施
- 国産ワクチンや飲み薬の開発・実用化促進
- 感染症対策を担う司令塔のもとに医療提供体制を再構築
- PCR検査体制を抜本的に拡充
経済再生
- 感染収束を前提に「新・Go Toキャンペーン」を実施
- 1人数万円の「新マイナポイント制度」創設
子育て・教育
- 0歳~高3年生の子どもに1人10万円相当を支援する「未来応援給付」
- 子育て応援トータルプランを策定
- 高3年生まで無償化を目指し医療費助成を拡大
つながり支えあう社会
- 最低賃金の年率3%引き上げ
- 高齢者らの乗り合いタクシー利用補助、公共交通機関利用割引
防災・減災
- 5か年加速化対策の推進
- 流域治水を強力に推進
政治とカネ
- 刑事責任を問われた国会議員の歳費返納を可能にする法改正
- オンラインの国会審議を可能にする制度を検討
- 加憲
日本共産党
共産党は、10月11日「なにより、いのち。ぶれずに、つらぬく」と題して総選挙政策を発表しています。
コロナ対策
- ワクチンと一体で大規模検査
- 医療・保健所への支援
- まともな補償でコロナ対策の抜本的強化、コロナで収入減に1人10万円の給付金
経済対策
- 消費税の税率を時限的に5%に引き下げる
- 最低賃金を全国一律で時給1500円に引き上げる
温暖化対策
- 温室効果ガスは2030年までに2010年度と比べ50~60%削減
- 2030年までに石炭火力・原発の発電ゼロ
多様性と個人の尊厳
- ジェンダー平等の実現
- 選択的夫婦別姓の導入、LGBT平等法を実現
憲法
- 憲法9条を生かした平和外交
- 日米安全保障条約を廃棄して対等な日米友好条約を結ぶ
日本維新の会
日本維新の会は、「維新八策を具体化する国家ビジョン-日本大改革プラン」をまとめています。
コロナ対策
- 臨時医療施設の増設
- コロナ病床・医療従事者を確保するための法律制定
- 戦略的なワクチン接種
経済対策
- ベーシックインカムの導入
- 2年を目安とした消費税の暫定的な5%への引き下げ
エネルギー
- 既存原発はフェードアウト
- 新たな投資と技術革新で2050年カーボンニュートラル達成
憲法
- 教育無償化・統治機構改革・憲法裁判所の設置を明記
国民民主党
国民民主党は、10月14日「日本を動かす政策5本柱」と「コロナ三策」を発表しています。
コロナ三策
- 国民1人当たり一律10万円の現金給付、現金給付と所得税の減税を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入
- 無料自宅検査で家庭内感染を抑制
- 抗体カクテル療法の導入で重症化を防ぐ
政策5本柱
1.積極財政
- コロナ禍収束まで消費税率を5%に引き下げ
- 富裕層への課税を強化
2.給料が上がる経済
- 給付付き税額控除を導入
- 最低賃金(時給)を一律1000円以上に
3.人づくりこそ国づくり
- 義務教育の対象年齢を3歳まで引き下げて高校までの教育費を無償化
- 児童手当を18歳まで一律1万5000円に拡充
4.国民と国土を危機から守る
- 海上保安庁の任務に領土保全を加える
- 農業者戸別所得補償制度を再構築
5.正直な政治
- 公文書の改ざん等に対する罰則導入
れいわ新選組
れいわ新選組は、10月13日、衆院選に向けたマニフェストを発表した。「コロナ緊急対策」と「景気爆上げ大作戦」を2本柱とする「れいわニューディール」により、日本の危機を救うとしています。
コロナ緊急対策
- 公立病院の拡充、民間病院を支援
- 徹底補償付きステイホーム、期間中は1人一律毎月20万円支給
景気爆上げ大作戦
- 消費税の廃止、社会保険料負担軽減
- 最低賃金1500円
- 児童手当の倍増
- 社会インフラを積極財政で充実
社民党
社民党は、10月13日、衆院選に向け「生存のために政権交代を!!」と訴える選挙公約を発表しています。
1.いのちを救え!緊急対策
- あらたな特別給付金10万円支給
- 緊急に臨時病院を開設
- 今後3年間は消費税の税率をゼロにする
2.格差・貧困の解消
- 最低賃金を全国一律1500円に引き上げ
- 教育費の無償化
- 老後安心社会の実現
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は、10月8日唯一の公約として、次を掲げました。
NHK放送受信料徴収をめぐる委託業者の戸別訪問は弁護士法72条違反として追及
その後同党は10月24日公約に24項目の追加を発表しましたが、主な項目は次の通りです。
- 新型コロナウイルス支援策で、10万円以上の期限付き電子マネー配布
- 第1子を出産した際に母親に1000万円支給
まとめ
各党の選挙公約の内容などを、わかりやすく解説しました。
第49回衆議院議員総選挙は、10月31日(日)が投票日です。
各政党がどのような公約を示しているのかをご確認いただき、投票の参考にしていただければ幸いです。
<参照>