議員が辞職する場合とは?退職金やその後の選挙についても解説

議員が辞職する場合とは?退職金やその後の選挙についても解説

ニュースや新聞で、議員の辞職に関する話題を目にすることが多くあります。

議員辞職とは、本人の意思に基づき議員の職を辞することを指します。

どのような時に議員は辞職するのか、その後の欠員はどうなるかといった疑問を持っている人は多いでしょう。

この記事では、議員の辞職に焦点をあて、辞職するケースや退職金、その後の選挙などをわかりやすく解説します。

議員の辞職とは

議員の辞職とは、一般に、任期途中に議員本人の意思に基づき、議員を辞することを指します。

議員を辞職する場合には、議院や議会の許可を得ることが法律で定められています。

  • 国会議員の場合

    各議院は、その議員の辞職を許可することができる。但し、閉会中は、議長においてこれを許可することができる。(国会法第70条)

  • 地方議員の場合

    普通地方公共団体の議会の議員は、議会の許可を得て辞職することができる。但し、閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる。(地方自治法第126条)

なお、辞職の他、次のようなケースにおいても議員はその身分を失います。

  • 任期満了
  • 選挙無効または当選無効による失職
  • 被選挙権喪失による失職

議員が辞職するのはどんな時?

多く見られるのは、自らの不祥事や不適切な言動に責任を取る形で辞職するケースです。

その他には、健康上の理由から議員を継続することが困難と判断し、辞職を選ぶケースもあります。

さらには、別の選挙に出馬するために、一度議員を辞職するような事例もあります。

2022年4月には、れいわ新選組の山本太郎が、夏の参院選に出馬するため衆議院議員を辞職したことが話題を集めました。

また、2022年9月には、岸本周平氏が和歌山県知事選に立候補するために衆議院議員を辞職しています。

議員を辞めさせることはできる?

議員としてふさわしくない人物を辞めさせる手段はあるのでしょうか。

ここでは、「議員辞職勧告・「除名・「解職請求といった関連ワードを解説します。

議員辞職勧告決議

議員辞職勧告決議とは、所属議員に対して辞職を勧告する議会の決議です。

議会の意思表示として、議員にふさわしくない人物に対して行われます。

ただし法的拘束力はなく、議員が勧告に従わなかったとしても問題はありません。

議員の除名

議会は除名によって、議員として不適切と思われる人物を失職させることが可能です。

国会議員の除名については、憲法で以下のように規定されています。

院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。(憲法第58条)

これまでに、計2名の国会議員が除名処分を受けました。

最近では、NHK党のガーシーこと東谷義和参院議員が国会に出席する意思がないと表明したことに対して、除名処分が議論されています。

また、地方議員の除名についても、地方自治法で以下のような規定があります。

除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならない。(地方自治法第135条)

地方議員の解職請求

地方議員に対しては、住民らによる解職請求(リコール)が可能です。(地方自治法第13条)

有権者の総数の3分の1以上の署名を集めると、議員の解職を請求できます。

請求が受理されると住民投票が実施され、過半数の賛成で議員は失職します。

議員の退職金

ここでは、国会議員と地方議員の退職金について解説します。

国会議員

国会議員に退職金の支給はありません。

ただし、国会法には以下の記載があります。

議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。(国会法第36条

かつては上記法律を元に、国会議員向けの年金制度「国会議員互助年金」が存在し、退職年金や退職一時金が支給されていました。

しかし、制度が国会議員を厚遇するものであったことから、批判が強まり、2006年4月に廃止されました。

地方議員

地方議員にも退職金の支給はありません。

地方議員に対しては、「地方議会議員年金」という年金制度があり、退職年金や退職一時金の支給が行われていました。

しかし、議員数の減少や財源の枯渇などにより、制度の維持が困難とされ、2016年6月に廃止されました。

地方議員数の減少が問題視されている中、人材確保には年金制度の充実が必要であるとし、制度復活や新制度設立を求める声もあります。

議員が辞職した後の選挙

ここでは、議員が辞職するなどして欠員が生じた場合の流れを解説します。

議員に欠員が生じると、選挙管理委員会に通知がなされます。(公職選挙法第111条)

選挙管理委員会では、まず「繰上補充」によって、当選人を定められるかどうかを判断します。(公職選挙法第112条)

繰上補充によって当選人を定められず、かつ、議員に一定数以上の欠員が生じている場合には、「補欠選挙」が実施されます。(公職選挙法第113条)

補欠選挙の実施例については、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】再選挙と補欠選挙の違いは?両選挙の概要や違いをわかりやすく解説!

まとめ

この記事では、議員がどのような時に辞職するのか、また議員の退職金や欠員発生後の流れについて解説しました。

  • 議員の辞職とは、議員本人の意思に基づき議員を辞めること
  • 不祥事に対して責任を取るための辞職や健康上の理由による辞職、他選挙へ立候補するための辞職などがある
  • 2022年10月時点で国会議員や地方議員に退職金制度はない
  • 繰上補充してもなお、一定数以上の欠員が生じている場合は補欠選挙が実施される

 

<参考>
新日本法規 | 実務必携地方議会・議員の手引
選挙どっとコム | 「決議?それがどうした?!」なぜ議員は辞職勧告されても辞めずに済むのか
全国町村議会議長会 | 地方議会議員の年金制度の沿革
finasee | 受給額400万円超「国会議員、優遇されすぎ」と批判が集中した「議員年金」とは
自治大阪 | 補欠選挙の執行について
読売新聞 | 岸本周平・衆院議員が辞職、和歌山県知事選に立候補へ

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