2022年11月8日、アメリカで中間選挙が行われるため、注目を集めています。
本記事では、中間選挙についての基礎知識と2022年秋の中間選挙のポイントについてまとめています。
中間選挙とは
中間選挙は、4年に1度行われるアメリカ大統領選挙の「中間」の年に全米で一斉に行われる選挙で、連邦議会の上院と下院の議員選挙や、州知事選挙などを指します。
11月第1月曜日の翌日の火曜日に行われると決まっており、2022年は11月8日が投開票予定です。
中間選挙は、アメリカ政治の方向性を占うことにもなると言われる重要な選挙です。上下両院選挙では、2年間の大統領の評価を見定めるものとしても注目されています。
アメリカの中間選挙の仕組み
米国の議会は日本と同じ2院制です。米議会は上院と下院で構成され、中間選挙では下院の全議席と上院の3分の1の議席が改選されます。
下院は各選挙区から議員1人を選出する小選挙区制で、各州への議席の割り当ては10年ごとに実施される国勢調査によって決定される仕組み。上院議員は人口に関係なく各州2人割り当てられ、50州あるので定数は100議席と決まっています。
州知事などの地方選挙も中間選挙と併せて行われます。
2022年中間選挙の争点
10月中旬に実施された世論調査では、現在米国が直面する最も重要な問題として以下があげられています。
1位:経済(26%)
2位:インフレ/生活費(18%)
3位・4位:中絶(5%)・移民(5%)
5位:犯罪(3%)
バイデン大統領は10月18日、11月の中間選挙で民主党が勢力を拡大した場合、中絶の権利を明記する法の成立を目指す考えを表明しています。
なお、米国では共和党と民主党の2大政党制が確立しており、議員のほとんどは両党のどちらかに所属しています。
バイデン大統領は民主党出身、トランプ大統領は共和党出身です。
今回の選挙ではトランプ氏の去就も注目されています。
【関連記事】民主党・共和党とは?アメリカ二大政党の特徴と違いを解説
2022年中間選挙の世論調査では共和党がわずかに優位
現職大統領にとって、中間選挙は困難な戦いとなるのが通例です。
現職であることによる悪影響がより顕著に現れるのが下院議員選挙で、過去19回の中間選挙のうち17回で政権与党が議席を減らしています。
10月中旬のニューヨーク・シエナ大学の世論調査によると、もし連邦下院選挙が今日行われれば、民主党候補、共和党候補のどちらに投票するかとの問いに、共和党候補が46%と民主党候補の44%を上回りました。
また同時期に実施されたハーバード大学等による世論調査によると、民主党候補、共和党候補への支持がそれぞれ50%と拮抗していますが、投票予定者に限定すれば、共和党候補が53%と民主党候補(47%)を6ポイント上回っています。
このままの状況が続けば、連邦下院選挙では共和党がやや優位であることが予想されます。
中間選挙は株価に影響する
アメリカの中間選挙は、世界の経済、主に株価に影響をもたらします。中間選挙と米国株式市場にはどのような経験則(アノマリー)があるのでしょうか。
1942年以降20回の中間選挙で確認したデータ(※)が発表されました。
このデータによると、中間選挙前日から大統領選挙の前年にあたる翌年末までの平均上昇率は18.4%、勝率は100%、大統領選挙の前年の平均上昇率も15.4%、勝率は95%
と高い傾向にありました。
こうした高い上昇率や勝率は、中間選挙の結果を踏まえ、「大統領は再選に向けて積極的な政策を打ち出す」との期待が高まるためと考えられます。過去のアノマリーに基づけば、こうした政策への期待の動きは中間選挙から始まると言えます。
※中間選挙が実施される前日を起点として大統領選挙の前年にあたる翌年末までの騰落率・三井住友DSアセットマネジメント調べ
まとめ
- 中間選挙は、4年に1度行われるアメリカ大統領選挙の中間の年に全米で一斉に行われる選挙
- 現大統領の国民からの評価を図る選挙としても注目される
- 2022年10月中旬実施の世論調査に基づけば、共和党がやや優位
- 中間選挙は株価を中心とした世界経済にも影響がある
<参考>
NHK 国際ニュースナビ
JETRO 米中間選挙の世論調査、連邦下院選で共和党がわずかに優位
朝日新聞デジタル バイデン氏、「中絶」を中間選挙の争点に 民主候補への投票求める
NHK 解説委員会 アメリカ中間選挙の焦点は?
UBS SMITRUST 議会のパワーバランス
三井住友DSアセットマネジメント 米中間選挙と株式市場のアノマリーを確認 中間選挙後の株価は高い勝率で上昇見込み
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