直接請求権とは?種類や方法をわかりやすく解説!

直接請求権とは?種類や方法をわかりやすく解説!

直接請求権とは、地方自治に住民の直接意思を反映させる権利です。

住民投票の実施や解職請求(リコール)などで話題になることが多くあります。

具体的には、どのようなものなのでしょうか。制度の仕組みや事例、問題点をわかりやすく解説していきます。

直接請求権とは

地方行政に住民が直接参加する権利である直接請求権には

・条例の制定・改廃請求権

・議会の解散請求権

・首長などの解職請求権(リコール)

・事務監査の請求

の4種類があり、それぞれに必要な署名数や請求先、請求後の取り扱いが地方自治法に定められています。

仕組みや請求方法を具体的に見ていきましょう。

条例の制定・改廃請求権

住民が直接条例の制定や改正、廃止を求める権利で、イニシアティブ(国民発案・住民発案)とも呼ばれます。

地方公共団体における有権者数のうち、50分の1以上の署名によって、首長(都道府県知事や市町村長)に請求します。首長は条例案を議会にかけ、その結果を公表しなければなりません。(地方自治法74条)

議会の解散請求権

地方議会の解散を請求する権利で、有権者の3分の1以上の署名を集め、選挙管理委員会に対し請求します。請求があったときは住民投票が行われ、過半数の同意があれば議会は解散されます。(地方自治法76〜79条)

首長などの解職請求権(リコール)

都道府県知事・副知事・市町村長・副市町村長・議員など特別職の公務員に対して解職を請求する権利で、リコールとも呼ばれます。有権者の3分の1の署名が必要です。

首長や議員に対する場合は選挙管理委員会に請求し、住民投票で過半数の同意があれば失職します。(地方自治法80~85条)

副知事や副市町村長などの主要公務員の場合は首長に請求し、議会で3分の2以上の出席、4分の3以上の同意があれば失職します。(地方自治法86〜88条)

事務監査の請求

地方公共団体の事務、経理の監査を求めることもできます。有権者の50分の1以上の署名によって、地方公共団体の監査委員に対して請求し、監査が行われます。監査の結果は公表し、議会や首長にも報告しなければなりません。(地方自治法75条)

監査委員とは、地方公共団体の事務の執行や経営に関わる事業の管理を監査する機関です。

直接請求権の事例

実際に直接請求権に基づき、住民の意思を反映した事例はどのようなものがあるのでしょうか。

愛知県小牧市の住民投票事例

2015年、愛知県小牧市が、カフェや本屋を併設した図書館の新設を計画していました。

しかし費用面や委託企業の運営方針などについて住民が反対し、計画の是非を問う住民投票条例の制定を請求します。

条例案が市議会で可決され、行われた住民投票は反対多数でした。

住民投票の結果に法的拘束力はありませんが、計画は白紙撤回されました。

静岡県河津町長のリコール事例

2017年には、静岡県河津市の複合施設建設をめぐり、事業費が当初の予定を大幅に上回ったことなどから住民が町長の解職を求めます。

住民投票でリコールの賛成が有効投票数の過半数となり、町長は失職しました。

直接請求権の問題点

民主主義政治に欠かせない権利である直接請求権ですが、現行の仕組みには課題もあります。

署名偽造事件

大村秀章愛知県知事のリコール請求のために提出した署名を、大量に偽造したとして、署名活動団体の事務局長などが地方自治法違反の疑いで逮捕・起訴され、話題になりました。

この事件では、必要数の署名が集まらなかったためリコールの成立には至りませんでしたしかし提出された署名を愛知県選挙管理委員会が調べたところ、同一筆跡の署名が大量に見つかり、約8割が偽造されたものとみられています。

2022年4月現在、事務局長らの公判は続いており、一部の関係者は有罪が確定しました。

総務省はこの事件を受けて、署名を集めた人に氏名の記入を求めるなど偽造を防ぐ対策を検討しています。

議会で否決や法的拘束力の問題も

直接請求権により、地方行政の重要事項について住民投票を行う条例の制定を求めることがあります。しかし、必要数の署名が集まって請求が成立しても、その後議会で否決され投票の実施に至らないことも少なくありません。

住民投票を求める住民からは、議会で十分に議論されているのか疑問の声が上がることもあります。

また、条例に条例に基づく住民投票には法的拘束力がありません。

まとめ

・直接請求権には、条例の制定や改廃の請求、議会の解散請求、首長などの解職請求、事務監査請求の4種類がある

・それぞれ必要数の署名を集め、定められた請求先に提出する

・直接請求によって行政計画が撤回されたり、首長が失職したりした事例もある

 

<参考>

地方自治法
『政治・経済用語集 第2版』山川出版社、2019
『2021新政治・経済資料 三訂版』実教出版編修部、2021
直接請求の仕組み(総務省)
監査委員って、どんなひと? | 柏市役所
新図書館建設計画を白紙にすることに関する住民投票条例制定請求について/小牧市
愛知・小牧市、TSUTAYA図書館に「ノー」3万票|NIKKEI STYLE
教育の窓:図書館民間委託、悩む自治体 サービスの質に課題 | 毎日新聞
静岡県河津町長のリコール成立 複合施設建設めぐり – 産経ニュース
愛知リコール不正 | 毎日新聞
愛知県知事リコール不正事件 署名偽造を防止、収集者名明示へ 総務省改善策 | 毎日新聞
リコール署名偽造 初の有罪確定 | 毎日新聞
リコール「成立しなければ紙切れ」署名偽造、制度の死角狙ったか | 毎日新聞
東海第2再稼働 県民投票条例案を否決 最大会派反対で廃案へ 常任委 /茨城 | 毎日新聞
島根原発2号機 出雲市長が再稼働容認 住民投票条例案否決 /島根 | 毎日新聞

 

 

 

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、0歳児と2歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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