政治資金規正法とは?寄附や政治資金収支報告書についてわかりやすく解説

政治資金規正法とは?寄附や政治資金収支報告書についてわかりやすく解説

政治活動において重要な政治資金規正法ですが、どのような内容なのでしょうか。
この記事では、政治資金規正法の概要についてわかりやすく解説します。

政治資金規正法とは

政治資金規正法は、政治団体(政党など)と公職の候補者(選挙に立候補する人)の政治活動が国民の監視のもとに公正に行われるよう政治資金に関わることについて定められた法律です。

政治資金規正法の目的

政治資金規正法の目的は政治活動の公正の確保と民主政治の健全な発達に寄与することであると第1条で定められています。

政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする
引用元:政治資金規正法

つまり、政治資金の扱いを規制し国民に対して政治資金の流れを透明化することで、不正や汚職を防ぐことが政治資金規正法の目的です。

政治資金規正法の構成

政治資金規正法は大きく分けて以下の3つについて定めています。

  • 政治団体の届出と指定
  • 政治資金の授受の規正等
  • 政治資金収支の公開

これらについては、本記事後半で解説します。

政治資金規正法の規正対象者は?

政治資金規正法の主な対象者は以下の通りです。

  • 公職の候補者
  • 政治団体
  • 寄附をする会社および個人

公職の候補者

政治資金規正法における「公職の候補者」とは、以下のような人々のことを指します。

  • 現役の国会議員
  • 地方議会の議員
  • 地方自治体の首長(都道府県知事や市区町村長)
  • 上記の選挙へ立候補しようとしている人々

政治団体

政治団体は、政治資金規正法において政治活動を本来の目的としたり主たる活動としたりする団体として定義されています。

政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。
特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。
引用元:政治資金規正法

つまり、政党や後援会が該当します。

また、政治資金規正法上では以下のような団体も政治団体とみなされます。

  • 政策研究団体(派閥、政策集団、政策グループなど)
  • 政治資金団体(政党への資金援助を目的として政党に指定された団体)
  • 特定パーティー開催団体(一定規模以上の政治資金パーティーの開催者)

寄附をする会社および個人

政治団体や公職の候補者へ寄附を行う会社や個人も寄附に関する規定を遵守する必要があります。
寄附をする際の規定については本記事後半で紹介します。

政治団体の届出と指定

政治団体は設立日から7日以内に主要な事務所がある都道府県の選挙管理委員会を窓口として届け出る必要があります。

また、政治資金規正法では政党は政治資金団体を、公職の候補者は資金管理団体をひとつ指定する制度があります。これらの団体は、寄附を受ける際に必要な団体です。

政治資金の授受の規正等

政治資金規正法の主要な項目のひとつである「政治資金の授受の規正等」では主に政治団体や公職の候補者が受け取る寄附に関する制限が定められています。

寄附の制限

政治資金規正法では、寄附の質的・量的な制限を定めています。

企業や労働組合等が行える寄附は、政党と政党が指定した政治資金団体に対してのみです。政治家個人(公職の候補者)に対して直接寄附を行うことは禁止されています。

個人が寄附を行う場合は、政党と政党が指定した政治資金管理団体に加え、政治家個人(公職の候補者)及び公職の候補者が指定した資金管理団体、その他の政治団体に対しても可能です。

企業や労働組合、個人が寄附を行ういずれの場合でも、寄附が認められている金額にはそれぞれ上限が定められています。

公職選挙法と政治資金規正法が扱う寄附の違い

公職選挙法においても寄附について定めていますが、政治資金規正法と公職選挙法では寄附を規制する目的が違います。

政治資金規正法は政治団体や公職の候補者が受け取る寄附について定めており、癒着を防ぐことが主な目的です。

一方で公職選挙法では、政治団体や公職の候補者(現役の政治家や出馬しようとする人側)が選挙区内に対して行う寄附について主に規制しています。つまり、公職選挙法における寄附の禁止は有権者の買収を防ぐことが目的です。

政治資金収支の公開

政治資金規正法では、政治活動における政治資金の流れを透明化し国民が監視や批判できるようにすることもひとつの目的です。そのため、政治団体や公職の候補者は政治資金収支報告書の提出が義務付けられています。

政治資金収支報告書とは

政治資金収支報告書とは、政治団体の1年間の収入および支出の金額と明細を記載した報告書のことです。政治団体の会計責任者が作成と提出を義務付けられています。

公開と閲覧

提出された政治資金収支報告書は、行政によりインターネット上で公表されたり、要旨が官報や都道府県の公報で公表されたりします。その後3年間は誰でも閲覧や写しの交付を請求することが可能です。

まとめ

政治資金規正法は、政治団体と公職の候補者による政治活動に伴う資金の扱いおよび流れを透明化するルールを定めた法律です。

本記事では寄附や収支報告書を中心に紹介しましたが、政治資金規正法では政治団体間の資金のやりとりや政治資金の運用、会計帳簿、税制上の措置など多岐にわたり全7章と附則で詳細に定めています。

 

<参考>
国政情報センター『「理論」と「実務」政治資金規正法-制定の経緯からQ&Aまで-』
政治資金規正法 | e-Gov法令検索
総務省|なるほど!政治資金 政治資金の規正 (soumu.go.jp)
総務省|政治資金規正法のあらまし
政治活動要覧web (kokuseijoho.jp)
寄附の禁止Q&A – 川南町 (town.kawaminami.miyazaki.jp)
総務省|なるほど!政治資金 政治団体とは (soumu.go.jp)
東京都選挙管理委員会|政治団体の手引
資金管理団体の指定|香川県 (kagawa.lg.jp)

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