【立候補者が気をつけたい公職選挙法】街頭演説編

【立候補者が気をつけたい公職選挙法】街頭演説編

街頭演説は、公職選挙法により「候補者個人の街頭演説」「政党等の街頭演説」のそれぞれに規定が定められています。

この記事では、「候補者個人の街頭演説」について、候補者が気をつけることについて解説します。

街頭演説に関する公職選挙法

街頭演説とは、街頭または公園、空き地などで多数の人に向かって選挙運動のための演説を行うことです。選挙事務所などの屋内から、屋外(街頭)に向かって行う演説も街頭演説に含まれます。

これらの街頭演説は、言論による選挙運動として公職選挙法により一定の制限が設けられています。

候補者は、選挙管理委員会(参議院比例代表選挙の場合は中央選挙管理会)から交付される標旗を掲げて演説を行わなければなりません。また、歩きながらの演説や、走行する車両の上から行う演説(=「流し演説」)は禁止されています。

選挙運動のためにする街頭演説(屋内から街頭へ向かつてする演説を含む。以下同じ。)は、次に掲げる場合でなければ、行うことができない。

第1号
演説者がその場所にとどまり、次項に規定する標旗を掲げて行う場合(参議院比例代表選出議員の選挙においては、公職の候補者たる参議院名簿登載者で第八十六条の三第一項後段の規定により優先的に当選人となるべき候補者としてその氏名及び当選人となるべき順位が参議院名簿に記載されている者以外のものの選挙運動のために行う場合に限る。)

第2号
候補者届出政党又は衆議院名簿届出政党等が第百四十一条第二項又は第三項の規定により選挙運動のために使用する自動車又は船舶で停止しているものの車上又は船上及びその周囲で行う場合(公職選挙法第164条の5第1項)

 

街頭演説に関する注意点

公職選挙法に違反した場合、禁錮や罰金などの罰則が科されることもあります。

「候補者個人の街頭演説」において注意したい点を解説します。  

街頭演説を行う時間の制限

公職選挙法により、午後8時から翌日午前8時までの間は、選挙運動のための街頭演説が禁止されています。(公職選挙法第164条の6)

街頭演説の時間制限についてはこちらの記事で解説しています。
選挙運動の時間制限、早朝や深夜の禁止行為は?

また、以下についても同じく公職選挙法第164条の6で定められています。

  • 学校、病院、診療所その他の療養施設の周辺にて演説を行う場合には、静穏を保持するよう努めなければならない。
  • 長時間にわたり、同一の場所にとどまって街頭演説を行うことのないよう努めなければならない。

街頭演説を行う場所の制限

以下の場所において街頭演説を行うことが禁止されています。(公職選挙法第166条)

  • 国や地方公共団体の所有・管理する建物(公営住宅を除く)
  • 電車、駅の構内などの特定の建物
  • 施設
  • 病院など

街頭演説の選挙運動員等についての制限

街頭演説を行う場所で選挙運動に従事するものは、候補者1人につき(参議院比例代表選挙の場合は、名簿登載者1人につき演説を行う場所ごとに)15名を超えてはなりません。
ただし、候補者本人と運転手(船員)を除きます。

また、これらの運動員は法定の街頭演説用腕章または乗車(船)用腕章を着用することが義務付けられています。(公職選挙法第164条の7)

たとえ予備員という名目であっても、腕章を着用していない運動員はその場にいることが許されません。

拡声器を使用する場合も注意

街頭演説の場所にて拡声器を使用する場合、選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)から交付された表示板を付けなければならない。(公職選挙法第141条)

 

<参考>
選挙制度研究会『実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法〔第十五次改訂版〕』
国政情報センター『選挙運動違反の警告&検挙 実例集〔第二次改訂版〕』
三好規正『すぐわかる選挙運動ーケースでみる違反と罰則ー』

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