政調会長とは、政党における役職の一つです。従来、政調会長は自民党特有のポストでしたが、近年は他の政党でも一般的な役職といえます。
以下、2022年10月現在の政権与党である自民党における位置付け等を主として、政調会長について解説します。
政調会長とは
自民党においては、幹事長・総務会長・選挙対策委員長と共に「党四役」を構成する重要なポストです。
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政策の調査研究と立案を担当する政務調査会のトップであり、政策立案の責任者です。
自民党における政務調査会は、14の部会と、調査会・特別委員会等から構成されています。
部会は基本的に1府12省庁に対応する形です。そして、税務調査会、過疎対策特別委員会など、各分野・領域毎の調査会や委員会などが存在します。
自民党が法案や予算案を国会に提出する際には、まず政務調査会で了承を得る必要があります。その後、党内の最高意思決定機関である総務会での了承を取り付け、はじめて国会へ提出となります。これは事前審査制と呼ばれており、党内でこの手続を経ることにより、所属の国会議員は当該法案や予算案に賛成するよう、党議拘束がかけられます。
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政務会長が「党四役」のうちの一人として中心的な存在である理由が分かりますね。
因みに、幹事長や総務会長とどちらが偉いのか?誰が一番偉いのか?気になるところですが、4人のうち、最も影響力があるのは幹事長です。総裁に次ぐナンバー2として、党の人事や資金使途の決定、選挙の公認などにおいても実質的な影響力を持ちます。「総裁を補佐し、党務を執行する」と党則でも定められています。
次いで総務会長または政調会長、最後が選挙対策委員長、というのが一般的な見方です。
歴代政調会長(自民党)
現在の政調会長は萩生田光一氏です。直近では、下村博文氏・茂木敏充氏・稲田朋美氏・高市早苗氏などが歴任しています。
政調会長については、一時期ほどの存在感はないものの、今なお総裁候補の登竜門である、との見方が残るようです。現在の首相である岸田文雄氏も、2017年8月以降、安倍政権下で政調会長を経験しています。
その他、後の首相経験者では、福田赳夫氏・田中角栄氏・三木武夫氏・大平正芳氏・森喜朗氏・麻生太郎氏らが名を連ねます。
まとめ
- 政調会長とは、政党における役職の一つで、政務調査会(いわゆる政調)のトップ。政策の調査研究や企画立案などを担う責任者。
- 自民党においては、幹事長・総務会長・選挙対策委員長と共に「党四役」を構成する重要なポスト
- 現在の首相である岸田文雄氏も政調会長経験者で、他にも政調会長経験者の歴代首相が複数名存在する
<参考>
四役共同記者会見 | 記者会見 | ニュース | 自由民主党
自民党四役とは 総裁に代わり党運営主導|日本経済新聞
政調会長、連立の要「登竜門意識」は今も|日本経済新聞
「党四役」って何? 党運営の中心、最も力を持つのは…|朝日新聞
自民党三役 かつては首相への登竜門|日本経済新聞
自由民主党 役員 | 議員
自民党政調会長って外務大臣よりもエラいの? いまさら聞けない肩書の基礎知識 | デイリー新潮
池上さん、幹事長・政調会長・総務会長って何をする人たちですか? | 文春オンライン
政調会長として – 岸田文雄 公式サイト
事前審査制の導入と自民党政調会の拡大 ―『衆議院公報』の分析を通じて|奥健太郎
「最後の関門」自民党総務会ってどんなところ?【政界Web】:時事ドットコム
行政機構図(2022.7現在)|内閣府
与党による閣法事前審査制の見直しに関する考察/武蔵 勝宏(同志社政策科学研究)