新しい人権とは?根拠や具体例、論点について簡単に解説

新しい人権とは?根拠や具体例、論点について簡単に解説

ニュースやSNSで「新しい人権」という言葉を目にすることがあります。

新しい人権とは、憲法には明記されていないが、社会状況の変化に伴い、憲法上の権利として保障すべきとされる人権です。

そもそも新しい人権とは何なのか、また新しい人権にはどんな種類があるのかについて、詳しく知らないという方も多いでしょう。

この記事では、新しい人権の概要や具体例、議論の論点についてわかりやすく解説します。

新しい人権とは

ここでは、新しい人権とはどのような人権か、またその根拠について解説します。

憲法に明記されていない人権

新しい人権とは、憲法には明記されていないが、憲法上の権利として保障すべきとされる人権です。

日本国憲法には、思想良心の自由(19条)・表現の自由(21条)・職業選択の自由(22条)など、個別の人権規定が列挙されています。

しかし、社会状況の変化に伴い、制定時(1940年代)には想定していなかった人権侵害が生じるようになりました。

具体例を挙げると、インターネットの普及や表現媒体の多様化、個人主義の意識の高まりを背景に、私生活をみだりに公開されない「プライバシーの権利」が求められるようになりました。

時代の流れとともに考慮が必要な権利は多様化しており、今後も新しい人権は生まれてくるといえるでしょう。

【関連記事】基本的人権とは何かわかりやすく解説!歴史や4つの基本的人権も紹介

新しい人権の根拠

新しい人権が憲法上保障されるためには、その根拠となる規定が必要です。

根拠としては、憲法第13条「幸福追求権」が提唱されています。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

(日本国憲法第13条)

もともと幸福追求権は、憲法14 条以下の個別の人権規定を総称したものであり、具体的な法的権利は引きだせないとされていました。

しかし、様々な社会問題に対して法的に対応する必要性が増大したことから、意義が見直され、新しい人権の根拠と解釈されるようになりました。

京都府学連事件(1962年)の裁判では、憲法第13条を根拠に、最高裁によってプライバシーの権利としての肖像権が認められています。 

新しい人権の具体例

新しい人権には多種多様な権利が存在します。ここでは、代表的な新しい人権を5つ紹介します。

プライバシーの権利

プライバシーの権利(プライバシー権)とは、私生活をみだりに公開されない権利です。

情報化社会の進展に伴い、「自己に関する情報をコントロールする権利」とも捉えられています。

承諾なしに容姿を撮影・公表されない自由である「肖像権」は、プライバシー権の一種と考えられます。

環境権

環境権とは、健康で快適な生活を維持できる環境を享受する権利です。

高度経済成長期における大気汚染や騒音等の環境問題が発端となり、提唱されるようになりました。

また、建物の日当たりを確保する権利である「日照権」や、受動喫煙を避ける権利である「嫌煙権」も環境権の1つです。

知る権利

知る権利とは、国民が国の政治に関する情報を自由に入手できる権利です。

国家秘密の増大やマスメディアによる一方的な情報の発信が進む中で主張されるようになりました。

また、関連する権利に、マスメディアに対して意見発表の場を求める「アクセス権」があります。

知的財産権

知的財産権とは、アイデアやデザインなどを財産とみなし、創作者に対して一定期間の権利保護を与えるものです。

知的財産は、模倣されやすい特徴を持つため、創作者の権利の保護が重要とされます。

現行憲法では、第29条で財産権を規定していますが、明確に知的財産を保護する規定はありません。

自己決定権

自己決定権とは、他者に干渉されることなく、個人に関する事項を自由に決定できる権利です。

結婚や出産、身なり、ライフスタイルなどに関する決定について、公共の福祉に反しない範囲で尊重されます。

また、医療における自己決定権は重要視されており、医療行為に関して十分な説明がなされ、納得したうえで治療等を受ける「インフォームドコンセント」が増えています。

憲法明記をめぐる議論

新しい人権については、憲法上に明記すべきかどうかが議論されています。

明文化に対する賛成派・反対派の主な意見は、それぞれ以下の通りです。

<賛成派の意見>

  • 現行憲法の解釈では十分には対応できない
  • 立法や裁判の基準が明確化する
  • 国民に対する教育効果が期待できる

<反対派の意見>

  • 現行憲法の人権規定によって対応できる
  • 現実的な権利の保障においては、憲法ではなく法律の整備が必要
  • 人権のインフレ化(※)を招く懸念がある

※人権のインフレ化:むやみに人権を増やしていくと人権の価値低下や人権同士の衝突を引き起こしてしまうこと

まとめ

この記事では、新しい人権の概要や具体例、論点について解説しました。

  • 新しい人権とは、憲法には明記されていないが、憲法上の権利として保障すべきとされる人権
  • 憲法第13条「幸福追求権」が新しい人権の根拠とされる
  • 具体例として、プライバシー権や環境権、知る権利などが挙げられる
  • 新しい人権を憲法に明記すべきかどうかが議論されている

 

<参考>

衆議院憲法審査会事務局 | 「新しい人権等」に関する資料
参議院憲法審査会事務局 | 新しい人権-第183回国会の参議院憲法審査会における議論②-
広島県 | 思いやりと優しさのハーモニー
政治ドットコム | 新しい人権とは?憲法に直接明記されていない新しい人権の種類と解釈について解説
LEGAL MALL | 新しい人権とは?種類・過去の裁判例・最近注目の問題について詳しく解説

タイトルとURLをコピーしました