国民皆保険とは?メリット・デメリットや海外の特徴をわかりやすく解説

国民皆保険とは?メリット・デメリットや海外の特徴をわかりやすく解説

日本では、国民皆保険により、誰でも高品質な医療を安価で受けられる体制が実現されています。

国民皆保険制度とは、すべての国民が何らかの医療保険に加入し、互いに医療費を支え合う制度です。

この記事では、国民皆保険とは何か、その歴史やメリット・デメリットを解説します。

また、海外の医療保険についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

国民皆保険とは

国民皆保険(こくみんかいほけん)とは、すべての国民が何らかの医療保険に加入することです。

日本では、国民に対して公的医療保険への加入を義務付けています。

公的医療保険は、大きく分けると以下の3種類です。

  • 被用者保険:会社員とその家族などが加入
  • 国民健康保険:自営業者や非正規雇用者などが加入
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上が加入

国民から広く集められた保険料は、医療を必要とする人々の負担軽減のために給付されます。

このように、国民皆保険制度は、国民が互いに医療費を支え合う制度といえます。

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国民皆保険の歴史

1950年代半ば頃、公的医療保険に加入している人は、国民全体の約3分の2程度しかいませんでした。

1956年の厚生白書には、当面の重要課題として「医療保障の推進」が記されています。(厚生白書(昭和31年度版)』

1957年、厚生労働省は「国民健康保険全国普及4カ年計画」を策定し、すべての国民を国民健康保険に加入させることを目標に掲げました。

その後、1958年に国民健康保険法が制定され、1961年から国民皆保険体制が始まりました。

国民皆保険のメリット・デメリット

国民皆保険には、医療に関する様々な給付を受けられるメリットが存在します。

一方、少子高齢化が進む近年、保険料納付負担の増大といったデメリットも問題視されるようになりました。

メリット

医療費の負担が軽減され、誰でも安心して医療サービスを受けられることがメリットです。

たとえば、中学生から69歳までの人であれば、医療費の自己負担分は3割で済み、残りの7割は保険料から支払われます。

他にも、国民全員が必要に応じて様々な給付を受けられる体制が整備されています。

  • 高額療養費制度:医療費が一定の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される
  • 出産育児一時金:出産時に出産費用として、原則42万円が支給される
  • 傷病手当金:病気やけがで働くことが困難な場合に、給付を受けられる

デメリット

デメリットとしては、現役世代の保険料納付の負担が大きくなってしまう可能性があることが挙げられます。

日本では、保険料を納める現役世代の数が減少する一方で、給付を受ける機会が多い高齢者が増加しており、保険料は年々増大傾向にあります。

保険料の増加が、現役世代の生活を圧迫しているケースが少なくありません。

たとえば、年収400万円の会社員(30歳・単身世帯)の場合、公的医療保険については年間約20万円を納めることになります。

今後も少子高齢化が進む中で、国民皆保険制度をどのように維持していくかが課題の1つとなっています。

世界各国の医療保険制度

海外の医療保険はどのような制度になっているのでしょうか。

ここでは、アメリカ・フランス・ドイツの3か国の事例を紹介します。

アメリカ

アメリカの公的医療保険は、高齢者や障害者・低所得者などを対象とするものしかなく、現役世代の多くは、民間の医療保険へ加入することになります。

しかし、民間保険の保険料は高く、2018年では、約2750万人(国民全体の8.5%)が保険未加入でした。

保険に未加入の場合、医療費が高額となり、医療費の支払いが原因による自己破産が深刻な問題となっています。

フランス

フランスでは、日本と同じようにすべての国民が公的保険に加入する国民皆保険制度を採用しています。

フランスの医療保障は、公的保険と民間保険の二階建てによって成立している点が特徴です。

民間保険は公的保険を補完する保険と位置づけられ、任意加入ながら、加入率は9割を超えています。

ドイツ

ドイツでは、すべての国民に対して、公的保険または民間保険へ加入を義務付ける形で国民皆保険を実現しています。

ドイツの特徴として、外来診療における医療費が原則無料なことが挙げられます。

ただし、入院治療や医薬品などについては、一部患者負担があります。

まとめ

この記事では、国民皆保険の概要やそのメリット・デメリット、海外の医療保険制度の事例について解説しました。

  • 国民皆保険とは、すべての国民が何らかの医療保険に加入し、互いに医療費を支え合う制度
  • 日本では、1961年に国民皆保険がスタートした
  • メリットとして、医療費の負担が軽減され、誰でも安心して医療サービスを受けられることが挙げられる
  • デメリットとして、現役世代の保険料納付の負担増大の懸念が挙げられる
  • アメリカでは現役世代を対象にした公的医療保険が存在していない一方で、フランスやドイツでは国民皆保険が採用されている

 

<参考>

厚生労働省 | 我が国の医療保険について
NHK福祉情報サイトハートネット | 社会保障ってなんだ 第2章 「国民皆保険」という壮大な事業
日本医師会 | 日本と諸外国の医療水準と医療費
全労災協会 | 日本独特の仕組みとしての国民皆保険制度
健康保険組合連合会 | 実は恵まれている!日本の国民皆保険制度

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