集団的自衛権とは?メリット・デメリットや日本の現状をわかりやすく解説

集団的自衛権とは?メリット・デメリットや日本の現状をわかりやすく解説

ロシアによるウクライナ侵攻や、台湾をめぐる米中対立など世界の安全保障情勢はめまぐるしく変化しています。

安全保障に関するニュースでよく登場するのが、自国と関係が深い国が攻撃された際に、共に反撃する権利である「集団的自衛権」です。

集団的自衛権について、メリット・デメリットや日本の現状をよく理解できていないという方は多いでしょう。

この記事では、集団的自衛権の意味やメリット・デメリット、集団的自衛権に関する日本の現状をわかりやすく解説します。

個別的自衛権と集団的自衛権

国際法上、原則として国家による武力行使は禁じられています。(国連憲章第2条4項

ただし、「自国」や「自国と関係が深い国」が武力攻撃を受けた場合に限り、反撃する権利(自衛権)が認められています。(国連憲章第51条

自衛権には、自国に関する「個別的自衛権」と関係国に関する「集団的自衛権」があり、それぞれの意味は以下の通りです。

  • 個別的自衛権:武力攻撃を受けた国が、自力で反撃する権利
  • 集団的自衛権:自国が武力攻撃を受けていなくても、同盟国など密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、自国への攻撃とみなして共に反撃する権利

たとえば、欧米の国々が加盟する北大西洋条約機構(NATO)は、条約の中に集団的自衛権を明記しています。(参考:外務省「北大西洋条約機構(NATO)について」

アメリカ同時多発テロ(2001年)を受けて起こったアフガニスタン紛争では、NATO加盟国が集団的自衛権を行使し、アメリカを支援しました。

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集団的自衛権のメリット・デメリット

ここでは、集団的自衛権のメリットとデメリットを解説します。

メリット

集団的自衛権のメリットとして、戦争の抑止力として機能することが挙げられます。

複数の国が集まり、有事の際は互いに助け合うという協力関係を構築しておくことは、他国からの侵略のハードルを上げることにつながります。

とくに、自国のみで十分な防衛対策を講じることが難しい国にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

最近では、ウクライナへ侵攻したロシアに対する警戒感の高まりを背景に、ロシアに近接するスウェーデンとフィンランドの2か国がNATOへの加盟を申請しました。

デメリット

集団的自衛権のデメリットとしては、関係国の戦争に巻き込まれるリスクが上昇することが挙げられます。

同盟関係にある国が攻撃を受けた場合、支援要請があると、戦地に自国の軍を派遣しなければなりません。

結果、犠牲者が発生したり、報復テロが起こったりする懸念が考えられます。

実際、アフガニスタン紛争では、アメリカを支援する形で派遣され、命を落としたNATO軍兵士が多くいます。

なお、集団的自衛権の行使は、各国の判断に委ねられることになっており、義務ではありません。

日本における集団的自衛権

日本国憲法第9条は、戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定しています。

そのため、「国際法上は権利を有するが、憲法上行使はできない」というのが、日本における集団的自衛権の解釈でした。

しかし、2014年、日本を取り巻く安全保障環境の悪化を背景に、安倍内閣は従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。

2015年、「安全保障関連法」が成立し、日本でも下記3要件を満たす場合に限り、集団的自衛権の行使が可能になりました。

  • 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
  • これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
  • 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

日本はアメリカと日米安全保障条約を結んでいますので、アメリカが武力攻撃を受けた際に、自衛隊派遣による支援ができます。

【関連記事】日米安全保障条約を簡単に解説

集団的自衛権をめぐる議論

日本において、集団的自衛権の行使容認は、今でも賛否が分かれています。

自民党・公明党などが必要性を主張する一方、立憲民主党・共産党・社民党などの政党が否定的な立場を示しています。

ここでは、賛成派と反対派それぞれの意見を見ていきましょう。

集団的自衛権が必要な理由

世界の安全保障情勢が厳しさを増すなか、集団的自衛権の行使容認は、日本の安全保障上重要であるというのが、賛成派の主張です。

集団的自衛権の行使容認により、日米安全保障体制を強化することは、他国に対する抑止力の向上につながります。

また、集団的自衛権の行使容認については、合理的な範囲内での憲法解釈の変更であり、違憲ではないと主張しています。

集団的自衛権の問題点

集団的自衛権の行使は、憲法の基本原理である平和主義に違反するというのが、反対派の主張の1つです。

また、憲法改正ではなく、解釈変更により集団的自衛権の行使を認めることは、立憲主義からの逸脱であるという反対理由も多く見られます。

さらに、他国の戦争に巻き込まれるリスクに対して懸念を示す声があります。

まとめ

この記事では、集団的自衛権の意味やメリット・デメリット、日本の現状について解説しました。

  • 集団的自衛権とは、自国が武力攻撃を受けていなくても、関係の深い国が攻撃を受けたとき、自国への攻撃とみなして共に反撃する権利
  • メリットとして、戦争の抑止力として機能することが挙げられる
  • デメリットとして、他国の戦争に巻き込まれるリスクの上昇が挙げられる
  • 日本でも2015年から集団的自衛権の行使が可能になった

 

<参考>
内閣官房 | 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答
日本弁護士連合会 | 集団的自衛権の行使容認に反対する決議
朝日小学生新聞 | 集団的自衛権ってどういうこと?
国際法学会 | 国際法上の集団的自衛権
日本経済新聞 | 集団的自衛権とは 同盟国など第三国が武力で反撃
政治ドットコム | 集団的自衛権とは?なぜ必要なのか、日本に関わる2つの自衛権について簡単解説
国際連合広報センター | 国連憲章テキスト

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