国際ニュースの中で「グローバルサウス」という言葉を見かける機会が増えています。
2023年5月に開催されたG7広島サミットにおいても、グローバルサウスとの連携が重要テーマとして取り上げられました。
グローバルサウスとは、一般に、南半球を中心とする途上国・新興国を指す言葉ですが、内容を詳しく知らない方も多いでしょう。
この記事では、グローバルサウスとは何か、またなぜ近年注目されているのかをわかりやすく解説します。
グローバルサウスとは
ここでは、グローバルサウスの意味とその具体例を解説します。
新興国・途上国の総称
グローバルサウス(Global South)とは、明確な定義はなく、一般に、新興国・途上国の総称として用いられます。
新興国・途上国の多くが南半球に位置していることに由来する言葉です。
途上国と先進国間の経済格差問題を指す「南北問題」の「南」にあたります。
また、冷戦時代に西側諸国・東側諸国いずれにも属さない国々を指した「第三世界」とも重なります。
グローバルサウスの具体例
グローバルサウスの多くは、アフリカや中南米、アジアなど南半球に位置しています。
南アフリカやブラジル・インド・インドネシアなどがその代表例です。
また、北半球に位置するイランやサウジアラビアなどもグローバルサウスに含まれます。
中国がグローバルサウスに含まれるかどうかについては議論があり、岸田首相は経済大国である点を理由に「中国を含めて考えていない」との見解を示しました。(参考:日本経済新聞 | グローバルサウス 新興国・途上国の総称、南半球に多く)
近年グローバルサウスが注目される背景
2023年5月のG7広島サミットでは、グローバルサウスとの連携が重要テーマとして掲げられるなど、世界におけるグローバルサウスの注目度が増しています。
ここでは、グローバルサウスが注目を集める背景を世界経済と国際政治の観点から解説します。
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世界経済における存在感の高まり
1980年代後半頃、世界におけるG7各国のGDPのシェアは70%近くあり、世界経済をリードしていました。
しかし、G7のGDPシェアはそこから下降を続け、現在では50%を切っています。
一方で、その間、新興国・途上国のGDPは順調に成長しており、2022年にはG7のGDP合計を超えました。
さらに、グローバルサウスのGDP合計は、2050年にかけてアメリカや中国のそれを上回る規模にまで拡大するとの予測もあります。
国際政治における重要性の高まり
2023年5月23日、国連総会はロシアによるウクライナ攻撃を非難し、ロシア軍の撤退を求める決議案を採択しました。
141カ国が賛成を示す中で、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮などの7か国が反対、中国やインド、南アフリカなど32カ国が棄権票を投じる結果となりました。
このようにグローバルサウスの中には、欧米側にもロシア側にもつかず、中立的な立場をとる国が少なくありません。
国連投票は一国一票を原則することから、グローバルサウスの意見の重要性は増しており、民主主義・権威主義両陣営からのアプローチが強まっています。
まとめ
この記事では、グローバルサウスの意味や近年注目を集める背景を解説しました。
- グローバルサウスとは、一般に、新興国・途上国の総称として用いられ、南アフリカやブラジル・インドなどの国が含まれる
- グローバルサウスのGDP規模の拡大に伴い、世界経済における存在感が高まっている
- 民主主義陣営・権威主義陣営の分断が深まるにつれ、中立的な立場を取るグローバルサウスの意見の重要性が増している
<参考>
日本経済新聞 | グローバルサウス 新興国・途上国の総称、南半球に多く
あさがくナビ | 「グローバルサウス」ってなんだ? G7広島サミットでも焦点【時事まとめ】
NHK | 2023年4月9日 徹底分析『グローバル・サウス』から見た世界(前半)
日本経済新聞 | よくわかるG7 世界シェアと勢力
日本経済新聞 | グローバルサウス 新興国・途上国の総称、南半球に多く
三菱総合研究所 | ウクライナ危機で存在感増す「グローバルサウス」①
東京新聞 | 対ロシア非難 賛成141カ国、反対7カ国 ウクライナからの軍撤退など求める決議を国連総会会合で採択
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