新紙幣発行はいつから?理由やお金が発行される仕組みも解説

新紙幣発行はいつから?理由やお金が発行される仕組みも解説

日本の紙幣(お札)は、2024年から新しいデザインとなります。

20年ぶりの刷新となりますが、新紙幣の発行やどのような人物を載せるかは誰が決めているのでしょうか。

本記事では、なぜ新紙幣を発行するのかに加え、お札や硬貨といったお金はどのように製造・発行されるのかもまとめました。海外の事例にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

新紙幣とは?

2019年、麻生太郎財務大臣(当時)が、2024年から紙幣のデザインを刷新すると発表しました。約20年ぶりの新紙幣発行で、対象となるのは1万円札・5000円札・1000円札です。旧紙幣(現在の紙幣)も引き続き使用できます。

人物や図柄はどう変わる?

新紙幣の表面は、以下のように人物の肖像が変更されます。

  • 1万円札:福沢諭吉から渋沢栄一へ
  • 5000円札:樋口一葉から津田梅子へ
  • 1000円札:野口英世から北里柴三郎へ

現在の1万円札は、表面には慶應義塾大学を設立した福沢諭吉が、裏面には鳳凰像が描かれています。

新紙幣の肖像は、明治時代の実業家である渋沢栄一です。渋沢栄一は第一国立銀行(現みずほ銀行)など500以上の企業の設立などに携わった人物です。「資本主義の父」と呼ばれています。

裏面は東京駅丸の内駅舎(赤れんが駅舎)がデザインされます。

5000円札の表面は現在、明治時代の小説家・歌人である樋口一葉の肖像です。裏面は国宝「燕子花図(かきつばたず)」の一部となっています。

新紙幣に描かれるのは、女子英学塾(現津田塾大学)を作り、近代女子教育に力を入れた津田梅子で、裏面は藤の花です。

1000円札の肖像は、黄熱病の研究で知られる細菌学者の野口英世から、ペスト菌の発見など感染症研究に尽力した北里柴三郎に変わります。

裏面は現在の富士山と桜から、葛飾北斎による浮世絵「富嶽三十六景」の一部となります。

新紙幣の発行は誰が決める?

紙幣の正式名称は「日本銀行券」です。紙幣の種類やデザインについては、日本銀行法で以下のように定められています。

第47条 日本銀行券の種類は、政令で定める。

2 日本銀行券の様式は、財務大臣が定め、これを公示する。

引用元:日本銀行法

つまり、紙幣のデザインや肖像の人選を最終的に決定するのは、財務大臣です。

全国民の手に渡る紙幣の性質から、偽造防止のためにできるだけ精密な写真が手に入ることや、国民に広く知られている人物であることなどが選ぶ基準になるようです。対象は一般的に、明治時代以降の文化人とされています。

過去の紙幣デザインは?

紙幣は定期的にデザインや肖像が変更されます。

前回の新紙幣発行は2004年でした。1万円札の福沢諭吉は変更されず、5000円札は新渡戸稲造から、1000円札は夏目漱石からそれぞれ現在の人物に変更されています。

以前の紙幣では、聖徳太子、伊藤博文、板垣退助などの肖像が使われていました。100円札や500円札が発行されていたこともあります。

2000年には、同年開かれた九州・沖縄サミットに合わせて2000円札が発行されました。表面には沖縄・首里城の守礼門、裏面は源氏物語の作者・紫式部が描かれています。

1958年に1万円札が発行されて以来、40年以上ぶりの新しい額面の紙幣発行として話題になりました。しかし対応できるATMが少なかったことなどから流通量が減少し、現在は新規発行されていません。

G7サミットについてはこちらの記事で解説しています。
【関連記事】G7・G20サミットの参加国や日程を解説!2023年は日本でも開催

新紙幣にする目的や理由は?

多くの国で、紙幣のデザインは定期的に刷新されています。

新紙幣を発行する主な目的は、デザイン変更や最新技術の導入によって偽造防止効果を高めることです。

また、銀行のATMや自動販売機などを改造・変更する需要が生まれたり、古い紙幣を早く使おうと個人消費が換気されたりすることで、経済効果が見込まれると言われます。

お金はどのように作られるのか

お札と硬貨では、製造の過程や発行主体が異なります。

また、ニセ札を作ったり、本物のお札や硬貨を変造したりすることは、通貨偽造・変造罪などの犯罪です。お札・硬貨それぞれに最新の偽造防止策が施されています。

紙幣(お札)の製造・発行や偽造防止策

紙幣は、中央銀行である日本銀行(日銀)が国立印刷局に発注し、製造されたものが日銀から発行されます。

国立印刷局は、財務省が所管する独立行政法人です。

現在の紙幣で使われている偽造防止策には、次のような例があります。

  • 凹版印刷:とても細密な画線で印刷されており、一般のプリンターでは再現できない
  • すき入れ(すかし):光に透かすと図柄が浮かぶ
  • ホログラム:額面(「10000」など)の文字を光に当てると桜の模様が浮かぶ
  • パールインキ:お札を傾けると、左右両端にピンクの光沢が見える

貨幣(硬貨)の製造・発行や偽造防止策

100円玉や500円玉などの硬貨は、独立行政法人の造幣局で製造されています。発行主体は日銀ではなく政府です。製造された硬貨が日銀に交付された時点で発行となる仕組みです。

2021年11月には、新500円硬貨が発行されました。新500円硬貨で実施されている偽造防止策の例は、以下の通りです。

  • バイカラー・クラッド:異なる種類の金属を組み合わせて作る
  • 異形斜めギザ:貨幣の側面のギザのうち、一部を他の部分と異なる形状にしている
  • 微細文字:貨幣の外枠にとても細かい文字で「JAPAN」などと入っている

また、造幣局では通常の硬貨のほか、記念貨幣(記念硬貨)も作っています。記念貨幣は皇室のお祝いごとや、五輪などの国際行事などの際に発行されます。

日本銀行や独立行政法人の役割や仕組みは、こちらの記事を参考にしてください。
【関連記事】日本銀行の役割や歴史、総裁や任期についてわかりやすく解説
【関連記事】独立行政法人とはどんな組織?官公庁との違いや具体例も

海外の事例

紙幣の刷新は海外でも実施されています。どのような事例があるのでしょうか。

主要国では10〜20年ごとに刷新

定期的な紙幣の刷新は海外でも多く、欧米などの主要国では10〜20年ごとに新しくするのが一般的です。偽造防止目的だけでなく、ユニバーサルデザインに変更する需要もあります。

例えば米国では、5ドル札や100ドル札で印刷されている額面数字のサイズを大きくしました。これは、視覚障害のある人への配慮を踏まえたものです。

英国・エリザベス女王死去で新紙幣

2022年9月に英国君主のエリザベス女王が死去し、世界的な話題となりました。王位は、長男のチャールズ皇太子に継承されました。

エリザベス女王は英国史上最長の70年以上君主を務めた人物です。在位期間が長く、国民からも広く慕われていたことから、英国の硬貨や紙幣には全て女王の肖像が印刷されています。

英国の中央銀行であるイングランド銀行は、チャールズ新国王の肖像を印刷した新紙幣を2024年から発行するとしています。

エリザベス女王についてはこちらの記事もぜひご覧ください。
【関連記事】英国王室とは?エリザベス女王の生涯も紹介 | スマート選挙ブログ

まとめ

  • 2024年に、1万円札・5000円札・1000円札が新しいデザインに変更される
  • 新紙幣の発行やデザインを最終的に決定するのは財務大臣。肖像の人選には、国民に広く知られていることなどの基準がある
  • 紙幣は、偽造防止などの目的で定期的に刷新される
  • 紙幣(お札・日本銀行券)は国立印刷所が製造し、日本銀行が発行する。貨幣(硬貨)は造幣局が製造し、政府が発行する

 

<参考>
紙幣刷新へ 1万円は渋沢栄一、5000円は津田梅子: 日本経済新聞
お札の基本情報~現在発行されているお札
「資本主義の父」じゃない? 渋沢栄一が現代に問うもの | 毎日新聞
新着情報 – 新しい日本銀行券について
お札の額面や肖像などのデザインは、誰が決めるのですか? 現在発行されているお札の肖像は誰ですか? : 日本銀行 Bank of Japan
紙幣に描かれている肖像画には基準があるのですか
新しい紙幣のデザインはどうやって決まった? 財務省に聞いてみた。 | ハフポスト NEWS
第7回 紙幣の顔はどう決まる? | 池上彰のいまさら聞けないお金のはなし | 三井住友信託銀行株式会社
2000円札、実は沖縄で大活躍 ATMに「優先ボタン」: 日本経済新聞
なぜ”5年後の新紙幣”をいま発表したのか 「たまたま重なった」は本当なのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
紙幣刷新でどんな効果? タンス預金の減少は限定的か
紙幣刷新、約20年ごとに 偽造防止が大きな狙い
銀行券・貨幣の発行・管理の概要 : 日本銀行 Bank of Japan
お札の特長
偽造防止技術~現在発行されているお札
記念貨幣はどのような時に発行されるのですか
造幣局 : 貨幣の偽造防止技術
新しい紙幣・硬貨発行の 意義と最新技術
イギリスの貨幣や切手、パスポート……新国王誕生でどうなる? – BBCニュース
チャールズ英国王の新紙幣、24年半ばまでに発行

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く、1歳児と3歳児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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