公職選挙法は選挙のルールが定められており、違反した人には罰則が科されます。
選挙に立候補する方は選挙のルールを遵守する必要があります。
この記事では、公職選挙法のポイントを5分で理解できるように分かりやすくまとめています。
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公職選挙法とは
公職選挙法とは何についての法律で、どのような目的を持った法律なのかを解説します。
1950年に制定された選挙についての法律
公職選挙法は衆議院議員・参議院議員、地方公共団体の長およびその議会の議員の選挙について定めた法律です。
それまであった衆議院議員選挙法と参議院議員選挙法を引き継ぎ、地方自治法の選挙に関する規定を統合したもので、1950年に制定されました。
公職選挙法の目的
公職選挙法の目的は以下の3点です。
- 選挙制度の確率
- 選挙が選挙人の自由な意思によって公明・適正に行われるようにすること
- 民主政治の健全な発達
第一条 この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。
引用元:公職選挙法 | e-Gov法令検索
公職選挙法で定められていること公職選挙法では大きく分けて以下の3つのことが規定されています。
- 議員定数
- 参政権
- 選挙の進め方
議員定数
衆議院や参議院の議員定数は公職選挙法で規定されています。
参政権
参政権とは、国民が主権者として、直接あるいは代表を通じて、国の政治に参加する権利のことです。
参政権の中には選挙権と被選挙権があります。
選挙権は選挙で投票できる権利のことで、被選挙権は選挙に出馬する権利のことです。
選挙権、被選挙権共に年齢制限があります。
選挙権は満18歳以上、被選挙権の年齢制限は立候補する選挙の種類によって異なります。
選挙の進め方
選挙を滞りなく運営するために、主に4つのルールが定められています。
①選挙区の区割り
どこを境界線にして選挙区を分けるかということや、各選挙区の議員定数が公職選挙法で決められています。
②選挙の方式
公職選挙法で定める選挙の方式には2種類あります。
「選挙区制」は人を選ぶ制度で、「比例代表制」は政党を選ぶ制度です。
この両方の選挙法を取り入れることで、国民にとって利益になる多様な人材を選ぶことができるとされています。
③選挙期間
各選挙の公示日や選挙期間について定めています。
④選挙運動のルール
寄附の禁止や戸別訪問の禁止、ポスターやビラの規格や頒布方法に関することまで細かいルールが規定されています。
いわゆる「公職選挙法違反」とはこのルールに従わなかったことを指しています。
公職選挙法違反については「有権者にも罰則あり!公職選挙法違反とは?」で詳しく解説しています。
公職選挙法違反の事例
公職選挙法は制定から70年以上経過しており、現代の実態にそぐわない面も多くあると言われています。
また解釈によって違法とも合法ともとれるような表現もあることから、抜け穴の多い法律と評されることもあります。
そのような中でも明確に違法との判決が出た事例をこちらの記事で紹介しています。
公職選挙法の違反・警告事例については「【事例集】公職選挙法違反で警告・検挙された実例を紹介」で紹介しています。
自民党衆院議員公設秘書の香典配布問題
菅原一秀経済産業相(当時)が2017年から2019年の間に、選挙区内の18人に故人の枕もとに供える花(計17万5千円相当)を贈ったほか、9人に対する香典(計12万5千円)を秘書に代理持参させた事件です。
菅原氏は2021年6月に議員を辞職。
翌月に公職選挙法違反(選挙区内での寄附)の罪で罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けています。
宇都宮市議会の桜井啓一議長らの法定外文書の配布問題
「我が母校の式典に、来賓として知事をお迎えできるよう、ご支援とご協力をお願いします」などという内容の文書を昨年の知事選告示前、福田富一知事への投票を呼びかける目的で送った宇都宮市の元市議会議長や元市議ら3人が略式起訴されています。
公職選挙法の主な改正の歴史
公職選挙法は1950年に制定以来の長い歴史があり、その間の世情やニーズの変化に応じて改正を重ねてきました。
ここではその中でも主要な改正のポイントを紹介します。
比例代表制の導入(1982年)
比例代表制とは、各政党が獲得した投票数に比例して候補者に議席を分配する選挙制度です。
比例代表制には死票を減らし、少数意見を反映しやすいというメリットがあります。
公職選挙法の改正によって1982年に参議院議員通常選挙で、1994年に衆議院議員総選挙で導入されました。
インターネット選挙の解禁(2013年)
インターネットの普及に伴って、2013年4月に公職選挙法が改正されました。
この結果、有権者は、ホームページ、ブログ、SNS、動画共有サービス、動画中継サイトなどの「ウェブサイト等」を利用して特定の候補者の応援を呼びかけることができるようになりました。
ただし、電子メール(SMTP方式及び電話番号方式)を利用した選挙運動は禁止されています。
選挙権を満18歳に引き下げ(2015年)
諸外国に歩調を合わせ、若者の政治離れに歯止めをかける狙いで、2016年6月に法改正されました。
その結果、満20歳以上とされてきた選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられました。
選挙権年齢の引き下げについては「選挙権年齢はなぜ18歳に引き下げられたの?世界各国の状況も解説」で詳しく解説しています。
まとめ
公職選挙法は制定から60年以上経っています。
過去に何度も改正は行われてきたものの、未だに実態とそぐわない点も数多くあります。
グレーゾーンも広いので、多様に解釈できてしまう一方で、違反者には厳罰が科されるため注意が必要な法律です。
選挙に出馬する候補者やその関係者は事前に公職選挙法についてよく理解しておくことが重要です。
<参考>
総務省「インターネット選挙運動の解禁に関する情報」
かるび勉強部屋「公職選挙法とは?意外と幅広いその内容を簡単に…!」」
政治ドットコム「公職選挙法とはどんな法律?違反するとどうなるの?」
選挙立候補.com 「公職選挙法とは」
選挙LABO「公職選挙法をわかりやすく解説!選挙のルールを知ろう」
選挙違反とその罰則
公職選挙法とは – コトバンク
公職選挙法 | e-Gov法令検索
中学受験:公職選挙法とは?意外と幅広いその内容を簡単に…! | かるび勉強部屋
公職選挙法違反とはどんな罪?一般の有権者でも逮捕されることはある?
インターネット選挙運動解禁でできること | 選挙運動にインターネットを利用される皆様へ